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落ち着け俺!そう言いながら手元のメモ帳にこう書き記す。
「死にたい…」
時は少し前に遡る。ふと目が覚めるとそこは白い部屋。どうやらここはベッドの中のようだ。
隣に温盛を感じる。視線を向けるとそこには全裸のおっさんが豪快に寝ていた。
昨晩の記憶がない!こんなおっさんに関わる趣味は当然持っていない。
体に異常は感じない。が、この状況は…
ベッドの上にメモ帳とペンを発見する。とりあえず、落ち着く為に昨夜のことを思い出す事にする。
①昨日は仕事が早く終わり、飲みに出かけたはず
②飲んだのは2・3杯程度
③帰り道…そこからが思い出せない
そして冒頭に戻る。おっさんはいまだに眠りについている。
ふとなにか寝言を言っている事に気づく。
「よかったぜ…坊主…」
「あうとーーーー!!」
俺は勢いそのままにペンを自分の首に突き立てた…
ここは死後の世界だろうか…真っ白な景色がそこにはあった。
だが、違うと判断する。そこには確かに温盛があった。
とても覚えのある気配…おっさんがそこにはいた。
「ループ始まった!!こんなループいらねぇえええ」
そう叫んだ時、事態は動き出す。おっさんが寝返りを打ったのだ。
「うるせえ!」そう言いながらおっさんが起き上がる。
正直、恐怖しかない。しかし立ち向かわなければならない。
俺は死んだはずだ!しかし傷跡が存在し無い!
「…っておきたのか小僧!もう死のうとするんじゃねーぞ」
「はいぃ!っていうかここはどこだっ!」
「ここは俺の部屋だな。んでお前もう帰れないから」
「帰れない!?っ監禁でもするつもりか!」
「あーだるっめんどくせーから一度しか言わねーぞ」
要約するとこういう事らしい、このおっさんのせいで現実世界の俺は死んでしまったらしい。
しかもおっさんの手違いで、そこでおっさんが管理する世界へと俺を召喚させる事にしたらしい。
しかし、死んだショックで意識が戻らず、とりあえずベッドに寝かせていたというのが事の次第だ。
今は二人とも服を着こんでいる当然だ。
「なんだ俺の身は無事だったか…」
「いや、この映像の通りお前死んでるから」
そこには確かに見覚えのあるグロ映像が表示されていた。ついでに痛みも思い出した。いらない。
「とりあえず、転生する前にスキルを授けてやる」
そういうとおっさんはこちらに近づきおもむろに口づけた。
完全にマウストゥーマウス。
「ぎゃあああああ!!何しやがる」
「これでお前は拡張スキルを身に付けた!最強になれるぞ!やったな」
「やったな!じゃない何してくれてやがりますか!」
「めんどくせーなこいつ…スキル付与だってんだろうが」
「あぁーじゃぁなにかありがとうとでも言えばいいのか!」
「そうだな」
とりあえず、今の行為を忘れるべく、話の続きを促す。
「つまりだな。あーめんどくせー行けば分かる。以上だ」
「以上だ。じゃないっせめて世界観とかスキルの説明をしろよ!」
「あぁそれならちょうどいいのがあるな…これは魔石だ」
おっさんはゴソゴソと股間の辺りからそれを取り出す。いついれた!!
「見るからにそれっぽいな」
「んで…お前の場合はこう使う!」
そういうとおっさんは俺の背後に回り込み、それを腕ごとねじ込んできた。
「ぎゃあああああ!」
「そのタイミングで拡張スキルだ!拡張と言え!」
「拡張!拡張!拡張!!」
そういうと体内に魔石が取り込まれていった。
「鑑定スキルを取得しました」
何処からともなく機械的な女性の声が響く。
「最悪だ…汚れてしまったんだ俺は…やっぱり死にたい…」
「死ぬんじゃねーぞ。回復させるのは大変なんだからな」
俺がこれから向かう世界は、平和になった後の世界らしい。
その前は魔王だのなんだのが跋扈する世界で、人が死ぬのは当たり前。中々に殺伐とした世界だったらしい。このおっさんが送り込んだ何代か前の勇者が魔王を討伐して平和になったとかなんとか。
「それじゃあ異世界に行く準備は出来たか小僧!」
「おう!」
俺は一刻も早くここから去りたかった。元気よく返事する。
おっさんは振り向くとそれを俺に近づけてくる。
「やめろ!その穴はその穴にだけは入りたくねーーー」
そうして俺は異世界に旅立つこととなった。
ふと嗅ぎなれた匂いがそこに漂う。となりにはおっさんが立っていた。
「お前も来るのかよ!」
「あぁ一人だと大変だろうからな」
こうしておっさん二人の冒険が幕を開けるのだった。




