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なんか手抜きっぽい競技になってます

「それでは水上相撲を開始したします!!」


 ニエベの司会で進行する三角湖名物水泳大会。

 第二回戦は水上相撲である。円陣の浮島に二人立つ。そして尻でどつきあい、落ちた方が負けである。

 これは三人で参加し、先に二勝した組が勝利するのだ。


「まずはヘンティルとルナです!!」


 浮島にベニテングダケとツキヨダケが上がった。ふたりはオンゴはぐれ三人娘と呼ばれている。

 もう一人はエスタトゥアの踊りの師匠であるオーガイだ。

 キノコの亜人は特殊で男は毒キノコで女に容姿が似ている。

 逆に女は食用キノコで男の容姿に近いのだ。


 ヘンティルは毒キノコのベニテングダケでありながら女性だ。それ故に筋肉を付けて男らしく見せようとしていたのである。

 ルナも毒キノコでありながら見た目通りの女性であった。

 よその人には理解できないが、キノコの亜人は自分の性別を気にするのだ。

 ルナがエア酔っぱらいなのは下戸ゆえに酔えず、自ら編み出したくらいだった。


ヘンティルは両腕を上げ力こぶを作って、自慢の筋肉をアピールしていた。

 一方でルナは挙動不審で、目が泳いでいる。

 なんで自分がこんな目にと思っているのだ。事情を知る人間がいれば彼女の気持ちはわかるだろう。


「うふふ。ルナと勝負できるなんて楽しみだわ」


 野太い声で答える。まるでオカマがしゃべっているみたいだ。

 わくわくしているヘンティルをしり目に、ルナは蒼白になっている。


「うぅ、私はあなたと勝負なんか楽しくありません。うう、吐きそう……」

 

 ルナは口を押えた。筋肉ムキムキのヘンティルを相手にするなど普通ならやりたくないからだ。

 例え見せるための筋肉とはいえ、鍛えていることには間違いない。

 ルナは運動不足なので、勝負などしたくない気持ちは理解できる。


「では初め!!」


 試合が始まる。ヘンティルは岩のようにごつごつした尻をぶつけてきた。

 だがルナは巧みにかわす。

 彼女は下戸だが酔拳の達人だ。相手の気配を察し、攻撃をよけられるのである。


「おおっ! これはすごい! 筋肉だるまのヘンティルの攻撃を胸ばかりが発達したルナがかわしている!!

 というかヘンティルが尻を振る様はすごく気持ち悪い!!

 ルナはもっと胸を揺らせ!! 男たちが興奮しないだろうが!!」


 ニエベの無責任な煽りをする。男たちも揺らせ揺らせと囃し立てた。


「うぅぅ、なんでよけちゃうの~」


 ルナは嘆いていた。彼女はさっさと負けたいのだが、後ろを向いているため気配を読めてしまうのである。

 それゆえにヘンティルの飛び石のような尻を柳に風のようにかわしてしまうのだ。

 無意識でも危険余地が優れているのである。


「てい!」


 ルナがわざと負けようとして尻を突き出す。だがそのためにヘンティルは虚を突かれたため、浮島から落ちてしまったのだ。

 まずはガマグチ一家の勝利である。

 ヘンティルは自分に勝利したルナを褒めたたえた。


「やるじゃない。ルナ。あなたに負けるとは思わなかったけどいい勝負だったわ」

「なっなんで……」


 一番驚いているのはルナの方であった。

 あんまり嬉しくなさそうである。


 ☆


「次は小柄同士でエスタトゥアとアマです!!」


 次にゴールデンハムスターとヤドクガエルが小舟に乗せられ、浮島に上がった。


「ふぅ、勝負事ならワイは負けえんねん。あんじょうたのんまっせ?」

「俺としてはなんともいえないんだけどな」


 エスタトゥアはやる気が起きなかった。本来彼女が引き金となり抗争が起きたのだ。

 そのことに責任を感じるが、このようなバカげたことで解決することに納得できないのである。

 アマも彼女の気持ちを理解しているがあえて押し殺していた。


「見世物になってもええねん。おかげで雇用が増えたし、観光客が銭を落としてくれる。

 あんさんのアイドル活動と一緒や。ワイらのほうは銭儲けはしとらんけどな」

「うーん。うちも商会の宣伝のためにしているからなぁ。金儲けを一概に悪とはいえんだろう」

「そうや。ワイかて毎日荒っぽい男どもを怒鳴りつけとるねん。

 気の弱い奴はどついたるで。ある意味ワイも目立っとるなぁ」


 アマはそういって慰めた。エスタトゥアも覚悟を決め、勝負に挑む。

 ふたりとも背を向けた。


 さて二人とも小柄で尻は小さかった。だがアマの方が胸が大きく、体重は彼女の方が上だ。

 エスタトゥアは腰に力を入れ、何度も尻を振る。

 だがアマの方が腰に粘りがあり、なかなか落ちない。

 

 その上アマの方が尻が重く、こちらの方がやばかった。

 バランスが崩れ、倒れそうになるが、なんとか踏ん張ることができた。

 冷や汗をかくエスタトゥア。

 

「ワイは勝負に手はぬかんでぇ! あんさんもきばりやーーー!!」

「おう! 俺も負けないぞ!!」


 アマは声を上げた。エスタトゥアもやる気を出す。


「せやぁ!!」


 エスタトゥアは思いっきり尻に力を込めて打ち出す。

 アマはふんばろうとしたが、巨乳が振り子のように揺れ、その力で落下してしまった。

 こうしてエスタトゥア側の勝利が確信したのである。


「なんということですの!! 勝負があっさり終わってしまいましたわ!!

 どういうことですの!!」


 先にクチナワ一家の二勝なのでカンネは勝負することなく終わってしまった。

 悔しがるカンネにザマは慰める。 


「どうもこうもありません。勝負は時の運でございます。終わったことをくどくいうのは感心できませんね。

 というか最後は巨乳のせいで勝敗を決したからざまぁと思いました」

「? なんであなたと関係があるのですか? あなたは一人称で自分の名前など言ってないでしょう」

「気にしないでください。お嬢様はそのまま大人になってくださいな」


 カンネとザマの漫才をしり目に二回戦は終わるのであった。


 ☆


「三回戦! 水泳三本勝負のスタートです!!」


次は水泳勝負である。こちらはアオイとカンネが先鋒になった。

 

「今度こそ負けませんわ!!」


 カンネはハッスルした。観客席でラタジュニアが手を振ったのでものすごい勢いでゴールした。

 まるで獲物を狙うシャチの如く豪快な泳ぎであり、見る者を圧倒していた。

 アオイとはかなり引き離した形になっている。彼女はウナギの如くすいすい泳いでいたが、シャチには敵わなかった。カンネはライオンだけど。

 アオイは悔しがり、カンネは勝ち誇っていた。


「次は私です~」

「次は私ですね」


 次はザマとイノセンテが出た。だが勝負はあっさりついてしまう。

 こちらはイノセンテが金づちだったので、ザマの勝ちだ。

 溺れかけて助けられる始末である。


「つーか、泳げないのに何で出たんだ!!」

「何事も挑戦です~」


 エスタトゥアが突っ込みを入れたが、イノセンテは平然としていた。

 彼女は細かいことなど気にしない性格である。

 水をたらふく飲み、クジラの潮のように吹きながらで。


「最後は俺たちだ。頑張ろうぜ!!」

「私はあんまり頑張りたくないですが……」


 最後はエスタトゥアとルナであった。エスタトゥアは犬かきで鈍いながらも進んでいた。

 だがルナは泳いでないのにかかわらず、すーっと進んでいく。

 さすが三度黒蛇河に落ちても平然としていた女であった。


 勝敗はルナの勝利であった。これでガマグチ一家の勝利である。

 クチナワ一家は一勝で、ガマグチ一家は二勝の形となった。 


「というか水泳勝負がやけに適当なのはなぜだろうか?」

「それは地味な競技やからな。司会もやる気はおきんやろ」


 エスタトゥアの独白にアマが補佐したのだった。

本来この回は障害物リレーをする予定だった。

だが二度書いても障害が起きてしまい、おじゃんになってしまった。

なので急きょ水上相撲と水泳勝負になったのです。

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