表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
淡々史記  作者: ンバ
第七、項羽本紀
51/274

十三、章邯の内憂

13.

章邯軍棘原,項羽軍漳南,相持未戰。秦軍數卻,二世使人讓章邯。章邯恐,使長史欣請事。至咸陽,留司馬門三日,趙高不見,有不信之心。長史欣恐,還走其軍,不敢出故道,趙高果使人追之,不及。欣至軍,報曰:「趙高用事於中,下無可為者。今戰能勝,高必疾妒吾功;戰不能勝,不免於死。願將軍孰計之。」陳餘亦遺章邯書曰:「白起為秦將,南征鄢郢,北阬馬服,攻城略地,不可勝計,而竟賜死。蒙恬為秦將,北逐戎人,開榆中地數千里,竟斬陽周。何者?功多,秦不能盡封,因以法誅之。今將軍為秦將三歲矣,所亡失以十萬數,而諸侯并起滋益多。彼趙高素諛日久,今事急,亦恐二世誅之,故欲以法誅將軍以塞責,使人更代將軍以脫其禍。夫將軍居外久,多內卻,有功亦誅,無功亦誅。且天之亡秦,無愚智皆知之。今將軍內不能直諫,外為亡國將,孤特獨立而欲常存,豈不哀哉!將軍何不還兵與諸侯為從,約共攻秦,分王其地,南面稱孤;此孰與身伏鈇質,妻子為僇乎?」章邯狐疑,陰使候始成使項羽,欲約。約未成,項羽使蒲將軍日夜引兵度三戶,軍漳南,與秦戰,再破之。項羽悉引兵擊秦軍汙水上,大破之。


(訳)

(その後)

章邯は棘原きょくげん、項羽は漳南に布陣し、

お互いに待ち構える形となり、

交戦に至らなかった。


秦軍が幾度か退却すると、

二世(秦の二世皇帝・胡亥)は

人を遣わして章邯を責譲した。


(罰される事を)恐れた章邯は

長史のきんを派遣して事情を請わせた。


咸陽(秦の首都、後の長安)へ至ると

司馬門に三日間留まったが、

趙高は見えようとせずに

心に不信感を抱いていた。


恐れた長史・欣は軍へと逃げ帰り、

敢えてもと来た道から脱出しなかった。

趙高は果たして人を遣わして

欣を追わせたが、捕まらなかった。


欣は軍へと至ると、報せて言った。


「趙高が宮中にて事を掌握しており、

下々の者は何もする事が出来ません!


今、戦に勝てたとしても

趙高は必ずや我々の功績に

嫉妬するに違いありません。


(かといって)

戦に勝てなければ死刑は免れません。

どうか将軍、この事について

よくお考えください!!」


陳余もまた章邯に書状を遣わして述べた。


「白起は秦の将軍となりて

南はえんえいを征討し、

北は馬服を生き埋めにし、

城を攻め、各地を攻略して

数え切れぬほどの勝利を収めたが、

ついには死を賜る事になった。


蒙恬もうてんも秦の将軍となりて

北は戎の者を放逐し、

榆中の地・数千里を開拓したが、

竟には陽周にて斬殺された。


何故か?


(白起や蒙恬は)功績が多く、

秦は盡くに封爵する事が出来なかったため

法を以って彼らを誅戮したのである。


今、将軍(章邯)が秦将となってから

三年が経過しているが、

十数万(の兵士)を亡失する所となり

諸侯が揃って挙兵する事は

ますます多くなってきている。


かの趙高はもとより

へつらう事が日久しく、

今事態が急を告げた事で

二世皇帝からの誅殺を恐れている。


故に、法を以て将軍を誅する事で

その責譲を塞ぎ(誤魔化して)、

人を遣わして新たに将軍に代らせて

その禍を免れようとしているのだ。


そもそも将軍は外部に居る事久しく、

内部にも敵対者が多い。

功が有ろうがやはり誅殺され、

功が無くともまた誅殺されよう。


かつ、天が秦を亡ぼそうとしている事は

愚者や智者の区別もなく、

皆がこれを知っている。


今、将軍は

内部にて直接諫める事が出来ず、

外部にて亡国の将となりつつあるが、

孤立しながらもなお在らんとするとは

どうして哀しくないといえようか!

(なんと哀しいことではないか)


将軍はなぜ兵を還して諸侯と合従し、

共に秦を攻める盟約を結びて

その地を分けて王となり、

南面して『孤』を称そうとせぬのだ?


身を鈇質(処刑台)に伏せて

妻子が誅戮されることと比べて

孰れがよいというのだ?」


章邯は狐疑(逡巡)し、

密かに候の始成を使者として

項羽のもとに遣わし、盟約を結ぼうとした。


盟約がいまだ成らぬうちに、

項羽は蒲将軍に昼夜兼行で兵を統率させ

三戸を渡って漳南に布陣し、

秦と交戦して再度これを破っていた。


項羽は兵の悉くを引き連れて

秦軍を汙水の上に撃ち、これを大破した。


(註釈)

内外の連携が全然上手くいっていない秦。


上司の二世皇帝は盆暗、趙高は奸賊、

功を立てても恩賞などなく

負ければ即座に命の危険に晒されるとか、

何のために戦っているんだか

わからなくなってきそうです。


章邯の活躍でなんとか

持ち堪えている秦ですが、

彼も可哀想な立場に置かれたもんです。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ