第二章「王都ヨキフ」 11.1話
すみません。今日は11話が完結しません。3分割予定の2つの投稿になります。
「ウェンジィ、右足の出だしをゆっくり。そこはビルマードが上手いから真似して」
闘技会が終わって学院は日常に戻った。
僕等へのヒーロー扱いも三日ほどで収まり誰もその話題には触れなくなったが、優勝メンバーだけは実習の時間を割いてチーム鍛錬に毎日一時間が割り当てられている。
僕は三人に天地流の基礎を教えていた。
僕はもちろんカテリナの域までの到達は無理だけど、少しでも『気』が掴めれば体術も魔法もランクアップできる筈だ。
時折同じ時間枠で鍛錬する2学年の優勝チームの目には、某共産主義国家の公園で早朝に行われるお年寄り達の体操の様に映った筈だが、勿論オリジナルを知らないんだから変な振り付けの舞踏を見せられている気分かも知れない。
3人も訳が分からないなりに僕のやる事で上手く行った結果があるから付いて来てくれるているんだと思う。
「フィンリー、僕達は2学年のチームみたいにフォーメィションや連携の鍛錬はしなくて良いのかな」
「今やってる所作が形になったらね。大丈夫さ、焦らずにじっくり行こうよ」
闘技会の翌週、僕等は学院長室に呼ばれた。
2学年の優勝チームも一緒だ。
「両チームとも優勝おめでとう。早速だが、四王国武闘会への招待状が届いた。君達は学院だけでなく国を代表して戦うことになる。学生の身には大変な事だから国や学院の為に頑張れとは言えん。だが全力を尽くして欲しい、それだけが私の願いだ」
学院長に会うのは入学承認式の時以来だ。
おそらく50代、こちらの世界では老境に差し掛ろうという年嵩の、佇まいが上品な紳士である。
聞くところによると先王様の歳の離れた弟と云う事で、爵位は無いが先王弟として王都の立派な屋敷と郊外の農場を王家から無償貸与されているそうだ。
もちろんそれらの管理は家宰に当たる人が行うので本人は学院長のような名誉職を歴任していると云う訳だ。
~聡さんの解説タイム:面倒な人は読み飛ばしてね~
四王国武闘会について
大陸南東の王国アルテ、北東の王国マジャン、北の王国ザネル、そして南東の島国パノン。
この4ヶ国をそれぞれ代表する学府から各国4チームが集結し、16チームでのトーナメントが行われる。
大陸北西のスリフォ王国は教育体制が異なるため、以前よりこの催しには参加していない。
パノン王国からは王立魔導学院の2チームと、公爵領の学園からそれぞれ1チームが参加するのが決まりだ。
武闘会の開催地は4ヶ国の王都どこでも良いとされているが、移動の利便性から4王国の中央に位置するマジャン王国のトケアが選ばれる事が多く、今年もトケアでの開催となっている。
各国の代表はシードされるので1回戦で同国同士は対戦しない。
逆に云えば1回戦でその国全ての代表が敗退する可能性もある訳だ。
試合形式は魔導学院の闘技会とほぼ同じだが、試合時間が若干長くなる。
闘技会の5分は正確にはこちらの7トニで5.04分(約5分2秒)、それが武闘会では8トニの5.76分(約5分46秒)になる。今後の文中で武闘会の試合時間は6分と表される。
闘技衣については武闘会専用の物が毎年使用されるが、武具についてはその年ごとに各国が打ち合わせて決定する事になっているので正直現地に行かないと分からない。
事前準備による格差を少なくするための方策との事だ。
マジャン王国への船はパノス公爵領都で交易港都市のパナルを出てマジャン王国の交易港ブルマネユに至る。
魔導学院の代表はまず公都パナルで公爵領2学園の代表と合流し、ブルネイユを経て陸路をトケアへと向かう。
~解説タイム終了~
僕達と同席した魔導学院2学年の代表はフルト侯爵家の長女ジェリナ様がリーダーのチームだ。
彼女は魔道科2年の首席で、魔道科3席と、魔具専科次席、魔薬専科首席がメンバー。
僕等と違って全員が子爵家以上の生粋のエリートチームだ。
ジェリナ様はルマナ系(銀髪直毛、白肌)で女性にしては長身だ。
こちらでは良く見る銀髪が聡の世界には居なかったようだが、強いて言えばスカーレット・ヨ△ン▽ンの背を高くしたようなイメージに映るらしい。
ちなみに銀髪とは純粋な銀色に見える髪で白髪とはまったく別物なのだ。
次の投稿は18時の予定です。




