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目覚めたら、魔王に転職!? ~底辺スタートから世界統一はじめました~  作者: ふじなみ


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第39話 ―― 銀狼騎士団長の剣

戦闘シーン、その2


霧が薄く残る国境の街道。


帝国特務隊の残党が後退し、戦場は一瞬の静寂に包まれた。

その静寂を切り裂くように、重い馬蹄の音が響いた。

銀色の重装甲に身を包んだ巨躯の男が、馬を止めて降り立つ。

銀狼騎士団長――ガルヴァン。


背丈は2メートル近く、銀灰色の髪と、

鋭く冷たい灰色の瞳。

腰に差した大剣は、刃渡りだけで1メートルを超えていた。


ガルヴァンは戦場を見渡し、

ゆっくりとレオンに視線を固定した。


「……レオン」

その呼びかけは、静かで、

どこか懐かしさを帯びていた。


レオンは剣を握ったまま、わずかに身を硬くした。

「団長……ガルヴァン」


ガルヴァンは馬から降り、大剣を地面に立てて、

ゆっくりと近づいてきた。

「魔物だと、一目でわかった」


その言葉に、

ルシフェリアたちの間に緊張が走った。


ガルヴァンは視線をレオンに固定したまま、

淡々と続けた。

「帝国にいた頃から、お前の目は、

 人間のものじゃなかった。俺は知っていた。

 お前が『神の使徒』と祭り上げられながら、

 本当は古い魔物種族の生き残りだと。

 ……それでも、俺はお前を剣として育てた。

 道具としてではなく、俺の剣として」


レオンは剣を握る手に力を込め、

低く返した。

「……知っていたなら、なぜ、黙っていた?

 俺を、ただの道具として、使い続けたのか?」


ガルヴァンは小さく息を吐き、

灰色の瞳に、ほんのわずかな痛みを浮かべた。

「帝国は、魔物を『劣等種』と見なす。

 お前が魔物だと知られれば、

 即座に処分されるか、もっと酷い実験材料にされる。

 俺は、お前を守るために、黙っていた。

 ……だが、それは、同時に、お前を、

 帝国の剣として縛り続けることでもあった。俺の剣として」


レオンは剣先を地面に突き立て、

声を震わせた。

「守るため……?俺は、お前の教えで、

 戦うことしか知らなかった。

 意味もなく、命令に従い、血を流すことだけが、

 俺の存在理由だった。

 ……フェリは、違う。

 フェリは、俺に、『守りたいもの』という、初めての意味をくれた」


ガルヴァンはゆっくりと大剣を構え、

「そうか……お前は、

 もう、俺の剣じゃないんだな」


レオンは強く、

「そうだ。俺の剣は、フェリのためにある。

 ……団長、お前も、知っているはずだ。

 帝国の『神の使徒』など、ただの飾りだ。

 俺は、もう、飾りじゃない。

 俺は、レオンだ。フェリの仲間だ」


ガルヴァンは静かに目を伏せ、

「なら、力で証明しろ。

 お前の剣が、本当に、その少女のために振るう価値があるのか。

 ……俺の剣で、試させてもらう」


ルシフェリアは前に出て、

「待って!レオンは、もう戦いたくないんです!

 話し合いを……」


ガルヴァンは静かに、ルシフェリアを見た。

「少女……お前の『調和』は、美しい理想だ。

 だが、この世界は、力でしか守れないものもある。

 レオンは、それを、誰よりよく知っている。

 ……だからこそ、俺は、彼を試す」


レオンは剣を構え直し、

「団長……俺は、お前を超えるために、

 ここにいるんじゃない。

 フェリを守るために、ここにいる」


ガルヴァンは小さく頷き、大剣を振り上げた。

「なら、来い。レオン。

 俺の剣で、お前の道を、試させてもらう」


二人の剣が、霧の中で激しくぶつかり合った。

レオンの剣は速く、鋭く、ガルヴァンの大剣を弾く。

ガルヴァンの剣は重く、力強く、レオンの剣を押し返す。


火花が散り、地面が抉れる。


リリは月桂香を広げ、

「レオンさん!痛みを軽くするよ!がんばって!」


ルナは風の壁を張り、

「私も!援護します!」


ルシフェリアは絶対的支配を起動。

レオンに身体強化のバフがかかり、

動きがさらに鋭くなる。


ガルヴァンは剣を振りながら、

「レオン……お前の剣は、

 確かに強くなった。

 だが、まだ、俺の剣を越えられない」


レオンは静かに、

「団長……俺は、お前を超えるために、

 ここにいるんじゃない。

 フェリを守るために、ここにいる」


レオンの剣が、ガルヴァンの大剣を弾き飛ばす。

ガルヴァンは後退し、剣を地面に立てた。


「……ふっ。お前は、

 もう俺の剣じゃない。……いいだろう。

 今日は、引き上げる。だが、帝国は、お前を、必ず取り戻す。

 ……そして、ルシフェリア、お前たちも、帝国は敵とみなす。

 お前の『調和』が、帝国の統一を脅かすなら、容赦はしない」


ガルヴァンは騎士団に撤退を命じ、

霧の中に消えていった。


ルシフェリアはレオンに駆け寄り、

「レオン……無事でよかった」


レオンは剣を収め、

「団長は、俺を、まだ、道具として見ている。

 だが、俺は、もう、お前の仲間だ。

 ……これからも、守る」


ルシフェリアはレオンを抱きしめ、

「ありがとう……レオン」


リリとルナも駆け寄り、

「レオンさん、すごかった!」

「かっこよかったです!」


レオンは少し照れくさそうに、

「……ありがとう」


――帝国特務隊との戦いは、一時的に収束した。

 底辺魔王の成り上がりは、仲間たちと共に、

 新たな試練と可能性の前に立っていた。


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