20話 危機一髪
少し急いだので読みにくかったらすいません
一か八かの勝負。
まずは相手の足を止める。早くてなかなか捉えることができないがだいたいパターンが掴めてきた。
怪物の姿がまた消える。
「そこだぁ!」
怪物のパターン。それは時計回りに殴ってくること、つまり前、右、後ろ、左となんとも単純なパターンだった。多分複雑な寄生されているから複雑な思考は出来ないのであろう。
いくら早くてもくる場所が分かるなら対処は簡単だ。俺は後ろから来る怪物の拳を避け、懐に入り怪物の目を右手の刀を横に払って潰す。青い液体が宙を舞い怪物が悲鳴をあげる。
その隙に俺は防具の弱点である関節部分を狙う。両手両足の関節を刀で切る。
完全に動きが取れなくなった悲鳴を上げながら崩れ落ちる。
俺はゆっくりと近づき怪物を見下ろす。床は怪物の青い血で染まっている。
「上手くいってよかった……」
『お主……意外とできるんじゃな……』
「いやいや、アニメとかで得た知識だよ……。やっぱりアニメは役に立つな」
『そ、そうか……』
倒れている怪物の首、防具で隠せてない部分に刀をつける。
「お前はどの世界から来た?」
「…………」
『無駄じゃよ。完全に寄生されておる。もう元の意識は完全にあるまい』
「……なんだか可哀想だね……」
こいつも本当はいい奴だったかもしれない。しかしエイリアンに寄生されたせいでこんなことになってしまった。
『一思いに殺してやるのがこやつにとってのせめてもの償いじゃ』
刀を振り上げ瞬時に頭を切断する。あまりにも簡単に切れてしまい呆気ない。青い血がさらに床を濡らし、怪物は完全に動きを止める。
『よくやったのう。びっくりしたのじゃ』
「だからアニメのおかげだって。そんなことより霞を追いかけよう」
食堂の時計を見るが戦闘で見るも無残に破壊されている。でも大体10分くらいしか経ってない筈だ。それほど戦闘は呆気なく終わってしまった。
「誓約したまま行こう。多分まだ追いつけッ!」
『燈ッ!』
腹が熱い。
お腹を見ると何やら突き出ている。口から腹から血が溢れ出て止まらない。
「なん……ゴホッ……」
「モートタイトは……オレと一緒に来い」
「ふざけんッな!」
かなり痛いが腹から突き出た怪物の手を無理やり引き抜く。
血が床を濡らしよろめきながら怪物から距離を取る。
見ると怪物の頭が首に戻ろうとしている。
「はぁ……はぁ……」
『大丈夫か?』
「大丈夫に……見えるか?……」
痛い。熱い。
体が上手く動かない。手足が痺れ震えが止まらない。
『落ち着け。痛みに支配されるな。この傷ならまだ動ける』
「いやかなり痛いんですけど……。もう倒れそうなんですけど……」
『ここで倒れたら死ぬぞ』
ノトスの言う通り。目の前にはまだ怪物が無傷で立っている。ここで倒れたら連れて行かれてどうなるか分からない。
心を落ち着かせて痛みを除外する。……なんだかあまり痛くなくなってきた。見ると血は鉱化によって既に止まっている。痛みはアドレナリンの出過ぎで麻痺してるのか。
『やれるか?』
「だ、大丈夫……だと思う」
痛みはまだ少しあるが動ける範囲だ。手足の麻痺も震えも止まり自由に動かせる。
気合いを入れ、石器刀を再び右手に出現させる。しかし先ほどまで1メートルくらいあった刀の長さが今は半分くらいに縮んでいる。
「なんか短くなってるけど……」
『傷の修復に力を割いているのじゃ。しばらくはどうにもならん』
まじかよ……。
そして怪物の姿が目の前から消え再び拳を振るってくる。今度はパターンなんてない。あらゆる方向からランダムに選んでいるのか縦横無尽に拳を振るってくる。
避け切れない。
体中がとんでもないほどの痛みに襲われる。
そして足を掴まれグルグル回され思いっきり放り出される。
「うわぁ!」
15階の窓から外に投げ出され一瞬の浮遊感の後重力が俺を地面まで押してくる。
「うわぁぁぁぁぁ!」
『ッ! 全身を鉱化させるのじゃ!』
地面が着々と近づいてくる。絶叫系の乗り物は大丈夫だとは言えこれはさすがに怖い。
下にはまだ人が結構いる。なんとか態勢を立て直し人がいない所に着地しようとする。
キィィィィィン!
地面とオリハルコンが勢いよく当たった音が周囲に響く。
多くの人が逃げ惑い混乱が渦巻いている。その中に見知った顔がいた。
「霞!」
「燈!」
「なんでまだこんな所にいるんだ⁉︎」
「人が大勢でそれにこの子……」
見ると霞の後ろから5歳くらいの男の子が現れる。
「お母さんとはぐれちゃったみたいなの……」
大学の食堂は一般の人も自由に使える。この時間に子供連れがいても不思議ではない。
「靄さんは?」
「まだ来てないみたい。それよりも大丈夫なの⁉︎ それにノトスちゃんは?」
「ノトスも俺も大丈夫だ。それより早くここから……」
『燈! 上じゃ!』
上を見ると怪物が蝙蝠の様な羽を伸ばしこちらに降りて来ている。
「とりあえずその子を連れて早くここから離れろ!」
「う、うん」
幸いなことに怪物は俺以外に興味はないのだろう。真っ直ぐ俺に向かってくる。
『まだ傷は塞がってないが大丈夫か?』
「やるしかない」
すると後方から聞いたことのある声が聞こえてくる。
「真刀燈!」
「ユア!」
現れたのは昨日出会った地底人。
出会ったばかりとは言え既に一度共闘しているからか信頼できる。
ユアが来たってことは靄さんもすぐに来るだろう。
今度こそ怪物を殺す。
次話は来週中になります
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