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第二章「王都ヨキフ」 21.3話

本日2度目の投稿です。 21.2話をお読みで無い方はそちらからどうぞ。

 歓迎パーティの晩餐は大好評だった。

「あの前菜は絶品だったね。あれとふわふわのパン、僕はもうそれで充分だったよ。勿論もちろん他も充分美味しかったけどね」

本日の主賓のお言葉だ。

「なあ、ナタシア」

「私はスープが少し合わなかったかも」

「こら、そんな事を言うもんじゃないよ。ジェリナさん、料理長に前菜とパンが特に素晴らしかったと伝えていただけますか」

と言われたジェリナ様が固まった。

彼女は前菜も誰が作ったかを料理長から聞いているが……いや、言わなくていいですから。


「前菜とパンはフィンリー君の持ち込みというか、彼が作ったと聞いておりまして……」


 あぁぁ、言っちゃいましたか。

主賓の二人だけで無く、王孫バロマッド様にミレユイム様、クウィンツァ様、その言葉を耳にした全員が僕を見る。


「ほう、フルト侯爵家では王宮の料理長に比肩する料理人をいつ雇われたのかお訊きしなければと思っていたが……まさか彼とはね。四王国武闘会の覇者は料理の世界でも覇を唱える器量を備えているのかな」


 一応形式上の挨拶だけは受けてくださっただけで歯牙に掛ける事も無かったバロマッド様が、急に興味を惹かれたように視線鋭く僕を見やった。

「バロマッドさん、彼は『あのベルナール』だよ。その位の事はあって然るべきだね」

「『あのベルナール』と云う言い回しをマーカス様もご存じなのですか?」

それ以上掘り下げないでください、ミレユイム様。

「あら、お兄様、パノン王国の方はやはり何もご存じないようですわ」

王女様……それ以上は『絶対!』駄目なやつです。

「アルテ王家の公文書には『あのベルナールがパノンに頼られ海を渡った』と明記されております。ベルナールがパノンを憐れんで海を渡ったからこそ、全ての国々が今の形に収まった。これがアルテの公式見解ですわ」

そう言い放った王女様の瞳が爛々と僕を見詰める。

さっきまで一顧だにしなかったのが演技だとすれば助演女優賞は固い。

「ほう、ベルナールがパノンを憐れんだと……」

 バロマッド様の声が硬い。

「これは妹が失礼した、バロマッドさん。学舎にも入らぬ子供の言葉だ。聞き流してもらえれば有難い」

日頃は型破りな様でもマーカス様はやはり大人だ。


「ただ真偽のほどは別にして、わが国でベルナールが多少特別な意味を持つ事は間違いがないのでね。四王国武闘会の実績と学院での年次なども考慮すれば彼が僕等兄妹ぼくらきょうだいの学友であって何ら不都合は無いと思うのだが、どうだろうか」


 ああぁ、マーカス様が『思ったより大人』なのは確かだけれど、だからと云って『型破り』が治まる訳じゃないと思い知らされた!


 と思ったのですが、こんな事はほんの序の口で……。

まぁ、その話はまた遠からず。

今日もありがとうございます。 次の投稿は夜の予定です。

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