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滅びゆく世界と救済の勇者  作者: 福人漬け
世界崩壊編
22/23

21話 勝利

よろしくお願いします。


 怪物を確実に殺す。


 「相手は?」

 「オリハルコン製の防具に首を切ってもすぐにくっつく。そしてかなり素早い」

 「了解した」


 理解が早いユア。

 傷は大分塞がってきたようだ。痛みも痺れもなくなっている。

 

 「ノトス、後どれくらいで完全に傷が治る?」

 『あと5分あれば治るのじゃ』

 「分かりました。それまでは私が時間を稼ぎます」

 

 そう言うと腰の長刀を居合で構えるユア。

 そして怪物が上から超スピードで俺に向かってくる。

 怪物と俺の間にユアが入り怪物とのすれ違いざまに一閃。とんでもない速度で抜刀された長刀は正確に見えなかった。しかし防具の弱点である関節部分に全て吸い込まれる様に当たったのは結果を見て明らかだろう。両腕、両足、首、全てが胴体から離れ地面に落ちている。

 

 「すごいな……」

 『確かに。お主も見習うのじゃな』


 しかし怪物の身体はすでに治りかけている。改めて見ても恐ろしいほどの再生速度だ。

 

 「ユア! あの手の怪物は確実にどこかに動力となる(コア)が存在する筈だ! それを破壊すれば倒せるはず!」

 「根拠は?」

 「クリエイターの創造力を信じよう……」

 『お主それって……』

 「そうだよ! アニメとか漫画だとそういう弱点があるだろ! そのことだよ!」

 『……』


 ノトスは呆れたように溜息をつくがすぐに笑い出し大きく頷く。


 『ふむ。現状ほかに良い案もない。ではその(コア)とやらを探すかのう』


 どうやら納得してくれたらしい。

 ユアも大きく頷いている。

 そうこうしてる間に怪物の再生は終わってしまった。しかし今度は俺とユアの二人が相手になる。

 俺は再び右手にオリハルコン製の刀を作り出す。


 『それでどうやって探し出すのじゃ?』

 「そんなの相手を粉微塵に切り刻む!」

 『そんなことだろうと思ったのじゃ……』

 「ではまずあの厄介な防具をどうにかしなければなりませんね」


 ユアの言う通り。オリハルコン製の防具は同じオリハルコン製である俺の刀でも切れない。さてどうしたものか……。


 『わしに良い考えがある』

 「どうするの?」

 『ふむ。まずあの怪物を先程のように切る。それから再生する前にわしの種を植え付けておく。それでいけるはずじゃ』

 「ノトスの種ってなんだよ……」

 『これじゃ』


 そう言うと左手にパチンコ玉のような球体が4つ現れる。


 「これを植え付けるとどうなるの?」

 『それは見てのお楽しみじゃ』

 「ではとりあえずまた切ります」


 ユアが再び長刀の柄に手をかけ居合の構えをとる。

 何度見ても隙もなく威圧感が半端無い。

 その威圧感に押されたのか怪物は俺ではなくユアに向かって再び攻撃を仕掛ける。今度の動きも単調でユアの刀の餌食となる。

 すかさず切り口からノトスの種を植えて即離脱。上手く植えることができた。そしてあっという間に再生されパチンコ玉の大きさの種は怪物の体に入った。

 

 『これでわしらの勝ちじゃ』

 

 ノトスはそう言うが特に変化は起こらない。

 あろうことか怪物はまた攻撃を仕掛けようとしてくる。

 しかし突然苦しみ出すと、さっき種を植えた所からオリハルコンの刃が棘のように内側から出てきた。


 『名付けて刃爆弾。わしの意思であれはオリハルコンの刃を外に向けて放つという優れものじゃ』

 「それ……やばくね?」

 『やばいのじゃ。凶悪過ぎて今まで一度も使ってこなかったのじゃ』

 

 埋め込まれた箇所つまり4つの関節からオリハルコンの刃が内側から出てくる。怪物はまるでサボテン状態だ。

 さらに……


 「おい、あれなんか凄いことになってるぞ」


 なんと刃からさらに刃が無数に放たれ怪物の姿は完全に膨らんだハリセンボンみたいになっている。

 多分怪物の体の中にあった(コア)は完全に壊れたのだろう、怪物はもうピクリとも動いてない。

 

 「殺ったの?」

 「殺りましたね」

 『殺ったのじゃ』

 「そんな便利な物があるなら最初から言ってよ」

 『1000年以上使ってこなかった道具などそんなに覚えておらんわ! 今回思い出せたのは奇跡じゃな』


 そういうことで俺たちは案外簡単に勝利を収めた。

 最早枝の生えた木のようになってしまった怪物と川のように流れ出る青い血わ放っておくわけにもいかず俺たちは(もや)さんが来るまでの10分間ただ待っていた。

 ちなみに戦闘時間は合計で20分ほどだった。

気に入っていただけたら感想、ブックマークよろしくお願いします。

次話は今週から来週に投稿です!

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