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戦いの序章 16

「三つの村を焼いた……何のために?」


浅野英次の言葉に真田は笑顔を作りながら応える。


「火事を起こしてくれと頼んだのはそちらの方だ……村が三つで済んだのだから逆に感謝をされてもいいくらいですがね」


向かい合って座る浅野は視線を首相の執務机に座っているゴンザレス将軍に向けた。


「この火事燃える場所を間違えればこちらに火の粉がかかるぞ」


ゴンザレス将軍の言葉を聞いても真田は特に表情を変えることはなかった。


「すでに兼州は西園寺孝基に同情的なジャーナリストが潜入している情報もあるんですよ!そうなれば……」


「恐らく東和が動く。東和共和国……基本的に遼州大陸には無関心だが……被害の状況によっては兼州周辺に飛行禁止区域を作るくらいのことはやりかねない」


吉田の言葉に浅野は頭を抱える。


「それではこちらが不利になるではないか!大体キサマらは誰のために戦っているんだ?」


「おかしなことをおっしゃりますね。我々は胡州陸軍を代表する立場にある」


「つまりラスコーに取って代わるのが東海が立ててる次男のムスガでも良いわけだ」


カマをかけたという吉田の指摘に真田は顔をしかめる。


「それに……あなたが部隊を動かしたのは三つの村ではなく四つの村。第四の村では部隊が全滅したみたいじゃないの」


吉田の追い打ちに真田は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべる。


「四つの村……なぜ報道は三つの村が襲撃されたとしか発表しないんだ」


「なあに……生存者がいないんですよ……ああ、そうじゃなかった。お宅の部隊を全滅させた兵士……無人機のデータからするとナイフ使いの少女に見えましたが……彼女は村を出る様子がない」


「ハッキングしているのか?」


ようやく絞り出すようにして真田がつぶやく。それを吉田はさも嬉しそうな表情で眺めていた。

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