第二章「王都ヨキフ」 16.4話
本日1回目の投稿です。よろしくお願いします。
ジェリナ様の試合が終わったので直ぐに待機に入った。ほどなく試合が始まる。
僕は大盾を構えている。
『小細工』呼ばわりされたのを思い切り根に持っているので、それに徹してやろうと思ったんだ。
大盾には物送系の陣図と障壁の陣図を付与した。
それぞれに発動魔力保持の機能を組み込んであり、試合開始と同時に満タンにする。
魔力はまだ充分余裕があるが相手の魔法を避けながら魔薬を使う振りをした。
相手の魔法をウェンジィ達が受け流したのを確認して魔具を発動する。
掴んだ僕を引っ張り上げる様に大盾は前方上方へ飛び出した。
相手チームを飛び越える軌道の大盾を会場全員が見上げる。
前衛はウェンジィ達の魔法への対処に手を取られていて、伯爵家のリーダーだけが大盾に魔法を放ってきた。
障壁の陣図が発動してリーダーの魔法を防ぐ。
その直後、僕は大盾を手放した。
大盾は試合場の端まで飛んで行く。
僕は空中で体を捻って相手リーダーのすぐ後ろに『トン』と降り立った。
「どんな小細工でも受けて立つんでしたよね。こんなのはどうですか?」
叫びはしないが会場中に聞えるハッキリとした声で言ってやった。
クルっと正面に回り込むと相手リーダーは目を見開いて固まっている。
そうだねぇ、前衛を飛び越えて来るなんて思わないよね、普通は。
彼の胸に掌を向けると『ドゥォン』と衝撃が彼を襲う。
飛んでいる間に小さな空創系空間に空気をいっぱい詰め込んだのを、彼に向かって解放しただけだが十分すぎる威力だった。
思わぬ展開に呆然自失の相手前衛をビルマード達三人の魔法が襲って、あっと言う間に試合は終了した。
会場中が唖然として歓声も拍手も何も起こらない。
そんな中、会場の隅で次の対戦を待っていたマジャンの公爵令嬢コルネッテさんが『すっく』と立ち上がり一歩踏み出して胸を張った。
「いいでしょう。私の意を酌んでパノン王国の皆さんを貶めるような行動を取った者がいる事は素直に認めましょう。当事者の方々には申し訳ございませんでした。今この時から私どもはあなた方を侮るようなことは決してございません。あなた方を私どものライバルと認め、全力で対戦させていただきますので、覚悟しておいてくださいませ」
本気になったコルネッテさんはこれまでの試合と次元の違う強さだった。
準決勝第2試合、ジェリナ様のチームは死力を振り絞るように戦ったが、2名が残って判定に持ち込むのが精一杯だった。
コルネッテ様とジェリナ様のステータスにそれほど大きな差は無かったが、残り3名の差が大きかった。
ミレユイム様のチームだったら結果は違っていたかも知れないが、たらればを言ってもしようがない。
負けはしたがジェリナ様は清々しい表情だった。
パノン王国をマジャンに認めさせる事が出来たので代表の責任者としては充分な成果と云えるだろう。
さあ……いよいよ決勝戦だ!!
次の投稿は12時台の予定です。




