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魔王ガリウスの末裔 ~異世界でいきなり次期魔王宣告を受けてしまいました~  作者: 宜候(ヨロシクソウロウ)
第2章 ミナレ国 ~グラーブル辺境伯領~
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第17話「タナンの街」

タナンの街に着くと、とりあえずギルド長に紹介状を書いてもらった商館へと向かった。


受付でハーフェンのギルド長から商館の主への紹介状があることを告げると、商館の主がまもなくやってきた。


「この商館の主ヘンラーです。」


「初めまして。アリーナと申します。」


アリーナは紹介状をヘンラーへ渡した。


ヘンラーは紹介状を読むと、思わず「あっ」と声を出した。


「紹介状確かに拝見いたしました。まずはこちらでおくつろぎください。」


ユウト達は応接室へと通された。


応接室へ入るとユウトは、「しばらくお世話になります。ユウトです。」と挨拶をした。


「おお、ユウト様。おいでいただき誠にありがとうございます。お目にかかれて大変光栄に存じます。」


「ここでは身分は隠し、ただのシルバーランクの冒険者として活動しますので、気楽にお話しいただけれは結構です。また従業員の方々にも、冒険者ユウトとして接していただくようにお願いいたします。」


「分かりました。この商館の従業員は全員イーデル国出身でございます。宜しければユウト様からその旨お話いただけると有りがたく存じます。」


「分かりました。では早いほうが良いですよね?」


「はい。では地下に大浴場がございますので、皆様には旅の汗を流していただいて、その間に従業員を集めたいと存じます。」


「分かりました。」


ユウト達はヘンラーの案内で大浴場へ行った。


湯船につかるとヨシマサがユウトに「スゲー威力だったよ。俺の強弓。ユウトにも見せたかったぜ。」とうれしそうに言った。


「俺の大剣もすごい切れ味だったぞ。ユウト有り難うだぞ。」ケインもうれしそうに話した。


「俺の槍もオーガを一突きだった。これで、オーガは問題なく倒せそうだよ。」


「それは良かった。」


ユウトは今回戦闘に参加していないので、少し不満だったが、皆が喜んでいる姿を見ると、段々自分もうれしくなってきた。


「ところでユウト、これからも青龍偃月刀を使うのか?」


アークに尋ねられて、ユウトは少し考え込んだ。


「んーそうだなぁ。ちょっと派手すぎるから、青龍偃月刀を使っているとアリーナが戦闘に参加させてくれないかもなぁ。」


「六尺棒でも良いんだけど、何かもう少し地味な武器が良いかもしれないとは考えているんだ。何か良い物は無いかな?」


「龍が飛び出したり、地割れを起こしたりすると、もしもミナレ国の人に見られると、噂になっちゃうよね。」


「ユウトは何を使っても、派手になりそうだよな。」


アークはそう言うと少し考え込んでしまった。


「アリーナみたいに刀でどうだ?」


「そうだね、後でアリーナにも相談してみるよ。なんか棍棒でも渡されそうで怖いけど。」


「刀ならオラが作った物が1本あるぞ。それ使うと良いぞ。」


「じゃ、それをアリーナに見せてみるよ。」


ユウトは、お風呂を出ると再び応接室へ戻った。


全員がそろうとヘンラーが呼びに来た。


「全員そろっております。こちらへ。」


ヘンラーに案内されたところには、20名ほどの従業員が集まっていた。


「では、ユウト様お願いいたします。」


「皆さんこんばんは。私はイーデル国から来たユウトです。」


すると、従業員達がざわめき始めた。


「今回こちらへは、魔物討伐でやってきました。」


ここで、アリーナがユウトに変わって話し始めた。


「皆さんご存じの方もあるかと思いますが、ユウトは次期魔王です。」


「ただ、この地ではシルバーランクの冒険者として活動しますので、皆さんもそのような対応をお願いいたします。」


「うぉーユウト様だ。」


「次期魔王様だぁ」


皆驚いていたが、はっと我に返り、片膝をついて頭を下げた。


「皆さん、畏まらなくても大丈夫です。気楽にして下さい。」


ユウトが言うと従業員達は立ち上がり、ユウトに向かって深々とお辞儀をした。


「ミナレ国の人には知られたくないので、冒険者ユウトとしてお付き合い下さい。」


「分かりました。」


従業員達が返事をすると、ヘンラーが従業員の中から一人の少女を呼び出した。


「これは私の娘のラナです。ユウト様方の専属メイドと致しますので、何なりと申しつけ下さい。」


ラナは大正風のメイド服を着ていて、かわいい少女だった。


「有り難うございます。ラナ、よろしくね。」


「はい。ではお食事の用意が出来るまで、お部屋でお待ち下さい。」


ラナはそう言うとユウト達を部屋に案内した。


ユウトが部屋で一息ついていると、ケインが刀を持ってやってきた。


「ユウトこの刀だぞ。」


ケインはそう言って1本の刀をユウトに渡した。


「アリーナ用に作った刀だけど、少し長いと言うから、自分で使おうと思って持ってきたんだぞ。」


「私が使っても良いのかい?」


「オラは大剣があるから、構わないぞ。」


「では、遠慮なく使わせてもらうね。」


「じゃ、早速アリーナに見せに行こうかな。」


ユウトとケインがアリーナの部屋に行くと、アリーナは木刀と棍棒を手にしていた。


棍棒を見るとユウトはかなり焦った。


「あら、ユウトさん。どうなさったの?」


「武器のことで相談しようと思って。」


「丁度良かった、私もユウトさんに武器を持っていこうと思っていたの。」


そう言うと、アリーナは木刀と棍棒をユウトの前に差しだそうとした。


「アリーナ、実はケインから刀を借りてね。これを使おうと思っているんだ。」


「あら、その刀見覚えがあります。」


「ケインが以前アリーナ用に作った刀だよ。」


「あーそうでしたね。で、これをユウトさんが?」


「うん。どうだろう。」


「うーん。ユウトさんにはこの木刀か棍棒が良いかと思っていたのですが・・・」


「いやいや、棍棒でオーガを倒しちゃったら、逆に目立つでしょう。」


ユウトは必死にアリーナを説得しようとした。


「確かにユウトの言うことも一理あるわね。じゃ、とりあえず刀を使ってもらいます。ただし、また加減が出来ないようなら、この棍棒ですよ。」


「うん、分かった。ちゃんと加減するよ。」


ユウトはなんとかアリーナの了解を得て、ほっとして部屋に戻った。


「いやー助かったよ。ケインどうも有り難う。」


「どういたしましてだぞ。じゃ、オラも部屋に戻るぞ。」


ケインが出てしばらくすると、ラナが食事の用意が出来たと呼びに来た。


食堂に行くと、いくつかのテーブルがあってそれぞれに沢山の料理が置かれていた。


ユウトはヘンラーと同じテーブルで食事を始めた。


今日は魔物のことは忘れて、ゆっくり食事をしましょうとアリーナが言うので、ユウトはヘンラーに料理のことを尋ねたりしながら、料理を楽しんだ。


ケインやヨシマサはまだ食事をしていたが、ユウトはお腹もふくれたので部屋に戻ろうとした。


すると、ラナが客が来ていると伝えに来た。


この街のイーデル国の冒険者が、ハーフェンのギルド長からの伝令を受け取り、ユウトに挨拶がしたいと商館に訪れたと言うことだった。


ユウトは食事中の仲間を残して、アリーナと二人で会いに行った。


冒険者達が待っている応接室に行くと10人の冒険者が待っていた。


5人はシルバーランクの若者達で、残りの5人はゴールドのランクの初老のチームだった。


ユウトの姿を見る、10人の冒険者達は片膝をついて頭を下げ、「ユウト様、お会いできて区営です。」と言った。


「皆さん初めまして。ユウトです。しばらくこの街にとどまる予定なので、宜しくお願いします。」


「ここではただのシルバーランクの冒険者ですので、畏まらずにお付き合いいただければうれしいです。」


アリーナは「皆さん、この場は無礼講で。」と冒険者達に告げると、皆ユウトの元へやってきて挨拶をした。


しばらくすると他のメンバーも食事を終えてやってきた。


そして中には知り合いもいたらしく、仲良く話し始めた。


話によると、若い冒険者は、兵士から選抜されたものたちで、初老の冒険者は、兵士を退役した人達と言うことだった。


しばらく雑談していたが、今日は時刻も遅かったので、冒険者達は帰って行った。


アリーナに明日の予定を聞くと、明日は全員お休みと言うことになり、ユウト達もそれぞれの部屋へ向かった。


ユウトは部屋に戻ると、少し刀の感触を確かめておこうと思い、裏庭へと向かった。


裏庭でユウトが刀を振っていると、ビシッビシッと音が響いた。


(どうもしっくりこないな。)


そんなことを思いながらしばらく刀を振っていると、初老の冒険者がユウトに近づいてきた。


「ユウト殿、刀はあまり使われたことがないのですか?」


「これはケンファ殿、お恥ずかしいところをお見せしました。今まで六尺棒を使っていたので、刀はあまり使ってきませんでした。」


声をかけたのは、先ほど会った冒険者のケンファだった。


「そういうことですか、では、一つご指南いたしましょう。」


「それは助かります。宜しくお願いします。」


「まず肩の力を抜いて下さい。そして、円をイメージしてなめらかに滑らせるように剣を振ってみて下さい。」


ケンファは自ら剣を振ってユウトに見せた。


ユウトが言われたようにやってみると、ビシッという音がなくなり、空気を切り裂くようなシュッという音に変わった。


「良い感じです。六尺棒ではどうしても叩き付ける感じになりますが、刀は刃を滑らせて切る事をイメージして使われれば、力もいらなくなります。」


「確かにおっしゃるとおりですね。有り難うございます。」


その後もケンファは攻撃の受け方や足さばきなど刀に関する知識をユウトに教えた。


「ユウト殿は覚えが早い。感心いたしました。では、夜も更けたことですのでこれにて失礼いたします。」


「ケンファ殿、有り難うございました。」


ユウトはケンファが帰った後も、今教えられたことを繰り返し練習した。

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