第二章「王都ヨキフ」 15.3話
本日2度目の投稿です。15.3話未読の方はそちらからどうそ。
後衛の二人は僕等の攻撃の合間に何とか攻撃魔法を発動しているがその度に魔力の残量が減っていくのがステータスウィンドウで見て取れる。
直後、一人の障壁がフッと消えた。
「今だ、ウェンジィ!」
慌てて魔薬を使う彼にウェンジィが放った温操系魔法が命中し闘技衣の腹部が紺色に染まる。
ステータスウィンドウで頃合いを見計らって彼の頭部に放った僕の魔法を防ごうと盾を上げた為に下腹部が丸出しになっていたんだ。
もう一人の後衛が魔力切れの前にと魔薬を取り出すのを見て、ウェンジィが発動準備に掛かる。
魔薬は一定以上の魔力を発動している状態では効き目が無い。
メルマディ達が盾に流している程度の微弱な魔力なら大丈夫だが、彼の障壁は魔薬の効果を阻害する。
彼が魔薬を口にしたと同時にウェンジィが魔法を放った。
彼はメルマディとビルマードの魔法を警戒して二人に正対して盾を構えていたので、発動準備と共に移動したウェンジィからは彼の脇腹が丸見えだ。
そこに先程と同じ魔法が当たり、残るは前衛2人となった。
すでにビルマードとメルマディが目標を前衛に切り替えて攻撃している。
ゼスタッテ君の障壁が消えると同時に彼は小盾に隠れるようにしゃがみ込んだ。
後ろの前衛君の姿が丸出しになってビルマードとメルマディの魔法が偶然胸の同じ場所に命中した。
ピンポイントで2発の命中を受けた胸に紺色の小さな丸が描かれた。
「メルマディ、ビルマード、小盾を貸してくれないか」
僕は2人の小盾を借りて、魔薬を使い回復したゼスタッテ君へと投擲した。まさか小盾が飛んでくるとは思わず障壁を発動するのも忘れて自分の小盾でそれを受ける。
立て続けに衝撃を受けた自分の小盾を取り落とした彼は慌てて僕達に向けて障壁を発動した。
4人からの全方向をカバーする障壁は彼には限界ギリギリであっと言う間に魔力が枯渇してしまう。
また魔薬を取り出すがもちろん障壁を発動している間は使えない。
「3人で障壁に小さくていいから連続攻撃を頼むよ」
「「「了解!」」」
闘技場の地面は硬く固められた土だ。
僕はゼスタッテ君の足元の土を半径1メートル深さ50センチの大きさで切り取る事にした。
障壁ギリギリまで近付き目的の大きさの外縁の土からケイ素成分全てを抽創系で抜き取ると、土の大部分はケイ素なので目的の大きさの土の塊が出来上がる。
次にケイ素成分からSiO2だけを抜き取り温操系で石英ガラスに加工する。
ここまでは一瞬かつ内緒の仕事だ。準備完了!
彼の足元に落ちた3枚の小盾を物送系で操って彼の周りを周回させる。
足元の土を切り取った形状のまま徐々に持ち上げて行く。
彼を乗せた土の円盤は周回する小盾と共に高度を上げる。
彼は小盾の周回に遮られて円盤から降りる事が出来ない。
あまり離れると魔力量がばれてしまうので上がるに連れて近づいて行き、7メートルほど上がったところで僕は呟いた。
『バルス!』
土の円盤に埋め込まれた石英ガラスの結晶だけがキラキラ輝きながら上昇を続け、土の円盤は上昇エネルギーを失った。
陽光に輝きを放った結晶が飛び去ると土の崩壊が始まりボロボロと崩れ落ちる。
円盤の支えを失ったゼスタッテ君が残りの土や小盾と一緒に7メートルの高さから落下した。
ここでは僕にしか分からない、聡が好きだったアニメ映画のパロディのつもりだ。
彼の家名を聞いた時から最後はこれにしようと思っていた。
彼の闘技衣の臀部は濃紺に染まっている。
尾骶骨に罅くらい入っているかも知れないがすぐに治して貰えるだろう。
次の投稿は22時の予定です。よろしくお願いします♪




