第二章「王都ヨキフ」 17.1話
本日2度目の投稿です。16.2話をお読みで無い方は、そちらからどうぞ。
「実は僕達、魔法より武術の方が得意なんです。そちらが本気を出されるとの事ですので、僕達も本気でやらせていただきますが、問題ございませんでしょうか?」
僕の暢気そうな声にコルネッテさんは眦を吊り上げた。
「そんな不格好な魔法杖を抱えて、武術ですって。冗談を言って後でいい訳にするつもりではないでしょうね」
「いえいえ、今までと戦法が違うから負けたと仰られても困りますので、一言お断りしておかなくてはと思いまして」
「何ですって、言わせておけば……」
お嬢様らしくそこで一呼吸がおかれた。
「まあいいわ、好きになさい。負けて泣くのに変わりは無いのだから」
準決勝後の休憩が終了して決勝戦の時刻だ。
僕は対峙して開始の合図を待つコルネッテさんに戦法切替えの断りを入れたのだけど、何だか怒らせたみたいだ。
そんな積りは全く無い……とは言えないか。
試合開始の合図と共にコルネッテ様から大きな魔法が僕目掛けて飛んできた。
いやぁ、本当に怒らせてしまったようだ。
ここは受け流しとかじゃなくて、真っ向からお相手するべきだろう。
武術の方が得意だとは言ったが、魔法が苦手とは言っていないからね。
仗が魔法杖と思われているみたいなので僕は仗を構えて障壁の陣図を発動した。
間に合って良かった、詠唱じゃないから少しドキドキする。
コルネッテさん最大級の温操系魔法のようで彼女は魔薬を使っている。
僕が発動した障壁を温操系のエネルギーが食い破ろうとする。
確かになかなか大した魔力だよ。
前以て繋げておいた陣図が障壁を急激に撓めて行く。
障壁は不可視なのでいつもは魔法が当たって発光する部分しか見えないのだが、撓んだ障壁が球状になってエネルギーを閉じ込めると球全体が光って見えた。
光る球が拍動を繰り返すようにして小さくなって行き、遂に熱エネルギーを押し潰して……消えた──実は温操系も組み込んでエネルギーの減衰を早めてあるのだ。でないとこんな数瞬でああは成らない──。
『あんな事って本当にできるの?』
『何が起こっているんだ?』
観客席のそこかしこから声が聞こえる。
「これで魔法が得意じゃないなんて、嫌味の積り?」
最大級の魔法を封じられてプライドが傷付いたのだろう、対戦中にも関わらずコルネッテさんが言い放った。
同時に魔法も放たれる。
今度は逆の温操系、氷結の魔法が僕に命中した。
「「「フィンリー!」」」
3人の悲鳴じみた声が僕を呼ぶ。
僕は真っ白な氷像になってしまった。
次の投稿は18時台の予定です。




