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第二章「王都ヨキフ」 4.2話

本日2回目の投稿です。今日初めての方は4.1話からお読みください。

「ねえ貴方、騎士爵家なのに2号室って本当?」


 工房見学から戻って夕食を食べている僕を数名の女子が取り囲んだ。

「ああ、姓が似ているからってどこかの坊ちゃんと勘違いされたみたいなんだ。部屋は階段の近くが良かったんだけどね」

「そうよね、うちは男爵でも12号室なのよ。虐められないうちに代えて貰う方がいいのじゃない」

「辺境出身のど田舎者だからさ。どのみちいじられると思うので、様子を見る事にするよ。忠告ありがとう」

自尊心が保たれた様で男爵令嬢は『うんうん』と頷きながら騎士爵家以下だろう取り巻きと自分たちの食事へと戻ってくれた。

あぁ、そんな事は本当にどうでもいい。

工房で観たガラスと黄銅の灼熱の光が僕の心を暖かく照らしているんだよぅ。


 翌日午前中に全ての入寮が完了して、午後からは入学指導の講義があった。

学科ごとの席分けで僕はやはり魔術科の一番席に座らされた。

昨日の男爵令嬢は魔具専科の上位だ。

魔具専科と魔薬専科は上位貴族がほとんど志望しないので男爵での上位も充分あるのだが、昨日確認しなかったステータスウィンドウを見ると総魔力量はかなりの高位貴族でも通用する程だった。

魔道科か魔術科へ推薦で入学できただろうけど、発動魔力量が高位貴族としては少し物足りないので牛後より鶏口を選んだのだろうか。

昨日のあれは取り巻き対応の一環で、本人は存外思慮深いのかも知れない。

席次については2学期からはどの行事も成績順に成るようで、僕が上位に座るのはきっと今学期が最後だろう。


 そして入学の日がやってきた。

会場中央の通路を挟んで左右に席は割り振られ、僕は通路の右脇最前列に座っている

「君が『あの』ベルナールの孫かい?」

狭い通路を挟んだ横から銀髪直毛、典型的なルマナ系貴公子が声を潜めて話しかけて来る。

「『あの』は勘弁してください、パノム様」

「そっちこそ『様』は余計だよ。それに姓でなく『ミレユイム』と呼んでくれ」

えー、公爵家に対してそんな事は……。

「君のご先祖様は王弟だったうちのご先祖様を殴り飛ばして呼び捨てで叱責したんだからな。ここではお手柔らかに願いたいものだ」

何してるんですか、ご先祖様。

絶対根に持たれてますよ。


 公爵家様の横からも声を殺して

「僕はクウィンツァ・アムラス。うちの祖父は君の曾祖父に名前も呼ばれず蹴飛ばされたらしいよ。僕もミレユイム様同様よろしくお願いする」

……うちっていったいどんな家系なんですか、父上。


 入学承認式が始まった。

学院長のごく短い訓話の後に各自呼ばれて、起立し返答するだけの質素な式典だった。

もちろん父兄の臨場などない。

学院側がこれまで在院生に訊いたところ長い式典は何の有難みも無いとの声が大多数だったため徐々にこう成って来たらしい。

先輩諸氏、グッドです!


 式典の後、各科の教室に別れて担任の発表、各講座担当教授の紹介、教材の説明などが行われた。

「初めまして首席さん。さっきは魔道学科の首席と何を話していたの?」

「えっ・・あぁ、始めまして。貴女は?」

見知らぬ相手からよく話しかけられる日だ。

「スェーニャ・ヴィシュテムよ。こう見えて魔術科三席なの」

どう見えるか? 普通に麗しいお嬢様ですよ、ちょっと雰囲気に険があるのを除けばね。

そういえば一つ席を挟んで女の子が座っていたな。

「スェーニャは子爵家の長女なのよ」

連れの女子が言った。

たまたま高位貴族が傍系ばかりって本当みたいだ。

スェーニャさんのウィンドウを見ると魔力は僕の兄弟達より少しずつ低い程度だ。

子爵家なら期待の星かも知れないな。

「初めましてスェーニャさん。フィンリー・ベルナードです、よろしく」

軽く会釈した。

「僕の家はジブリット辺境伯領の端っこのド田舎で騎士爵領なんです。スェーニャさんはどちらからですか?」

「私の家はキルバ伯爵領よ」

キルバ家なら東北のアムラス辺境伯領の隣だ。

王都からはかなり離れているし、田舎の子爵家ならお爺さんの事は知らないかも。

「ミレユイム様は僕が主席の位置にいたので高位貴族だと勘違いして声を掛けられたのだと思いますよ」

と答えたところに、別の声が掛かった。

「それにしては公爵家の主席さんも辺境伯家の次席さんも随分親し気だったけどね」

入学承認式で僕の隣に座っていた男子だ。


「失礼、僕はヨーザイル・オムス」

「彼がこの科の次席よ。オムス伯爵の孫、親は三男だけどね」

オムス家とキルバ家は隣同士の伯爵家だ。

その傍流と有力な寄子なら馴染みがあってもおかしくはない。

ウインドウではヨーザイル君の魔力はスェーニャさんと同じ位、僅かに上だ。

こちらも傍流の期待の星なのだろう。

伯爵家は辺境伯に対する防波堤としての成り立ちがあるので簡単に家を割る事が出来ない。

血筋とは云え何もしなければ下位貴族として残るのが精々だから自力で家を盛り上げたいところだろう。


「ところで君、ミレユイム様から『あのベルナール』って呼ばれていたよね」

「えぇっ、貴方。『あのベルナール』なの!!」


 大声で叫ばないで……クラス中に響き渡りましたけど。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
そういえば、どうしてなろう系ではお忍びでもないのに 目立ちたくないとかの理由で出自を隠す主人公が多いんでしょうね? 十二表法のように法の前では平民も貴族も平等ということが明文化された世界観なら良いので…
[一言] 成績のトップのしゅせきは、首席です。
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