第一章 【RESTART】プロローグ『 See Each Other Again』
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午後五時二十七分、太陽は西に沈みかけ手の平のように広がった雲の隙間から強い光を差し、東京の街を燃えるような夕焼けに染めていた。
高層ビルの合間を縫って、機械音や自動車の走行音が響いている。街は今日も騒がしく、沈んでいく太陽にも気にもとめないで人々はそれぞれの行き先を目指して足を進める。高層ビルの足元では夕暮れの陽光が長い影を作り、人々の姿を黒く伸ばしている。
この光は裏側の世界にも届いているのだろうか。
そんな中、人通りの少ない路地裏で、一人の男が歩いていた。
男は黒いフードを深く被り顔を隠しているようにも見える。重い足を引きずって、時折、何かを小さく呟いている。
「お前に言われた通りに来たけど、ほんとにこの道であってんのか!?」
通りの少し先。
動くたびににサラサラと揺れる白い髪を高く結い上げた男が、大きな独り言を吐きながら歩いてくる。白髪の男の苛立った声が静まり返った路地裏に響き渡る。
手にはしわくちゃになった地図が握られていた。どうやら道に迷っているらしい。
二人の距離は少しずつ、縮まっていく。
その瞬間だった。
まるで誰かが意図して吹かせたかのような、静寂に包まれた路地裏には相応しくない凄まじい強風が吹き荒れた。
「あ……!」
白髪の男に握られていた地図は風にさらわれて、ふわりと浮かび、黒いフードの男のもとに流れて行った。
地図は彼の胸元にぶつかり、ゆっくりと地面に落ちた。
再び路地裏に静寂が訪れる。
「す、すいませんっ!」
白髪の男は慌てて頭を下げ、地面に落ちている地図を拾い、そのまま駆け足でその場を去っていった。
だが____
黒いフードの男は、何事も無かったかのように視線すら向けず歩き続ける。
路地裏を通り抜けるその背中は、冷たい何か巨大な塊を背負っているようだった。
「……ん?」
白髪の男が突然立ち止まり、ゆっくりと振り返る。先程の黒いフードの男は既に路地裏を抜け、人混みに紛れ混んでいく。
その姿を眺めていると、しまい込んでいた記憶がふいに揺れた。
妙な違和感が、胸の奥をかすめた。
プロローグを読んでいただきありがとうございました!
ここから物語が大きく動き始めます。
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