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後日談:あの人たちの今

※誤字報告ありがとうございました。

 はい、再び、ララリーにございます。


 卒業してから半年が経ちました。

 今日は久々に友人からお呼ばれされまして、お茶会に参加しております。


「ララリー!久しぶりね!」


 今日集まっているのは学園時代の友人たちなのですが、みなさま、笑顔で迎えてくださいました。卒業後もこうやってお会いできる友人ができたこと、本当にうれしく思っておりますわ。


 久しぶりに会ったのはわたくしだけではなく、皆同様ですので、しばらくは近況に華を咲かせていたのですが、いつの間にか、話題は、やっぱり、あの方のことになりました。


「そう言えば、聞きました?カロリーナ様が、遂に新たな婚約を結ばれたこと」

「聞きましたわ!何でも、隣国の王弟殿下だとか」

「外交のお仕事をされていた時の縁だそうですわ」


 友人たちが、きゃー!と盛り上がっていて、わたくしも楽しくなりますわね。


 カロリーナ様は、あの卒業パーティーの後、早々に王子との婚約を解消されたと聞いております。円満解消だったとのことで、本当によかったと思いますわ。


 ただ、円満と言っても、王子にとってはそうではなかったでしょうけれど。

 何でも、王位継承権を剥奪されたようですから。


 散々好き勝手なことをした挙句に、シュヴィレール公爵家の後ろ盾を失ったのですから、それも致し方ないとは思いますけれどね。


 いずれ臣籍降下となりますから、今はそのための再教育中だとか。

 その成果次第では公爵位あたりをもらえるということですが。

 あの王子ですからねぇ…………。難しいかもしれませんね。


 ああ、そうですわ。

 結局、王子はヒロインと婚約しませんでした。


 ヒロインは北の修道院に入れられましたしね。

 結婚なんてできません。


 王子たちのことにしても、カロリーナ様への不敬にしても、全く反省の色が見えなかったどころか、何をしたのかは知りませんが、一時、牢に入っていたようで、その牢でも看守に色目を使ったりしていたようですから。


 王都追放くらいで済んだところを、自分で自分の首を絞めたようですわ。


 きっと、ヒロインは、今でもここが現実だと理解できていないのでしょう。

 すべては自業自得なのですが、同郷の身としては本当に残念ですわね。


 北の修道院は大変厳しい場所だと聞いております。

 そこでの生活で、ヒロインが今度こそ気づいてくれるのを願うのみですわ。


「カロリーナ様は隣国に行ってしまわれるのかしら?」


 友人のその言葉で我に返りました。

 すっかり思考を飛ばしてしまっておりましたわ。


「え?私は、カロリーナ様がシュヴィレール公爵家を継ぐと聞いたわよ?」

「ええ、そうですわ。王弟殿下を婿に迎えるんですって」


 わたくしもそう聞いておりますわ。


 弟君はヒロインと関係を持ってしまいましたから。

 当然ながら婚約は解消されて、当初は、しばしの謹慎の後に再教育、というお話になったようですのよ。


 でも、弟君自ら、爵位の継承を辞退されたとのことで。

 いたく反省されて、今後は影ながら公爵家の領地経営を支えていきたいと、今は領地で管理人の見習いをしているそうですわ。


 他の側近の方々も、皆、婚約は破棄されていましたわね。

 こちらも当然ですけれど。


 勘当された方はいらっしゃらなかったと思いますが、嫡男であっても爵位の継承権を剥奪されていましたから、婿入り先が見つからなければ、厳しい生活が待っていることでしょうね。


 今、必死で新しい婚約者を探しているようですけれど。

 これまでがこれまでですから、それもなかなか難しいようですわ。

 ご愁傷様でございますわね。


「まあ!では、夜会などでお見掛けすることができますかしら」


 あら、また、思考を飛ばしておりましたわ。

 この友人は、表現が仰々しいところがありますから、気分が盛り上がると声も大きくなるのですよね。


 彼女は伯爵令嬢ですから、王家主催の夜会にも参加できますものね。

 夜会でカロリーナ様を探す彼女が容易に思い浮かびますわ。ふふふ。


「もし、拝顔できたら、その時のことを教えてね。きっとよ」

「もちろんですわ!」

「婚約発表の時は、新聞に載るかしら。私、切り抜いて大切にするわ」


 伯爵令嬢の彼女以外は子爵以下の令嬢ですから、カロリーナ様にお会いする機会はほぼないのです。


 王妃になっていれば、遠目にお見掛けすることもできたのですけれど。

 王子が馬鹿なことをしてくれたおかげで、その機会もなくなってしまいました。

 あの王子がそのまま王にならなかったことはよかったとは思いますけどね。


 でも、そうですわね。

 この世界にも新聞というものがあるのですわ。

 カメラもありますから、きっと美しいカロリーナ様を載せてくれますわよね。

 わたくしも、それを楽しみに待っていましょう。


 それにしても、わたくしたち、カロリーナ様が大好きすぎますね。


 カロリーナ様はわたくしたちの憧れの淑女なのです。

 学園時代も、よくこうやって、カロリーナ様のことを話していましたわ。


「ああ、もう。どうして、学園にはカメラを持ち込めなかったのかしら」

「貴方のように隠し撮りを企む人がいるからですわ」

「くっ………!それは、反論できないわ」


 前世のように、気軽に写真を撮り合える関係でしたらいいのですけれどね。

 この世界はまだまだ封建的ですから。

 カロリーナ様と一緒に写真を撮るなんて、夢のまた夢ですわ。


「私、今でも時々、卒業パーティーでのカロリーナ様を思い出すわ」

「ええ、ええ。あの時の鮮やかなお手並み、素晴らしかったわ」

「対峙していた方々があの方々でしたから、余計に際立っていましたわね」


 卒業パーティーの時のことは、会うたびに話に出ますわね。

 それだけ、わたくしたちの印象に残っているのです。


 王子たちのその後を見ても、あの余興はやっぱり事実だったのだと思います。

 それは、わたくしたちだけでなく、あの場にいた皆が気づいていることですが、表立ってそう話す人はおりません。

 だって、カロリーナ様が余興だと仰ったのですから。


 とはいえ、やっぱり、話したくなってしまうのが人間ですわよね。

 どうしたって話題に出してしまうのですわ。


 わたくしも、乙女ゲームをひっくり返したカロリーナ様のお手並みを忘れることはできません。あの展開は、本当に予想していませんでしたから。


 ああ、どこかに、わたくし以外の転生者はおりませんかしら。

 あの悪役令嬢の独壇場について、語り合いたいものですわ。


 あ、でも、ヒロインはお断りですよ?


 ―――ララリーはまだ知らない。

 その後、嫁いだ先で、カロリーナの乳母に出会うことを。


 このお話で、完結とさせていただきます。

 番外編や後日談までお読みくださいまして、本当にありがとうございました。



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