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第二章「王都ヨキフ」 10.3話

本日3度目の投稿です。10.1話10.2話をお読みで無い方はそちらどうぞ。

 結果も見ずにミレユイム様へと向かう。

僕とクウィンツァ様が近接していたため撃てなかった魔法をミレユイム様が放った。

凍結の温操系のようだ。

纏った空間で無効に出来るが折角クウィンツァ様の電撃を避けたのに、ここで種明かしはしたくない。

距離があるので陣図で障壁を出す余裕があった。


 障壁ごとミレユイム様に突っ込んで行くと後衛の2人から支援の電撃が走った。

空操系で障壁をグイッと回して電撃を防ぎ、勢いのままミレユイム様に槍を振り下ろす。

小盾で防いだミレユイム様の意識が上に向いているところに滑り込んで足を絡める。

足を取られ倒れ込みながらも振り下ろされた剣の腕と闘技衣の胸を槍の握り越しに掴んで巴投げに持ち込んだ。

投げ飛ばした勢いで立ち上がりざま、起き上がりかけたミレユイム様の襟足から槍を突っ込んでカンッと地面に突きたてる。

闘技衣の背中が紺に染まった。


 僕がミレユイム様と戦っている間にウェンジィは魔法を切り替えて相手後衛の二人へ立て続けに温操系魔法を放っていた。

持てない程に熱くなった盾にたじろぐ二人へメルマディとビルマードが素早く近付き戦闘に入った。

盾の無い後衛二人は防戦一方となっている。

僕もウェンジィも手を出さずに見守った。

一人は剣を弾き飛ばされ、一人が倒れ込んだ喉元に剣を突き付けられたところで試合時間が終了となった。


「しかし、相手に傷も付けずに退場に追い込むなんてまるで魔獣に化かされたみたいだよ」

「僕が投げ飛ばされた技は何て言うのかな?」

「巴投げと呼んでいます」

「ふむ、あれは上から覆い被された時に有効だな。他にも色々技はあるのだろ。技だけでも騎士連中に教え込んだら格段に強くなりそうだ。フィンリーの動きは異質すぎて武技自体を習得出来るとは思えないが」

「特に僕の電撃を防ぐ瞬間からその後の動きは想像を超えていました。教えられても僕には無理でしょう」


 うん、僕レベルになるには物心が付く前から鍛錬しないとね。


「クウィンツァが無理ならこの国で出来る者がいるかも怪しいところだが。まあ、そんな事は王様か高位貴族当主が考えれば良い事で僕等の仕事じゃあ無い。とにかく……優勝おめでとう、皆」

「いや、まだ決勝戦が残っています」

「まさか、僕たちに勝っておいて優勝を逃すつもりかい?」


 勘弁してください、クウィンツァ様。

メンバーの3人が緊張で固まってしまいましたよ。

決勝戦の相手はいつも僕等の直前に戦っていたから作戦会議や何やで試合を見た事がない。

ぶっつけ本番だが、ミレユイム様達より強いチームは理論上あり得ないのでまあ大丈夫だろう。


試合場で相手4人のステータスウィンドウを見た僕は戦うのを止めた。

試合放棄じゃないよ。メマルディ達3人で充分だと思ったから手を出さない事にしたんだ。

「ウェンジィ、メルマディ、ビルマード、3人で頑張って!」

試合開始早々相手の後衛が放った礫2つを槍で叩き落とした僕はテクテク後ろへ歩きながら3人に声を掛けた。


『えっ』と言う風に僕を見た3人は直ぐに意味を理解して、キッと前を向く。

実戦の勘をつかむのにちょうど良い機会だ。

四王国武闘会とやらで各国の代表と戦う事になるんだからね。

「おい、大丈夫なのか?」

「ミレユイム様達に叱られるんじゃない?」

試合場の壁にもたれて戦況を見守っていた僕にヨーザイルとスェーニャが心配そうに声を掛けて来た。

「大丈夫さ、彼ら強くなったから。見ていてごらん、きっと勝つよ」

実力は3人と4人で拮抗していたけれど、一対一の自力に勝るメルマディ達が相手の闘技衣にいくつかずつ紫を付けて優勢勝ちとなり、僕等の優勝が決定した。


 武闘会ではよその王国まで出向くみたいだし、これで3人が自信を持ってくれればいいな。

最後までお読みいただきありがとうございます。これからもよろしくお願いします。


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