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モンスター協奏曲  作者: 東京小町
PR
61/77

夢叶う

 

 竜斗メジャーデビューの試合が続く


 カーン


 三塁線に鋭い打球が飛ぶ

 竜斗が飛び込んでキャッチ!


 ワオ!


 すぐに立ち上がって

 ギューーーーーン!

 スパァン!アウッ!

 オオーーーー


 スタジアム全体から称賛の歓声が上がる


 アハ!久々に見た!私の大好きなギューーーン


 甲子園ではちょろっとしかサードを守らなかったので、ほんと久しぶりに見た



 さっきから鬼のように、サードとショートに打球が飛んでくる


 こっちのピッチャーは変速左腕


 投球の八割がスライダー、それを上手くコーナーに集めてゴロの山を築く


 三十六才のベテランらしいピッチング


 コバみたいなピッチング


 ヤンキース打線は、このピッチャー対策で右バッターがずらり


 なので、打球が三遊間方向に飛ぶ飛ぶ


 にしても、竜斗は守備上手くなった、相当練習したんだな


 高校の時より、レベチで上手い



 ショートのオリーは、身体おばけプレーで魅了する


 知ってた、昔からそうだった


 フライなんかは、私が捕ろうとしてる打球まで、横からかっさらっていった


 竜斗も知ってるのか、自分の後方に上がる打球は無理に追わない、オリーに任せてボーッと見てる、オリーが一人で走り回ってる


 ウケる




 四回裏ツーアウトランナーなし


 こちら六番がまたしてもフォアボール


 この人、選球眼いいな


 マックスウォーカーさん、打率もそこまで悪くない


 これ、うちの6、7、8番さぁ、1、2、3番にしたらいいのに



 さぁ、竜斗の第二打席!相手も警戒してくるぞ、イケ!



 あ…


 テンテンテンテン


 低めにワンバンして外れたボールを、キャッチャーがそらしてる!


 マックスさんが、すかさず二塁に行く!


 ツーアウトランナー二塁!得点圏!



 相手、五十億さんはイラついてる、早くボールをよこせと言わんばかりに、グラブをキャッチャーに向けてパカパカさせてる


 ん?なんか嫌な予感がする…

 ここで竜斗だが…


 一塁は空いてる、バッターはさっき打たれた新人


 んで、ツーアウト、打順は下位に回っていく


 これ…くるんじゃないか?メジャーの洗礼!

 コントロール良いだろうから、骨がないところに…



 五十億さん投げた!


 ボフッ!


 竜斗のお尻に直撃!


 チキショウ!予想通りわざと当てやがった!


 竜斗は大丈夫か?



 ほっ、涼しい顔して一塁に向かってる、ベンチから飛び出したトレーナーさんを手を振って静止している


 よかった〜



 じゃない!



「おいコラーーーー!テメェ!うちの旦那に何してくれてんだ!ぶち殺すぞ!ビビって当ててんじゃねーぞオラッ!」


 フン!日本語だから周りわからねーだろ


 周りもブーイング飛ばしてるし


 おっと、ついつい応援に力が入ってしまった


「キョーコ」

「なに!」


「バッチリ映ってるよ」

「え、マジで?…あ」


 私の激オコのシーンが何回もリプレーされてる



「ハルキは火を吹くゴジラを嫁さんにしたらしいな」

「他球団のピッチャーは気をつけた方がいい、ハルキに当てると丸焦げにされるぞ!」


 などなど、実況アナウンサーにいじられまくってる


 うぁ〜やっちったよ、この映像一生こすられるだろ


 今更遅いけど、満面の営業スマイルをしとく


「ハハハハ、その笑顔はもう手遅れだ」


 くっそ


 期待の新人が当てられ、こっちベンチもみんな乗り出して、少し荒れたムードになってる


「キョーコ、ハルキに当てて塁を埋めた相手はいい度胸してる、次がオリーなのにな」


 確かに、オリーはさっき、竜斗のホームランの後にツーベースを打った



 クァーン!


 睨み合い明けの初球を叩いた!どっかで見たことある、どさくさ紛れ打法!


 左中間にボールが上がる!上がる!


 スコーーーン


 は、入った!スリーランショット!


「よっしゃーーーーー!」


 やった、仇取ってくれた!


 凄い!凄い!竜斗とオリーのアベック弾見れるなんて凄い!


 コールアップされたばっかりの新人二人が揃って打つなんて凄い!凄い!


 ピョンピョン跳ねる私


 やば、はしゃぎすぎた


 また映る?いや、オリーの家族映すべ


「みなさん、誤解してはいけません、日本の女性はもっと大人しいです、彼女は異常なんです…ヒヒヒヒ」


 イラッ


 どこだカメラ、あれか?


 あったまきた!睨みつけてやる!


 腕組んで睨みつける!


「ヒヒヒヒヒ、なんだなんだ、睨んでるぞ、カメラもっと寄ってやれ、顔がフグみたいになってるぞ、ハハハハハハ」



 試合は進み、相手投手が変わると、また竜斗は左中間に放り込んだ



 こっち先発はのらりくらりと六回三失点


 しっかりと試合を作った



 七回の表前の投球練習中、守備位置で竜斗がオリーと強めのキャッチボールを始めた


 あ、あれは…投球練習だ、私とずっとやってたルーティーンだ!


 観客がそれを見て盛り上がってる、めっちゃ盛り上がってる…みんな知ってるんだ、ピッチャーやる準備なの知ってるんだ!


 ってあれ?


「トニー、竜斗は今日投げれないんだよね?」


「いや、得点差見てみろ」

「8対3だから5点差だね」


「6点差になったら野手登板できる」


 あ、そっか、メジャーは得点差が開くと、投手の負担を減らすため投手登録してない野手も投げることができる


 これは、ファンサービスにもなる、点差が開いて萎えてるところに、普段は絶対投げない野手が投げるから盛り上がる


 でもこっちは、100マイルを投げる野手がいる、だから期待してんのか


「じゃあ、あと1点だ!」


「そうだ、でも近いうちにこの点差が8点に引き上げられる、なのでそこもラッキーだな」


「そうなんだ」


「普通リードしてるチームは野手登板をやらないが、うちはモンスター野手がいるからな」


「なるほど」


 あと1点で見れる!頑張れうちのチーム!




 八回表時も竜斗はルーティーンをしている



 そして、八回裏のこっち攻撃、変わらず5点差

 ここで点を奪えないと、竜斗の登板はない


 しかも、竜斗に回ってこなさそう


 そう、やすやす奇跡は何度も起きないよね


 ま、今日メジャーの試合見れて、二本のホームラン見れただけで充分、充分すぎる


 このヤンキース三連戦は見ることできるから、どっかで投手見れるかな…

 





 って私はやはり…何かもってるのかもしれない

 普通に奇跡が起きる


 ツーアウト満塁で竜斗に回ってきた


 マジかよ、ギリギリで回ってくるこの奇跡っぷり


 もってるのは、竜斗なのか?私なのか?


 それとも両方?


 竜斗に回って、スタジアムは大盛り上がり


 そりゃそう、今日二本打ってる、しかもまた自分で打てば、投げることになる


 ヒットでいいよ

 と、祈ろうとした瞬間だった



 クァーーーーン!



 はぁ、また初球…この人は祈ることもさせてくれない


 昔から初球だろうがなんだろうが打てる球がくると、どんどん振っていく…アホだから


 そして…


 スコーーーーン


 当たり前のように右中間席でボールが弾む


 グランドスラム、1点でいいのに4点


 ヒットでいいのに、グランドスラム


 今日、3本目9打点


 当たり前だが、メジャーデビュー戦の新記録


 やりすぎ、やりすぎだよ…




 最終回


 DHを解除して、ピッチャーリュウトハルキがアナウンスされた


 スタジアム内は大興奮!みんな立ち上がる


 みんな、新クローザーの誕生を期待してる


「スリーウエイ、スリーウェイ、スリーウェイ」


 大合唱が始まる


 画面には、野手登板なのにピッチアーセナルが紹介されている ウケる


 トリプルAでの記録だが、フォーシームの平均球速は脅威の101マイル

 最高球速は超人レベルの104.6マイル


 カッター、シンカー、横のスライダー、斜めのスライダー、チェンジアップ、そして、こっちで新しく覚えたスプリット


 この先発投手並みの球種の多さに加え、ストライク率もこれまた脅威の85パーセント


 トリプルA10試合に登板して、無失点どころか、ランナーを一人も出してない無双っぷり


 でも、ここはメジャー

 しかも相手ヤンキースは上位打線、どうなるか



 ブルペンではなく、ベンチから颯爽と出てくる竜斗


 投球練習が始まると、球場は静まり返る


 ん?あーやっぱり、グローブそのまま


 予想は出来てた、投手用無いのね

 何度も言うけど、ここメジャーだよ?


 もう好きにして



 投球練習が終わり、いよいよ始まる


 相変わらずのセットポジション、グラブが胸の前でセットされる


 そのグラブは内野手用で、メーカーラベルはボロボロ、どこのメーカーかわからない、宣伝にもならない


 そして、サードの守備で飛びついたりしてたので、ユニフォームは上から下まで泥んこ


 こんなクローザー、いねーよ



 投げた!


 ズドンッ!


 相変わらずのドンピシャ、かまえたミットにそのまま飛び込んでいく豪速球


 102マイルが計測される


 この球速自体にはそこまで驚かない、高校時代にも出したことがあるから


 でも、驚いた、たまげた


 球質がまるで違う、ここから見てもわかる、明らかに重たくなってる、大人の球になってる


 凄い…


 こっちベンチはみんな乗り出して見てる

 相手ベンチも食い入るように見てる


 こっちブルペンはみんなフェンスにしがみついて見てる



 二球目


 ズバァン!


 カッターが、右バッターの内側から曲がる、フロントドアだ


 バッターはボールと判断するも、ベース手前でギリギリ動いてストライク、しかもかなり動いてる


 画面で見ると惚れ惚れするような軌道


 しかも99マイル



 三球目


 ストン!ブンッ!


 空振り三振


 頭をかしげて、ビジョンのリプレーを見ながらベンチに帰る相手バッター


 なんだ今の?みたいな顔してる


 そりゃそう


 一球目のストレートと全く同じコースからベース手前で急激に落ちるスプリット


 96マイル、そりゃストレートだと思って振るわ 

 バケモンだこのスプリット

 この速さで落ちるのはもう魔球レベル

 


 画面ではピッチトンネルの抜けの良さを紹介してる


 二つの球種のボールを軌道を合成させて、紹介してる


 マジで、ベース手前まで全く一緒


 球場全体がスタンディングオベーション


 いやぁ、凄い、私までお手上げ


 もし竜斗と他人で、この試合見たら絶対ファンになってる


 だって、普通にかっこいい


 プレーもだけど、顔も


 これ、ファンめちゃくちゃ増えるよ


 しかも女性ファンが…


 うぐぐぐ


 いや、私はもう大人だ、ファンに目くじら立てるほど子供ではない…うん


 早く映画公開されないかなぁ


 そしたら、女性ファン諦めるよね!


 そうだった…この人俳優でもあるんだ


 凄すぎて、忘れてたわ


 俳優が101マイル投げて、魔球投げて、ホームラン三本打ってる


 やばすぎだろ



 六年ぶり?いや、甲子園以来の試合だからほぼ七年ぶりに、竜斗のプレーを見た


 予想以上に進化してるし、たくましくなってる


 魚にヒヨってる子供みたいな一面もあれば、こうしてスタジアム全体を魅了するパフォーマンス


 そのギャップがとてもたまらない


 早く食べたい、ムラムラムラムラ




 試合終了


 三者三振

 球数わずか十球


 今は、守備から帰ってくる仲間を、ニコニコ笑顔でハイタッチしながら出迎えてる


 良かった、良かった、凄かった、見れて良かった、初めての晴れ姿、メジャーデビューに立ち会えた


 やっとここまでこれたね


 みんなより少し時間かかったかな


 信じて待って良かった


 立ち上がり、拍手を送る

 球場全体が拍手を送っている


 本当に良かった



 良かったよぉ

 ウエーーーーン

 号泣してしまった

 大人になっても泣き方は変わらない


 

「ハルキ、とても素敵な奥さんだな、こっちまでもらい泣きしそうだ…ヒヒヒなんだあれ、泣きすぎだろ、ハルキ、かわいそうだから帰りにアイスキャンディでも買ってやれ、泣き顔ひどいな ハハハハハハ」


 殺す



「キョーコ俺達帰るよ」

「え、竜斗に会っていかないの?」


「何言ってんだ、俺達はいつでも会える、滅多に会えない君らの邪魔をするつもりはない」


「え、うん分かった」


「リリー行こうかチュッ」

「わかった、またねキョーコ」


「うん、またね」


「行きましょ、チュッ」


 コイツらわざと見せつけてんだろ



 あ、ヒーローインタビューが始まった!

 あれ?竜斗じゃない、オリーだ!


 なんでだろ?


 まぁ、オリーも活躍したしね



 ってあれ?これ私どうしたらいいんだ?

 どこに行けばいいの?


「フユカワさん、ご案内します」

「あ、はい」

 良かった、迎えに来てくれた


「凄かったですね」

「はい、活躍見れて良かったです」


「いや、あなたのパフォーマンスの方です」

「え?」

「だいぶ話題になってますよ、激しい奥さんだって」


 くっそ、竜斗より目立ってどうすんだよ


「サーセン」


「じゃあこちらでお待ちください」


 待合室みたいなところで待たされた


 オリーの家族はいないなぁ

いたらわかるんだけどなぁ


 暇なのでスマフォをネットにつなげてラインをチェックする


 わっ!すんげえきてる


 そりゃそうだよな

 リナさんからもきてる


 開く


 (おい、どうした、旦那より目立って何やってんだ、双眼鏡でキョロキョロ、ブチギレたと思えば、今度はカメラ目線、ウケ狙ってるのか?ウケたけど)


 (サーセン、反省なうです)


 (良かったね、てか号泣しすぎ、子供かよ、引いたわ)

 (女優の立場忘れすぎ)


 (サーセン)


 (こっちえらいことなってるぞぉ)


 (え?どんな感じ?)


 (そりゃもう大変な騒ぎよ、冬川京子が婚約者で紹介されて、しかもキャラ崩壊させてんだもん)


 (マジかぁ私帰れないじゃん)


 (しかもよ、甲子園の件もバレたぞ、昔の映像引っ張り出されて、ユーチューブに上がってる、ガンガン上がりまくってる)


 (おわた〜)


 まぁ、いっか、もう結婚するんだし、遅かれ早かれバレただろうし、てかもう隠す必要がないし


「すいません、フユカワさんよろしいですか?」


「はい」


「この後、ハルキのインタビューがあります、通訳お願いしてもよろしいですか?」


「え!ええ、っと、他にいないんですか?」


「いや、いないことはないんですが、ハルキからのご指名です」


「…………グスン、はい、喜んでやらせていただきます」


 りゅ、竜斗〜夢を叶えさせてくれるの?


 本当にありがとう、大好き


「フフ、今日は大変ですね、まだ時間あるのでメイク直しちゃいましょう」


「はい」


 メイクをパリッと決めて、チームパーカーを着させてもらい竜斗を待つ


 緊張してきた、久しぶりの通訳


 心構えなしの、ぶっつけ本番


 収録は慣れてるが、これは当たり前だが生

 失敗は許されない


 頑張るぞ、私!




 ガチャ


 竜斗がロッカールームから出てきた


 上下チームスウェットジャージ、上は私とオソロ


 うん、カックイイ



「竜斗ーー!」

 タタタタ、バフッ!

 抱きつく!スリスリ


「竜斗〜久しぶり〜!凄かったよ!全部見てたよ!エライエライ!」


「ははは、来てくれてありがとう!」


「こら!嫁は来て当たり前、当たり前なの!お礼なんかいらない!」


「あ、うん、じゃあ杏子が見てくれてるから頑張れたよ!」


「ヨシ」


 スリスリスリスリ

 久しぶりだから甘えまくる


「あの、杏子?通訳さん!そろそろ行かないとインタビューなくなっちゃうよ、みんな見てるし」


「あ、サーセン、エヘヘヘヘ」


「その笑顔出しちゃだめだよ、あと間違ってもチューして〜もダメ!頼むからポンコツだすなよ、フリじゃないからね」


「わかってる!もう大人だもん!」



 インタビュールームにテクテクと向かう


 いつも通り、竜斗は私に足並みを揃えてくれる


 よし、マジでスイッチ入れよ


 旦那に恥をかかすわけにはいかない


 ちゃんとやらないと!

 冬川京子を演じるんだ!




 インタビュールーム到着

 大勢の記者達が待ち構えてる、日本の記者もチラホラいる


 テーブルと椅子が用意されてる


 立ち話のぶら下がり囲みではなく、座ってそれなりの時間をかけるってことだ


 まぁ、今日の活躍はちょっと聞いて終わるもんでもない


 それなりに時間かかる、ってことは私の役目は重大だ


 でもなんだろ緊張しない


 竜斗が一緒だと緊張しない、安心してるからかな




 インタビューが始まる


「フィアンセの冬川京子の英語力は、全く問題ありませんので、皆さん、遠慮なく質問してください、あ、彼女を怒らせると火を吹いてきますから、質問の内容は気をつけてくださいね」


 と、竜斗がまず英語でユーモアを交えて挨拶をする


「アハハハハハハハ」


 場が和みだす


 不覚にもいじられるてる私も笑ってしまった


 てか、もう知ってたのか実況にいじられまくってたの


「通訳を務めさせていただく、冬川です、よろしくお願いします」ペコリ


 発音で納得したのか、記者陣が頷いて、了解の意をしめす


 竜斗はわざと、発音を日本人丸出しで挨拶をしてた


 本当はもっと上手いのに、私との差を見せるためにそうしたんだ


 そこでまた優しさを感じる



「まずメジャー初昇格して、本日プレーした今の気持ちをお聞かせください」記者


「メジャーデビューして、プレーできた感想を聞かせて」私


 アイコンタクトをするかのように、竜斗の目を見て訳した


「はい、長年の夢が叶うことが出来て嬉しいです、横の彼女との長年の夢でした、とても嬉しいです」


「まず、バッティングの方を聞きたいんだけど、ホームランを三本も打てた要因を教えて」私

 記者からの複雑な質問を要点だけまとめて訳した


「はい、三本はさすがに出来過ぎかな?と思います、打てたのはファーストストライクからどんどん振っていこうと思ったのが、良い結果に繋がったと思います」




 記者会見が続く


「お二人でこの場を迎えられた気分はいかがですか?ハッピーですか?」


「はい、とても幸せです、彼女に通訳をしてもらうのがとても楽しみでした、そしてこれも高校時代からの二人の夢でした、それを叶えられて嬉しいです」


「あなたにとって、フユカワさんはとても大事な存在なんですね」


「はい、とても大事です、今日活躍出来たのも彼女のおかげです、彼女がいつも支えてくれてたので、ここまで頑張ってこれました、とても愛してます、僕が調子を落とした時は彼女と喧嘩してると思ってください」


「アハハハハ」


 こんなの訳させるなよぉ照れる


 顔を真っ赤にして下を向く


「フユカワさんはどうですか?今のお気持ちお聞かせください」


「え?はい!」

 急に振られて焦る


「えーー、あーー、はい、彼の事を愛してます、とても愛してます、中学生の頃から変わらず愛してます、愛し続けてます、あれ?これ質問の答えになってます?」


「アハハハハ、何回愛してるって言うんだよ」


 記事陣にいじられる、英語でよかった、日本語だとチューしたいって言ってたかもしれない


「ギリギリセーフ」

 ボソっと竜斗が私の耳元でささやく


「いきなり、私に振るんだもん、ビックリしちゃった、平気だよね」

 今度は私が竜斗の耳元でささやく


「ハハ、お二人さん、ここはホテルじゃないぞ」

 と、またいじられ

 二人で下を向く




 無事?記者会見が終わった


「あー大丈夫だったかなぁ、うまく通訳出来たかなぁ」


「大丈夫、さすが杏子だよ、やっぱり上手いよ、杏子はさあダイレクトに訳さないで、自分でアレンジして俺にわかりやすくしてくれるから助かるよ、昔から変わってない凄いよ」


「本当?嬉しい!あ、夢を叶えさせてくれてありがとう、大満足」


「え?もうこれでお腹いっぱいなの?」


「はい?」


「いや、杏子が嫌じゃないならまた頼むよ、この三連戦は見れるんでしょ?その間頼むよ」


「え?いいの?やりたい!」


「そっかじゃあ決まりだね」


「やった!ありがとう!ねえ、チューして」

「ダメ」


「なんで、アメリカだよ」

「そのアメリカへーきルールを勝手に作っちゃだめ」


「えーーー!」 チュッ

 あん、キスされた


 周りを見渡すと何にも気を止めてない


「ほらー、アメリカヘーきじゃん」

「はいはい」


「ね、早く帰ろ!早く帰ろ…私のホテルに来る…あれ?私どこ泊まるの?」


 そう、急に行き先変わったし、時間なくてホテル取ってない


「え?」


「あ、いや、私ホテル取ってないや、どしよ、あ、竜斗んち泊めて」


「え?何言ってんの?ここから家は遠いから、チームがホテル取ってるから、そこ泊まるよ」


「え?チームが用意したホテル?」


 じゃあ私行けないじゃん


「そうだよ」


「うそー、私野宿?」


「んなわけないだろ、杏子は俺の部屋に泊まるんだよ」


「え!いいの?チームに怒られない?」


「なんでだよ、俺達家族だろ、チームはなんも言わないし、当初のソルトレイクのホテルも俺と一緒の部屋だったの、チームが二人で泊まるの想定して取ってくれてる、だから安心して」


「マジで?やったーーー!さすがメジャー!家族にやさしーー」


「ははは、子供か」


「あれ、私の荷物どうなってんだろ、着替えない!」


 そう、飛行機に置き去りにしてきた私のキャリーちゃんはどこに?


「大丈夫、ホテルに届いてるよ」


「わお!いたれりつくせり!」


「俺はこの三連戦終わったら移動で、今から行くホテルには三泊するけど、杏子も三泊する?」


「三発?スルスル」


「パクだよ!泊!わざと間違えてるだろ」


「エヘヘ、三発、三泊でお願いします」


「オーケー」


「あれ?明日も試合だから、デキないの?そーゆうもん?」


「うーん、わからない、経験ないから」


「そっか」


「まあ、明日はDHだから投手はない、とりあえずは試してみてもいいけど?」


「試す!もちのロンで試す!」


「二連投までにして」

「おけ!」


「あ、杏子!」

「なに!」


「ホテル壁薄くて、隣りもチーム関係者だから声気をつけて、杏子うるさいから」


「ま、マジで?やば!ん?逆に興奮するか?」

「バカかよ、嘘だよ嘘、なんだっけリナ的に…変態ポンコツ娘!」

「もう!」


「ハハハハ」


「てかさ!うるさいってなによ!うるさいって!かわいい声でしょ!」

「あ、火吹いた」

「殺す」



「あ、ねえ、このパーカーもらっていいのかな?」


「どーぞ、どーぞ、まだ他のもあるみたいだけど、見てく?もらっちゃう?」

「うん!見てく!もらっちゃう!」


 

 あーあ、もう日本帰りたくない。


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