第二章「王都ヨキフ」 12.3話
本日2度目の投稿です。12.2話をまだお読みで無い方はそちらからどうぞ。
「闘技会の実務を任されているヤルツークです。王都官僚貴族で男爵位をいただいております」
ほうほう、こちらでは自分から爵位を明かすのが礼儀なのでしょうか。
「はじめましてジェリナ・フルトと申します。私どもは皆未成年で爵位は得ておりません。等しく学生として扱っていただければ結構ですので」
「いえいえ、フルト家のお嬢様を粗略に扱う訳には参りませんな」
侯爵家の令嬢で無ければ粗略で構わないという風に聞えてますよぉ、男爵さん。
「ありがとうございます。それで私どもはどこに伺えばよろしいでしょうか?」
ジェリナ様は慣れたもので全員の事に置き換えて質問を返す。
「……、それではこちらへどうぞ。」
ジェリナ様しか映らないヤルツーク男爵の目を侯爵令嬢の威光がようやく見開かせたようで、男爵は我々全員を闘技場の中に誘った。
案内の間ずっとジェリナ様の様子を伺っていたのは、よほどこの王都で高位貴族の機嫌を伺う習性が身に付いているのだろう。
そうだね、一行の中でジェリナ様を一目で見抜いた眼力は確かだったよ。
*
案内されたのは二百人以上が一堂に会せる程の広間だった。
男爵は僕達の案内が済むとそそくさと広間を出て行った。
他の国の高位貴族へ摺り寄りに行ったのだろうか。
男爵が出ていくのと入れ違いに数人の職員と思しき人達が入ってきて、僕達の名前を確認して武器を預かっていく。
話に聞いていた通り武器の検査をするようだ。
僕達の武器を預けていると広間の扉の向こうがざわつきだした。
「さあさ、皆様方こちらへどうぞ」
ヤルツーク男爵が扉を開け後ろ数名の学生を気にしながら案内して来た。
僕も気になったので学生たちのステータスウィンドウを拝見するとほぼ全員がミレユイム様クウィンツァ様に比肩する魔力の持ち主だった。
流石にミレユイム様を越える者は居ないようだが……『ひょっとしてヤルツーク氏はステータスが見えて、魔力の大きさで家柄が?』と思わず内心で冷や汗を流し掛けていると、彼等から少し離れて後に続く一団の中に『本日の最大値さん』が居た。
僕とカテリナ以外でミレユイム様より魔力の大きなステータスは初めてだった。
ちゃんとオーラを消す術をご存じな様でヤルツークさんの検知器は上手く誤魔化したのだろう。
彼は周りの一団と一緒にヤルツーク氏と高位貴族の子息令嬢たちのやり取りを面白そうに見やっていた。
「皆さんご到着なさいました」
無事ステータスウィンドウ疑惑が晴れた男爵がジェリナ様に一声掛けて
「フルト侯爵家のジェリナ様でございます」
と先頭の一群に紹介をする。
ジェリナ様が仕方なく侯爵家に所縁のある数名を呼んで高位貴族子息令嬢との挨拶を始めた。
次の投稿は18時の予定です。よろしくお願いします。




