終わり
桜水高校に着いた
私の在学中とは校舎の色等、多少違うが、大半は変わってない
道路挟んで真向かいの、記念館&食堂に立ち寄る
元マダヤ(山田屋商店)をぶっ壊して、周りの土地を巻き込んで、姉が金にもの言わせて買った立派な土地と建物
記念館と食堂は、入り口は別れてるが、中からも行き来できる、駐車場は観光バスでも二台くらい停めれる
駐車場には、観光バスは入れるが、ここに来るまでの道が細い
だがしかし、このためなのか、土地開発なのか分からないが、その道路が拡張された
おかげで観光バスが、今でもガンガン来る
記念館、食堂は大変な儲け
当初、姉はその利益は学生食堂に回すと言ってたが、おそらく回しきれず、スターリバーは儲かり、姉はさぞかしウハウハだったであろう
うちらには一銭も入ってこない
思い出の品を持ってかれただけ
マジ鬼畜
マジうちら客寄せパンダ
まぁ、でもうちらは姉のおかげでこの先遊びまくりの人生でも、お金は使い切れない
なので、オケ
記念館に入る
入り口の顔センサーが働き、ドアが開く…
あれ?開かねー
久しぶりに来たから?
登録した時が、だいぶ前でバッチリメイクだったから?
そんなレベルか?この技術!
あったまきたから、カメラを睨みつける
キッ!
ピピ、ウイーン
ドア、開けゴマした
は?なんで睨むと反応するのよ!
目尻たるんだってこと?
殺す
一般客は、外にある販売機から入場券を買うと、勝手に顔認証が登録され、入り口が開くシステム
凄い時代だ
とりま、中に入る
入ると、いきなりドンと現れるのは…
ベコベコ、穴だらけのあすまやの屋根
竜斗が高校時代、狙い打ちしまくって、破壊された三角すい?ぽい屋根
竜斗が卒業すると、あずまの屋根は新しい物に付け替えられ、校舎の使ってない教室にひっそりと、竜斗が活躍するのをこの屋根は待っていた
そう、私が冬川京子になるまで、私と一緒にひっそりしてた
竜斗の大活躍で、この屋根も日の目を見れるようになった
その屋根を横目に、順路に沿って中に進む
ショーケースがズラッと並んでる
所々にボタンがあり、そのボタンを押すと、飾られてる野球道具等の説明が聞ける
しかも、多国籍の言葉で聞ける
スペイン語なんかもある
ショーケースは、
高校時代コーナー
メジャーコーナー
春樹竜斗、アメリカでの一人暮らし時代コーナー
冬川京子、離れ離れ時代のソロコーナーがある
高校時代コーナー
竜斗のボロボロのお手紙グローブが、お手紙とセットで飾られてあり、その横に、私の高校時代の赤いグローブ、眼鏡の人モデルのミットが、セットで飾られてある
続いて
竜斗の鬼に金棒バット二本、スパイク
私の、ピンクの春樹杏子ネーム入りのノックバットが、またセットで飾られてある
続いて
竜斗がくれた、ピンクのリストバンドや他のリストバンド、お揃いのスポーツネックレス、大量のミサンガ、そしてお揃いの腕時計
スコアブックに新幹線のシャープペン
竜斗が使ってた、重箱お弁当箱
竜斗のデビュー戦の偽ホームランボール、ハートだらけのやーつと、姉が隠し持ってた、真ホームランボール
竜斗の高校時代のユニフォーム、練習着
私の練習着、帽子、なんでかジャージ
ピンクブルマはないよ
わけわからんのが、甲子園宿舎でやったウノ
もっとわからんのが、プールに招待された時の、私のなかなかのビキニと竜斗の水着なんかも飾られてある
絶対に水着はいらないと思う
メジャーコーナーには、私がオーダーしたグローブやスパイク類、私の趣味で毎年のように変えたのでめちゃくちゃある
春樹竜斗モデルと冬川京子モデルの、道具がズラリ
ちゃっかりカタログも置いてあり、その場でネット注文も出来る
おそらくここから注文が入ると、メーカーからマージンもらってる
エグい葉山翔子
そして、竜斗が記者会見でパフォーマンスした、私のデータのペーパー
私のレッドカーペットのドレス
メモリアルホームランボールがズラリ
竜斗が獲得した、タイトルの盾などもズラリ
竜斗の一人暮らしコーナーには、私の似顔絵やマイナーのユニフォーム、侍の衣装なんかが飾られてあり
私のロンリー時代のコーナーには、デビュー作の戦隊物のコスプレや台本、他にはティーン雑誌
そしてなんでか、日本酒が飾られてある
なんでやねん
締めは、二人の再会映画の台本、セットの指輪
モニターも設置してあり、映画が垂れ流しされてる
姉の嘘の台本も飾られてある
だからなんでやねん
なんでも金に変える、葉山翔子
記念館が終わると、食堂との連絡口の手前にグッズ販売コーナーが置いてある
当初はアメリカでしか買えないグッズがかなり売れてた、笛のマーク入りTシャツとか
でもこの時代、ネットで買えるので
最近は、記念館限定グッズがバカ売れ
これは、ネットでも買えない
もちろん姉の戦略
一番の売れ筋は、私と竜斗の写真集
別々じゃなくて、二人で抱き合ってるとかのもあれば、各々ポーズを決めたりしてるのもある、竜斗のセクシーショットあり、私のセクシーショットあり!の、セット写真集
だけどね、あったまくるの
売れ筋女性
なんでよ!
私にファンはいないの?
なぜ、竜斗ばっかり!
ま、でも、野球道具は、春樹竜斗モデルの倍以上、冬川京子モデルが売れたから、いっか
いいのか?
生身はぶっちぎりで負けてんだぞ
連絡口の扉センサーに睨みを聞かせる
キッ
ピピ、ウイーン
マジ殺す
「うっすー杏子ちゃーん」
「ドリさーん、差し入れが後から届くからみんなで飲んでね」
「サンキュー」
ウーバーで大量のエナジードリンクを頼んだ
後でわんさか届く
ドリさんと、宮杉さんと、バイトの方々に差し入れ
工藤さんは、今日はスターリバーの業務をこなしてる
なかなかのお偉いさん
どこで覚えたか知らないが、営業トークが上手いので、交渉役や、売り出したいタレントなんかを連れて営業に回ったりしてる
会社に買ってもらったジープを乗り回して、営業に回ってる
仕事は真面目にやってるから良いと思う
記念館を出て、高校に向かう
学校から、カップルが出てきた
女の子は、背が高いおっぱいでかい、少し派手
「楓ちゃん!」
マリさんの娘だった
そりゃ、背もパイもデカい
で、バレー部、ではない
「わっ!サクのお母さーん、杏子さん!」
「うん、久しぶり、なにもかもデカくなったね」
「いえーい、お母さんよりデカくなっちった」
どっちがだよ、背かパイか?両方か?
両方ぽいな、すげぇなおい
横の男子を見ると、かわいい顔してる、背は楓ちゃんより低い
血は争えないのね
「ども」
かわいい男子が、私に軽く会釈する
「ども」
私も会釈で返す
「これからデート?楽しそうだね」
「デート?ううん、お試し期間中〜」
何を試すんだよ
「そ、そっか、じゃあね、ほどほどにね」
「うん、あ、サクもお試し期間中だよー、じゃっ」
なぬ?
楓ちゃんが、かわいい男子の腕をグイグイ引っ張って連れ去った
マジでどこ行くんだよ
学校の門をくぐる、ここにも顔認証センサーがある
ただ、カメラの位置がわからん、なのでしかめっツラで校門を抜ける
警告音鳴らないし、オッケーか
なんでよ、もういい
竜斗から秀太に挨拶しに行くってラインが来てた
おそらく、今日は恭太郎だけよろって挨拶
ってことは、竜斗は野球部のグラウンドにいるかな
竜斗寄付グラウンドの様子を見に向かう
すれ違う生徒に、挨拶されながら、向かう
「今の冬川京子だよね、さくらに用かな、生で見ても綺麗だね」
エヘヘへ
てか、この時代になっても、日本の女学生は聞こえるように、ヒソヒソ話をする
あずまやに着いた
すっかり形が変わってしまったあずまやだが、当時と同じ位置にある
グラウンドも、同じ位置にそのまま復活したので、距離感的には当時と一緒
ただ、ホームランゾーンは全て観客席
照明ビンビン
ベンチ大きい
ブルペンばっちり、二人投げれる
サブグラウンドもあり、軽いアップ等出来る
おかげで、春と秋は公式戦のグラウンドとしても、使用される
「キョウコさぁん!」
ん?この声は…
「ニイナちゃん!お疲れ様」
リナさんとこの次女ニイナちゃんだ
高瀬三姉妹の中で、一番リナさんに似てる
ただ、人をイジるところは見たことないが、きっとリナさんと一緒で外面がいいんだろう
なので、私は外面良くされて、本当のニイナちゃんを見てないだけのような気がする
「はぁい、今日は見学?」
「ううん、竜斗を迎えにきたの」
「ふぁ〜相変わらず、ラブラブぅ、凄いよぉ」
「うふふ、ありがと」
「褒めてないよ、バカップル」
「え?」
「なんでもなーい」
「じゃあ、私忙しいからぁ、んじゃ」
「はぁい、秀太のことよろしくね」
ニイナちゃんは、野球部のマネージャーをしてる
彼氏が野球部にいるらしい
血は争えない
「しゅたろーんに会ってかないの?」
ネーミング!
「今更いいよ、下手に会うとおねだりされる」
「ウケる」
ニイナちゃんが、中庭からグラウンドに向かって伸びるアプローチ通路を駆け下りていった
ふぅ、中庭の転落防止柵によっかかり、グラウンドを背にあづまやを眺める
高校生がよくここまで飛ばせたよ
長年野球に携わってきた、今もクラブチームを運営してる
大人になって更にわかる、本当に竜斗は高校生からやばかった
こんなところまで、左バッターが逆方向に飛ばしてくるんだもん
しかも、狙っても打ってたからね
あ、よくあずまやでお弁当食べたわ
みんなでワイワイ
今もお昼時になるとそうなのかな……
クァキーーーーーーン!
え?懐かしい金属の爆音
慌てて振り返る
放たれた打球が、高く舞い上がり、私の方へグングン向かってくる
え?ええ?
そして…
私の頭を通り越して…
ゴォォン!
私の後方のあづまやの屋根に着弾した
ゴン!
もっかいバウンド
コロコロ、ポテッ、コロコロ
私の足元にボールが転がってきた
転がってきた、ボールを慌てて拾う
紛れもなく、野球用硬式ボール
嘘でしょ
急いで、転落防止柵に掴まり、グラウンドを見る!
左打席に、上下スウェットの大柄な男性が、高校生達からの拍手に包まれてドヤってる
なぁんだ、竜斗かよ
じゃねーよ
は?
あんた引退して十年だよ
あんた、四十代半ば!今年47!
金属バットとはいえ、どうしてここまで飛ばせるのよ!
クァキーーーーン
わーお
今度はライト方向にミサイルがすっ飛んでいく
楽々、ホームランゾーンを越えていく
カーーン
昔テニスコートがあった場所を通り越して、校舎に直撃して跳ね返り、コロコロと記念碑に近づいていく
記念碑とは、竜斗が初めてホームラン放ったテニスコート弾の着弾点地点だ
竜斗がメジャーで活躍したら、テニスコートの位置をズラして、本当に記念碑が立った
コロコロ転がるボールを、女生徒が拾った
おっとり顔
黒髪
日本女性らしい清楚に見える顔立ち
身長は私を越えて162センチ
おっぱいは秘密
そう、さくらだ
「ユウキー!」
「おーー、さくらー、投げてー」
「オーケーー」
グラウンド内の野球部員にめがけて、さくらがボールを投げた!
ギューーーーーーン
スパァン!
野球部員のグラブにレーザービームドンピシャ
我が娘ながら、凄すぎる
もちろん知ってたけど
野球部員も驚いてない
さくらが身体能力オバケなのは、学校中で有名らしい
ニイナちゃんから聞いた
「あ、お母さーん」
「うん、さくら、ヤッホ」
「お父さん迎えにきたの?」
「うん」
私はグラウンド方向を見る
さくらも、なるほど的に釣られて見る
「あ、お母さん、今度こっち飛んでくるよ」
「え?」
ん?竜斗はまだ打ってない
「あ、大丈夫、そっちの屋根に当たるよ」
「え?」
クァキーーーーーン!
ボールがこっちに向かってすっ飛んでくる
わーおー
ボールが私の左側の頭上を通っていく
ゴォォン!
今度は隣の屋根に直撃した
ゴン!
コロコロ、ポテ、コロコロ
「はい、お母さん、お父さんのだから持って帰るんでしょ」
さくらがボールを拾って、私に渡してくれた
「ありがとう」
じゃねっつーの!
なんで、わかった?
打つのはともかく…
なんで、この屋根に当たるってわかったんだ?
「さくら、なんで打つ前からここに当たるってわかったの?」
「えーーっと、勘?」
「は?」
「さくらー」
「あ、椎名せんぱーい」
おお、なかなかのイケメン
私好みではない
なんか、目がキリッてしてる
「さくらー、トミックスのポイント全滅、カトーのに切り替えるわ」
「そっかぁ、うちはフレキシブル使うんだから、ピーコで良くない?」
「いや、ちょっと、角度わかんねーからやめとこ、脱線のデータないし、時間ない」
「ですよねー、スイッチどうします?」
「うーん、とりあえずメルカリで探してカトーのまとめ買いするわ」
「オーケーです」
お前ら日本話しゃべろ
チンプカンプンだわ
「じゃ、お母さん、佐世保県、楽しんで」
「うん、じゃあね」
ペコリ
「椎名です、すいません、また今度ゆっくりご挨拶させていただきます、失礼します」
さくらの先輩男子が、深々お辞儀してから、さくらと一緒に校舎に消えて行った
文化部とは思えない、少し派手な髪型
明るい茶髪
でも、礼儀正しい
ここも、血は争ってない、ウケる
竜斗と同じで派手好きか?
お試し相手、絶対椎名君だよね
ただ、さくらはポーカーフェイス
匂わせの顔つきなどは一切なかった
私だったら無理だわ
だって、速攻母にバレたもん
さっき、楓ちゃんがゲロってくれたから、そう思うだけで、なんも聞いてなかったら、普通にただの部活仲間としか見えん
てか、竜斗迎えに行くか
アホだから、おだてられて、いつまでも打ってそう
アプローチ通路に入ってグラウンドに向かう
「キョウちゃん!」
ん?
「わー!リナさんどうしたの?」
「いや、ニイの野郎、自分で作った弁当忘れて行きやがったから、届けにきた」
そう、ニイナちゃんは、自分でお弁当作ってる
ふふ、リナさんみたい
彼氏のは作ってるのかな
さくら情報だと、高瀬三姉妹はみんな料理くそ上手いみたい
「キョウちゃんは?」
「乗せられて、打ちまくってるアホな旦那を迎えに行くとこ」
「ん?あ、本当だ、めっちゃ、はしゃいでるわ」
「そうなの」
「じゃ、一緒に行こ」
「うん」
リナさんが手を差し伸ばしてきたので、それを掴んで、手を繋ぎ、ブンブン振りながら、懐かしいアプローチ通路を下りていく
リナさんに寄り添って歩いていく
高校時代、散々仲良く手を繋いで歩いたアプローチ通路
リナさんは、工藤さんにタックルされたりもした
三十年ぶりに、ブンブン手を振って歩く
懐かしい
クァキーーーーーン!
二人で打球を見上げる
「あ、リナさん放送室に電話してよ、危ないよ」
「だね、キョウちゃんは笛吹かないと」
「りょ〜、ピーーー」
「ガブっちょ!」
「アン、ちょっ!不意打ちやめて!」
「ババァが変な声出すなよ」
「もう!くっそ、ガブっちょ!」
「バ、バカやめろ、この変態!」
キャハハハハハハ
終




