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淡々史記  作者: ンバ
第八十六 刺客列伝
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荊軻 十、暗殺に必要なものが二つある、於期の首級と督亢の地図

26.

久之,荊軻未有行意。秦將王翦破趙,虜趙王,盡收入其地,進兵北略地至燕南界。太子丹恐懼,乃請荊軻曰:「秦兵旦暮渡易水,則雖欲長侍足下,豈可得哉!」荊軻曰:「微太子言,臣願謁之。今行而毋信,則秦未可親也。夫樊將軍,秦王購之金千斤,邑萬家。誠得樊將軍首與燕督亢之地圖,奉獻秦王,秦王必說見臣,臣乃得有以報。」太子曰:「樊將軍窮困來歸丹,丹不忍以己之私而傷長者之意,願足下更慮之!」


(訳)

それからしばらく経ったが、

荊軻は計画を実行に移さなかった。


秦の将軍・王翦《おうせん》が

趙を破り、趙王を虜として、

その領地の盡くを傘下に入れると、

さらに兵を進めて北方の地を攻略し、

燕の南の国境へと至った。


太子丹は恐懼し、

そこで荊軻に請願して言った。


「秦兵が旦暮(朝か暮れか)にも

易水《いすい》を渡ってきます!


これでは、もっと長く

足下を待遇しようとしたとて、

どうしてできましょうか!?」


荊軻は言った。


「太子のお言葉がなくとも、

臣からこの件でお目にかかろうと

思っておりました。


(しかし)

今行ったところで、信用がなければ

秦王は自ら会おうとは致しますまい。


そういえば、樊将軍(樊於期《はんおき》)に

秦王は千斤の賞金と万家の食邑を

懸けたそうですな。


実際に、樊将軍の首と、

燕の督亢《とくこう》の地図を得て、

秦王に奉献したならば、

秦王は必ずや、喜んで臣と見えましょう。


さすれば臣は

(太子の御恩に)報いる事が出来ます」


太子は言った。


「樊将軍は困窮して丹に帰順して来たのです。

丹には、私心によって長者の意を

損なう事が、耐えられませぬ。


願わくば、足下には改めて

この事を慮られんことを

(樊於期を殺さない方向で作戦考えてよ)!」


(註釈)

いよいよ秦が燕の国境まで

軍を進めてきました。


なかなか暗殺計画を

実行に移そうとしない荊軻、

疑り深い秦王に接近するには、

燕の要地の地図に、

指名手配中の樊於期の首を

差し出すしかない!!


と提案します。


これに太子は大反対!



太子丹、悪い人じゃないですが

私情が勝ちすぎますね。

自家撞着に陥りそうなタイプ。


荊軻は言っても無駄だと考えたのか

樊於期のもとへ直接出向きます。


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