19話 強襲
よろしくお願いします。
「あれが……多次元型寄生エイリアンか!」
巨大な三角錐型の宇宙船。雲の様に浮かんでいるがその存在感は現実からかけ離れすぎている。
ノトスが言うにはあれがアルトリアを一度滅ぼしかけ、勇者の俺を連れて行ったという宇宙船。
まるで映画を見ている気分になってくる。
「燈、ノトスちゃん……あれが何か知ってるの?」
さっきの会話を聞いていたのだろう霞が聞いてくる。
「……今は説明してる暇はない。とりあえず霞はわしらと一緒に……ッ! 燈! 何かくるぞ!」
「何かってなん……ッ!」
ノトスが慌てた様子で言うと食堂のガラスが割れ、黒い影が疾風の様に入ってくる。
それは明らかに人とは異なる存在だ。背丈は5メートル以上あり背中から蝙蝠の羽のようなものが生えている。顔からは一本の真っ黒な角がある。まるで悪魔のようだ。
食堂にいた人は皆呆然とその怪物を見て固まっている。
すると金髪ピアスのチャラチャラした男が怪物に近づいている。
「宇宙人さ~ん、初めまして~。仲良くしましょ~」
明らかに舐めた感じで怪物に近づき握手を求めている。
怪物はその金髪ピアスに気付いた様子もなくただ俺をじっと見ている。
「あれ~無視ですか~。日本語通じな……」
金髪は最後まで言葉を言うことなく突然黙る。
「あやつ……死んだぞ」
ノトスが金髪ピアスを見てそう言う。
どうやらノトスはあの怪物が何かをしたのに気付いたらしい。
すると突然金髪ピアスの頭が体から離れる。そして間欠泉のように首から血が溢れ出しあっという間に周囲に血の川が流れ始める。
一瞬周囲が静まり返ったがすぐにどういう状況か気付きざわめきが覆い尽くす。
我先にと食堂から出ようと人々。雪崩の様に食堂の出口に向かいあっという間に食堂から人が消える。
今は俺、ノトス、霞しか残ってない。
「気をつけるのじゃ……。こいつ寄生されて変異しておる」
「霞……今から全速力で靄さんのところまで行け。あの人なら今全力でこっちに向かって来ているはずだ」
「ちょっ……何言ってんのよ! そんなことよりせつめ……」
「いいから早く行け!」
「分かったわよ……後でしっかり説明しなさいよ!」
そう言うと食堂から居なくなる。
大丈夫。靄さんなら確実にこっちに向かってくるという確信がある。あの人はそういう人だ。
それよりも目の前の怪物が全く動く気配がないのはどういうことか……。
すると突然怪物は牙が生えている大きな口で俺に向かって話してくる。
「お前が……モートタイトを宿している人間か?」
「ッ!」
むせ返るほどの血臭が鼻を刺激し頭がクラクラしてくる。
しかしこれではっきりした。奴らの狙いは俺の中のモートタイト、星の欠片だと。
「それよりもお主は誰じゃ。名を名乗らん奴なんかの質問に答える義理などないわ」
「お前がモートタイトを宿している人間か?」
ノトスの言葉は完全無視。
怪物のダイヤの様に輝く目が俺を見てくる。正直、怖すぎるがなんとか震えを抑えて奴に言う。
「ああ、そうだがッ!」
答えた瞬間破壊音とともに俺の居た場所に風穴が開く。間一髪のところでノトスが手を引いてくれなければ俺は確実に跡形もなく消えていた。
「燈! やるぞ!」
「わ、分かった! このままだと瞬殺されるわ」
すでに俺の手はノトスの手を握り、エンゲージの準備は完了している。
変身をイメージすると隣のノトスが消える。
『よし! ではあやつを倒すぞ』
「おう!」
怪物は俺の変化に気付いたのかさっきより明らかに臨戦態勢を整えている。
俺は右手にイメージした石器刀を構え足に力を込める。
「はッ!」
一閃。すれ違いざまに全力を刀に込め怪物に叩き込む。
当たりはしたが全く手応えがなかった。
怪物を見ると無傷で立っている。
『オリハルコン製の防具か』
「マジかよ……」
真っ黒な鎧を身に着け悠然と佇んでいる怪物。
そして瞬間、怪物の姿が消えたかと思ったら右から拳が飛んでくる。
はやッ!
瞬間移動みたいな感じで移動してくる怪物。
とっさに頭を鉱化させどうにか拳を防ぐ。
すぐに怪物はどうにか反応できる速度で移動し拳を振るい、俺はそれを鉱化させて防ぐ。
「おいおい……どうすればいいんだよ……」
『落ち着け。なんだかんだ奴の攻撃をしっかりと防いでおるではないか。よく考えてよく見て対応すればお主だったら余裕で倒せるはずじゃ』
こんな時でもノトスは自分でどうにかしろと言ってくる。正直そんなこと言っている場合ではないと思うんだが……。
しかし俺の頭には既に道筋は出来ている。
一か八かの勝負するしかない。
戦闘描写めちゃくちゃ難しすぎだわ!
感想があったらよろしくお願いします。
次話は来週だと思われます。




