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魔王ガリウスの末裔 ~異世界でいきなり次期魔王宣告を受けてしまいました~  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第2章 ミナレ国 ~グラーブル辺境伯領~
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第21話「アリーナとマギアの戦術」

翌日、ケインは朝食を済ませると、アークに頼まれた手槍を作るためにハングと共に工房へ入った。


アリーナとセナは街に情報収集に出かけ、他の皆は部屋で過ごしているようだった。


ユウトも午前中は部屋で休んでいたが、昼食が終わると皆の様子でも見ようと裏庭へ出かけた。


裏庭に着くと、ヨシマサが座禅をしているのが目に入った。


普段あまり落ち着きのないヨシマサが黙ってじっとしている姿は、かなりの違和感があったが、邪魔しても悪いのでそっとしておいた。


アークはケインに作ってもらった手槍の訓練をしていて、横でスピアードが色々動きを指示していた。


一方、マリア、アグネス、テレサの3人はマギアから連携について教わっていた。


ユウトはしばらく皆の様子を見ていたが、庭の隅の方にケンファがいるのを見つけると、ケンファの方へ歩いて行った。


「ケンファ殿も来ていたんですね。」


「何かお手伝いできればと思い来てみたのじゃが、特に何も無さそうなので、皆の様子を眺めておりました。」


「それでは少し教えていただきたいことがあるのですが。」


ユウトはそう言うと、二刀流についてケンファに聞いてみた。


ケンファは、魔獣などの数が多いときに、両手に武器を持てばより早く魔獣を片付けられるので使っているが、二刀流と呼べるような物ではないといった。


それでも、複数の魔物どもと同時に戦うときには結構便利だともいった。


「まだワシも二刀流は修行中じゃよ。ははははは」


「まぁ、それでも、いずれ役に立つかもしれないから、訓練しておくのも良いかもしれんの。」


そう言うとケンファは、素振りの時に右手と左手を持ち替えて、どちらでも使えるように練習するようにユウトに言った。


ユウトが早速刀を抜いてやってみると、これがかなり難しく、刀を振る度に、バシッと大きな音がした。


「大きな音が鳴ってますなあ。はははは。ではユウト、今日よりは左利きでの刀の修行としましょう。」


そう言うとケンファは持っていた木刀をユウトに渡した。


しばらくユウトが木刀を振っていると、アリーナとセナが戻ってきた。


ケンファがアリーナに今日は実地訓練に出ないこと告げると、マギアが「じゃ、こっちで一緒にどうだい。」と声をかけた。


もちろんアリーナには異存はなく、セナと一緒にマギアのチームに入ることとなった。


日没が近づくと、マギア達は北門へと向かったが、アークは、実地訓練には出ずに裏庭で訓練することになった。


マギア達が出かけると、ユウトは少し休憩を取って、周囲を見渡した。


すると、なぜかヨシマサはまだ瞑想をしていた。


明らかに眠ってしまっているヨシマサにユウトは声をかけた。


「ヨシマサ起きろ、そろそろ日没だぞ。」


「んー、あ、いや、寝てないよ。瞑想が深すぎて気がつかなかっただけさ。」


「おいおい、どう見てもあれは寝てただろう。」


「瞑想が深かっただけだ。決して寝てないぞ。」


「早く行かないと、スピアード殿が待ってるよ。」


するとヨシマサは、目をこすりながら慌てて商館入り口へ走って行った。


その後ケンファとスピアードは帰って行ったが、ユウトは素振りを続け、アークはスピアードから教わったことを反復して練習した。


しばらく練習をしていた二人だが、疲れが出て動きに切れがなくなってきたので、練習を終えてお風呂へ向かった。


お風呂に入るとユウトはアークに尋ねた。


「なぁ、アーク。訓練はやりたいし、新しい技術も会得したいけれど、魔物討伐に行かなくても良いのかな。」


「そだなぁ。俺たちが強くなれば、今後の魔物討伐は短時間でより多く出来るようになると思うから、直ぐに取り返せると俺は思っている。」


「アリーナも特に反対はしていないようだし、まぁ良いか。」


「俺たちは一刻も早く手槍と二刀流を覚えて、皆に貢献できるように頑張ろう。」


「そうだね。ところで、薙刀はどうなっているんだ。」


「いやー、槍と手槍がすごくてね。うん、やっぱり俺は槍だなって。」


ユウトはこの後、興奮したアークからしばらく槍と手槍の話を聞かされることになってしまった。



ユウトとアークがのんびりお風呂に入っているとき、人数が増えたこともあってマギア達は大きな群れを狙って討伐していた。


マギアは、群れに近づくと、チームのメンバーに次々と配置を指示を出した。


時にはアリーナが思いもよらぬ戦術をとることも有り、アリーナにとっても驚くことが多かった。


マギアは戦闘が終わると、毎回全員を集め、今の戦術について説明をしてくれた。


時々、攻撃する人数を減らして、少人数で大きな群れを倒す戦術も教えてくれた。


マギアの戦術は変幻自在で、敵の状況を把握すると瞬時に指示を発していた。


そして最後に、100体ほどの大きな群れを攻めようとしていたとき、ヨシマサから「手伝うよ。」と連絡が入った。


マギアは、ヨシマサにばかでかいオーガを最初に倒し、その後は逃げ出した魔獣を倒すように指示を出した。


マギアの指示でアリーナ達が配置につくと、ヨシマサが強弓を放ち、巨大なオーガの頭を吹き飛ばした。


それを合図にアリーナ達は群れに突入し、あっという間に100体の魔物どもを倒した。


戦闘後にマギアが戦術について説明をし終えると、アリーナ達はタナン街へ帰って行った。



ユウトの方はアークの話をお風呂で長々と聞かされ、やっと食堂にたどり着いた。


夕食を食べていると、アリーナやヨシマサ達も食堂へやってきた。


アリーナはユウトの隣に座ると、興奮した様子でマギアの戦術のことを話し始めた。


「ユウト聞いてよ。今日初めてマギアさんのチームに入ったじゃない。とっても良い1日を過ごしたわ。」


「マギアさんはね、魔物の群れを確認すると、瞬時に私たちに位置取りや攻撃方法を指示するのよ。それが、全く隙のない戦術でね、また、私が思いも付かないような戦術ばかりで、ほんうに勉強になったわ。」


「ユウトが二刀流なんて思いつかなかったら、こんな機会はなかったわ。ユウト有り難うね。」


そして、アリーナはユウトに自分の戦術とマギアの戦術を比較して、違いを延々と話し続けた。


ユウトは先ほどまでアークの話に付き合わされていたが、今度はアリーナの話に付き合わされることになった。


アリーナの話の話が終わる頃には、他の皆は既に部屋に戻っていて、食堂にいるのはユウトとアリーナだけだった。


ユウトは部屋に戻る前に今後についてアリーナに尋ねた。


「ねぇアリーナ。実地訓練はいつ頃までやる予定なの。」


「そうねぇ、当初は3日くらいと思っていたけど、もう少し伸ばしても良いわね。ユウトの二刀流、アークの手槍、私ももう少しマギアさんから学びたいし。」


「あ、オールドマスターズの皆さんもおつかれでしょうから、明日の実地訓練は、お休みにしました。午後から、ユウト達の練習はみてくださるそうなので、その後皆お食事しましょう。それからオールドマスターズの皆さんには明後日から、あと3日ほど実地訓練をお願いしようと思っています。」


「イーデル国は三勤一休が基本だから、休みを入れないとね。」


(あと3日か、なんとか形にしたいな。)


「あ、でも、しばらくはこの地に留まるので、教えてもらうことは出来ますよ。」


「うん、そうだね。」


(この街を離れるまでになんとかしたいな。)


「それから、魔物討伐は基本的に夜なので、起床はお昼にして、日没前に昼食、戻ったら夕食という風に時間帯を変えた方が良いとマギアさんに言われたんだけど、どう思います。」


「確かにそうだね。直ぐには変えられないかもしれないけど、少しずつ変えていこうか。」


「では、皆には私から伝えておきますね。」



ユウトは部屋に戻ると、木刀を取り出して、左手1本で素振りを始めた。


利き腕の右手と比べるとまだまだだったが、音はかなり小さくなってきていた。


しばらくユウトが木刀で素振りをして、そろそろ寝ようと思った頃、アークがやってきた。


「ユウト、青龍偃月刀は返しておくよ。」


「スピアード殿に習うんじゃないの?」


「そうも思ったんだが、二兎を追う者は一兎をも得ずと言うじゃないか。今は槍がすごく楽しいし、投げ槍も覚えないといけないから、槍に集中するよ。」


ユウトは青龍偃月刀をアークから受け取ると、明日はお休みで、実地訓練はあと3日の予定だとアークに伝えておいた。


アークは、「3日、3日」とつぶやきながらユウトの部屋を出て行った。

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