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混沌の戦場 3

「伯父上は……動かれないんですか」


経済学の授業を終え、いつものように東宮の間でくつろいでいるムジャンタ・ラスコーの言葉に西園寺孝基は苦笑いで応えた。


「そんなに好戦的に見えるか……俺は」


「でも傭兵なんですよね」


「確かに稼業は傭兵だ。人を殺しておまんまにありついてる。だが今俺がこうしているのはお前の伯父としてでもある。それに何千という胡州浪人を束ねなくてはならない。さらにアサルト・モジュールのパイロットまで兼ねている」


「でもそんなに忙しいなら余に構っている暇は無いのじゃないですか?」


不思議そうに見つめてくるラスコー。孝基はそのまま窓のところまで行き空を眺めた。


「今戦っているのは両軍の前衛部隊……特に央都の軍は練度も低く緒戦は勝利を収めるでしょう」


「ならそのままの勢いで……」


「無理ですな。央都軍の主力は宮殿近くの駐屯地から動いたという情報はない。しかも南都の二個師団がこれに加わる」


「それが出てくる前に叩けば」


「現在東海の軍も州境の越境攻撃を繰り返している。ここ兼州を空にするわけにはいかないのです」


孝基の弱気とも取れる言葉にラスコーは恐怖のようなものを感じていた。


「やはり負けるのですね」


落ち込むラスコーの肩をそばまで来て軽く孝基は叩いた。


「そう落ち込むものではありません。それに全ての元凶はガルシア・ゴンザレス将軍にある。奴を叩けば全てが終わる」


「でも宮殿の奥深くにいるんじゃないのですか?ゴンザレス将軍は最前線に出てくるような機会は……」


「来ますな」


ラスコーの言葉を遮るように孝基の鋭い声が響いた。


「炊事班とは言え前線上がりの叩き上げた。もし戦線が膠着したとなればまず間違いなく前線部隊の指揮を自分で取ろうとする。そこがつけ目だ」


そう言って孝基は拳を握り締めた。

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