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第三十七話 レジオに帰る(途中)

 アカン、レジオ復興だけでぼってきたら、話が長すぎて収拾つかん。

 ちゅうことで、今回から副題をかえます。


「まったく陛下にもこまったものだ。」

「さよう、いまさら新しい貴族の擁立などと、性急に過ぎる。」

「しかも、どこの馬の骨とも知れない青二才に。」

 宮廷の隅では、あまりいい話は転がっていないようですな。

 よると触ると、カズマの悪口が横行しているようです。

「しかし、あなた、あの崩壊したレジオの町を復興できますか?」

「それそれ、いったいいくらかかるか見当もつきませんよ。」

「陛下から下賜された褒美は、金板(三百万円相当)百枚だそうですよ。」

「そればかりで、あの荒れ果てた領地を回復?無理ですね。」

「そうそう、個人で持っているならば、それ相応なものですが、領地の復興となると心もとないですな。」

 朝早くから、暇な貴族たちもいたもので、そこらで耳寄りな利権の話でもないかと、ハイエナのようにうろついている。


 法衣貴族なんてものは、言って見れば王家にくっついているダニみたいなもので、たいして活躍もなければ生産もしない。

 王家から禄をもらって、消費するだけのごくつぶしと思われている。

 平時には全く役に立たない、戦<いくさ>あっての法衣貴族である。

 そりゃまあ、何代か前にはいくさで戦功をあげて、褒美をもらったんだろうけど、いまじゃダルダルにゆるんでる。

 こんなやつら、俺の小指でも勝てるぞ。

 それはさておき、こいつらをどう使うかは、王国でもかなり頭の痛い話らしい。

 そりゃまあ、禄に見合った働きでもしてくれればいいけどな、軍隊なんかでさ。

 それか、官僚として活躍してくれるとかな。


 そりゃ望み薄だよな。


 まずは、わが男爵領をどう運営するか。

 太平の世の中であるなら、経済政策がいちばん重要だろう。

 ただし、周りにおける他国の情勢はよくわかっていない。

 おじゃる伯爵は、経済的にはよくやっていると思う。

 マゼランの町は、いい感じで賑わっている。

「おじゃる伯爵は、経済的にはいい伯爵だよな。」

 おれは独り言をつぶやきながら、荷物を馬車に積み込んでいる。

 マゼラン伯爵の用意してくれた、六頭立ての馬車は帰りには、行きの半分の速度でのろのろと進む。



 にぎやかな王都から、かぽかぽと音を立てながら馬車は遠ざかっていく。

 王都の街道は、のどかできれいな田園地帯を抜けて、森林地帯に入っていく。

「ん?」

「どうしたの?」

 何気なくいつものように探知の魔法を巡らせていた俺は、ふと引っかかるものを感じた。

 王都からはすでに二〇キロは離れている。

「なんかいる、人間が二十人ぐらい森の中だ。」

「ええ?領民ではありませんの?」

「アリスの希望には添えないかな、道の両脇に十人ずつくらい隠れているようだ。」

「隠れている?盗賊ですの?」

「たぶんな。」

 距離は五百メートル。

「護衛を前に出せ、馬車は止める。」

『どーう』

 馬車はゆっくりと止まった。


 俺は、用足しのようなふりをして、森の木に隠れる。

 国差し回しの護衛の騎士たちは、馬車の前面に並んでいるが、かなり緊張しているようだ。

 五人で、二十人を相手にしなければならない。

 なんちゃって、そんなもんたいしたことはないさ。

 俺は、メイスを片手に、騎士に向き直った。

「やはり二十人はいる。これから俺は、偵察に行き盗賊だとわかったら魔法で攻撃する。お前たちは、こっちに流れてきたやつだけ頼む。」

「は、男爵さま。」

 騎士たちは緊張を顔に乗せている。

「まあ、そんなに緊張するな、農民崩れだろう。」

「は!」

 居ずまいをただす騎士たち。

「すまんな、聖女が乗っているから、聖女を傷つけたくないんだ。」

「承知しております。」



 あまり承知してはいないだろうが、それは表に出さない騎士の矜持だ。

 木の陰からぐるりと弧を描いて、森の中を進む。

 なるほど、木の上に斥候らしいやつがいる。

 浮遊(レビテーションの魔法を使って、木に枝にいるやつの後ろに忍び寄る。

 おいおい、気が付けよ、斥候だろ?

「声を出すな。」

 後ろから首に腕をかけて、ナイフを突きつけると、斥候は黙った。

 おれは、そいつを木から降ろすと、縄で縛ったままナイフを突きつけて聞く。

「お前らは、盗賊か。」

「ち、ちがう、お・おれは」

「ふうん、村人にしては物騒なエモノを持っているな。」


「ま、魔物用だ。」

「それで?どこに魔物がいるんだ?」

「いやあの」

 俺はにやりと笑って見せる。

「お前だけは助けてやろうか?」

「ほ・ほんとか?」

 語るに落ちるとはこのことだな、自分から盗賊だと言っているようなものだ。

「ああ、あそこにいるのは仲間だろう?今から盗賊は全滅させるからな。お前は生き残れるってことさ。」

「!」

「あいつら、盗賊だろ?」

 そいつは無言でうなずいた。


「よし。」

 俺は両手を広げて、無詠唱の魔法の矢を放つ。

 都合二十発。

 だいたい、長さは十五センチくらいの光の矢が飛んで行く。

 うまく当たればいいが、こいつは無指向なのであまり期待しない。

 それでも十人に満たないが、その場で昏倒している。

 かなり胴などを打ち抜いたようだ。

 いてーだろーなァ。

「ホーミングレーザー!」

 指向性のレーザーを、盗賊の足元に放り込む。

 弧を描いて魔法の矢がぐいっと曲がる。

「うわっちちちち!」

 脛を打ち抜かれた盗賊は、全員がそこで転がった。

「まだ残ってるな。」


 俺は、メイスを持って走り出した。

 盗賊も、街道に出てきている。

「ほら!こっちだ!」

 盗賊は、走り寄る俺の姿を確認して、すらりと大刀を抜く。

 ひのふの三人か、たいしたことねえな。

 横合いから、振り上げた刀の刀身にメイスを叩き込むと、あっさりと砕けて折れる。

 メイスがぐるりともう一周して、盗賊のこめかみを狙うと、折れた剣で防御するがあっさりとヒットする。

 かい~んと、すっげえ軽い音がする。


 お前のアタマ、中身入ってんのかあ?


 真正面からの一撃で、もう一人を倒す。


 最後に残った奴は、黒い髭面の大柄な奴だ。

「お前が頭目か?」

「そうだ!俺の手下を、よくも!」

「ばーか、敵の力量を図るのが頭目の仕事だろう!お前のシゴト不足だ。」

 そう言って、メイスを振り回す。

 大刀を抜こうとして、束に手をかけたまま、頭目は右に左に顔がゆがむ。

 がきんごきんと、派手な音がして、メイスの先端が頭を襲う。

 ∞のループを描いて、光る先端が弧を描く。

 がきんと言うその音が止んだ時、頭目は地面に寝っ転がっていた。

「わりーわりー、全部のしちまった、騎士たちの仕事取っちゃってゴメン。」


 斥候を引きずって馬車に戻ると、騎士たちは唖然としていた。

 盗賊はシャツの襟を持って、ズルズル引っ張られるもんだから、その辺の石なんかがケツにごんごん当たって痛そうだ。

「いっ!いっ!」と声が聞こえる。

 もう一人は、後ろ手に縛られて、自力で歩いている。

 騎士のリーダーが、あわてて走り寄る。

 兜の額に角が付いているから、小隊長だとわかる。

「男爵さま!見事なお手並みです!」

 さっきまで偉そうにしていた騎士が、コメツキバッタみたいにぺこぺこし始めた。

 まあ、彼らは貴族のしっぽ、騎士爵だからな。

 本来なら、一代限りの貴族だ。


「一人、馬に乗って警備の兵士を呼んできてくれないか、俺たちはここで待ってる。」

「は!では私が!」

 騎士の一人は、重装備をはずして身軽になると、馬にまたがり駆け出した。

「後のものは、生きてるやつらを縛ってくれ。」

「「「「 はっ 」」」」

 だいたい生きているはずだけど、出血は止めてないのでわからない。

 盗賊にかける情けなんてものは、恐縮ながら持ち合わせがない。

 まあな、こんなもん引きずって、レジオに帰る訳にもいかんだろう?

 斥候も混ぜて二十一人が、全員負傷して動きもいざりもならん状態になっている。

 足をレーザーが貫通しているので、歩いて逃げることもできず、激痛でのたうちまわっている。




 俺は、ストレージからお茶セットを出して、お湯を沸かす。


 土魔法でテーブルといすを作って、お茶セットを並べる。

 前みたいに、土ボコで持ち上げただけのものとは違って、ちゃんと足のある丸いテーブルだ。

 やっぱ何回も作っていると、こういうものも洗練されてくるものだ。

 ちょっと猫足がかった、かわいらしいティーテーブルとイスが四脚。

 道ばたに立ち上がる。

 大きめの薬罐に、熱湯を出す。

 俺の生活魔法は便利だ。


 お茶をいれるのは、チコの役目だ。


「お前ら百姓あがりだろう、武器の持ち方がハンパだもんな。」

 いすに座って、盗賊の斥候に話しかけた。

「なんでわかるんだよ。」

「いっぱしに兵隊やったことがあるやつは、剣の流れが違うものだよ。」

「なるほど。」

 斥候は、納得したようにうなずいた。

「それにしても、おまえら今までよく捕まらなかったな。」

「大きい馬車なんか狙わないんだよ。あんたらのだって見逃して、もっと小さい馬車を狙ってたんだ。」

「あ、なるほど。じゃあ、おれが気が付いたのが運のツキか。」

「そうだな、はたして生き残れるかなあ?」

「生き残れ、そして罪を償ったら、レジオに来い。そしたら仕事をくれてやる。」


 斥候は、はっと顔を上げて俺を見た。

 俺が笑ってうなずいてやると、斥候は涙を流してうなずいた。

 やがて現れた治安の兵士に連れられて、盗賊たちは王都に移された。

「男爵さま、甘いですよ。」

「甘いか?でもいいさ、あいつらだって好き好んで盗賊になったわけじゃない。」

「…」

「言いたかないが、これも貴族の責任問題だ。ちゃんと領地を発展させていれば、流民なんか出るものか。」


 行きに寄ったレアンの村に、また立ち寄って一晩の宿を頼んだ。

 モルテンが飛んできて、俺の前に立った。

「男爵さま!ようこそお越しで。」

 コメツキバッタみたいにぺこぺこと頭を下げる。

「なんだよモルテン、情報がはえ~なあ。」

「いま、都で評判ですよ!新しいレジオ男爵は、ドラゴン砕きだって。」

「おやまあ。それは、このメイスのことだろう。マゼランのチグリスの作だ。」

「これはこの前ツキノワグマを屠ったアレですね。」

「ああ、そうだよ。あれからどうだい?」

「はい、男爵さまのおかげで、森の伐採は無事進んでおります。」

「そうか、そりゃよかった。マゼラン伯爵さまがお休みだそうだ、本陣を開けてくれ。」

「はい、かしこまりました。」


 俺は、本陣に入るとやっと落ち着いた気分になった。

「カズマ、お風呂に入る?」

 ティリスが呼びに来た。

「なんだ、早いな。」

「モルテンさんが、ずっと沸かして待ってたんだって。」

「ふうん、じゃあ入ってくるか。」

「あ、あたしが背中流してあげる。」

「いいのか?」

「いいよ。」

 ま、どういう風のふきっさらしかは知らんけど、ティリスの機嫌がいいならいいや。


 あいかわらずちんまい体を、タオルでくるんでやってきたティリスに、ゆっくり背中を流してもらう.

かゆいところに手が届く感じで気持ちいい。

「あ~、気持ちいいなあ。」

「はい、手。」

「ほい」

「ばんざ~い。」

「へいうひゃひゃ、くすぐったい。」

 わき腹をこすられるとくすぐったい、胸まで来たところで手が止まる。

「ここ、どうするの?」

「え?やってくれないの?」

「や、やるわよ。」

 わ~い。

 なんか丁寧に洗ってくれて、足の裏まで全部洗われた。


「お返しに、俺も洗ってやろうか?」

「い、いいわよ、恥ずかしいし。」

「まあそう、遠慮するなよ。」

 頭のてっぺんからつま先までしっかり洗ってやったら、くにゃくにゃになってしまった。

「ふみゅう~。」

「この街には、風呂があってありがたいわー。マゼランでは風呂探すの大変だもんな。」

「そうなの?」

「ああ、仕方がないから自分で作ったんだ。」

「へえ~、カズマは器用ねえ。」

「ま、必要は発明の母って言うしな。」


 風呂の小さな窓からは、上がり始めた月が見える。

 この世界は、体が軽いので動くときに無理がきく。

 通常の1.5倍は早く動けそうだ。

「レジオに帰ったら、なにから始めるかなあ。」

「たぶん、士官先の割り振り。カズマ、宿屋の前に紙はって出ちゃったでしょう、みんな必死になって追いかけてくるよ。」

「ああそうだ、忘れてた。」

「忘れるなよ!」

「とりあえず、王都からレジオまで来るのが試験だな。」

「…いま、思いついたでしょう。」


 ひゅ~ひゅ~、音の出ない口笛でごまかす。


 夕食前で、仕度に忙しい厨房を横目に、俺はチコとラルを連れて粉屋にやってきた。

 中間の宿屋街とはいえ、町中はけっこう賑わっていて、夕暮れの時間も人通りが多い。

 店先の柔らかい明かりに、客たちの影が揺らめいている。

「粉屋さんで何買うの?」

「え?普通の小麦粉。」

「こむぎこ?」

「ああ、パンを焼くんだ。」

「へえ、そんなもん焼いてどうするんだ?」

「食うのさ。」

「わざわざ作らなくっても、宿屋にだってあるだろう?」


「あんな固いだけの、粉ダンゴはパンって言わん!」

 どうしようもないこだわり。

 パンはふわっとしてないとダメ!

 あんなふくらみもしない、ティリスのちっぱいみたいなパンはだめだ。

 ちゃんと、アリスの巨乳くらいはないと。

 

『ホットケ!』


「そんなわけで、ずっと温めていたタネが、やっとできたから、パンを焼いてみる。」

「タネ?」

「ああ、楽しみにしてろよ。」

 俺は、強力粉を一キロほど買い込んで、宿屋に戻った。

「亭主、ここ貸してくれ。」


 俺は、食堂の隅で小麦粉をボウルに入れた。

 ストレージから出したのは、前にみんなで集めた果実を漬けて置いたもの。

「いい感じに泡が出てるぞ。」

 ぽこぽこと細かい泡が、炭酸水のように湧き上がっている。

 言わずと知れた、天然酵母が育っているのだ。

 これをスプーンですくって、小麦粉に加えてミルクを注いで、あとは丁寧にこねる。

 こねて、均等になったものを、ボウルにまるめておいて、濡れ布巾で蓋をする。

 あとは常温で、一次発酵。


「チコ、お茶をもらってきてくれ。」

「はい。」

 一次発酵は約四〇分待つ。

「いい感じにふくらんでるぞ。」

「わあ!すごい!倍になってる!」

「すごいだろう、これをもう一回バターを加えてこねる。」

 バターチャーンがないから、遠心分離の魔法(風魔法の系統)で分離したやつだ。

 ちゃんと練ってある。

 無塩バターが基本だよ。

 ゆっくりバターとなじませて、空気を抜いて丸める。

 これをバターを塗ったボウルに入れて、二次発酵。

 さらに三〇分くらい待つと、また膨らんでくる。


「じゃあ、チコ、ラル、これをこんな感じで丸めてくれ。」

 俺は、膨らんだ生地を。すこしずつちぎって、粉を手に付けた二人に渡す。

「こう?」

「そうそう、うまいぞ。ラル、もっと伸ばせ。」

「こうかい?」

「よしよし。」

 子供と三人で、パンつくりは進む。

 バットに並んだ、ロールパンの生地。

 あと一〇分待って、オーブンに入れるんだ。

 幸い、ここにはいい窯がある。

 親方に頼んで、石釜にパン生地を入れてもらい、様子を見ながら焼く。

 一〇分ぐらいで、いい感じの匂いがしてきた。


「成功だ!パンが焼けたぞ。」

「おい、男爵のダンナ!これがパンだと言うのか!」

 親方は、始めて見るロールパンに、目をむいた。

「パンだよ。俺の故郷では、こう言うパンが主流なんだ。」

「ちょ、ちょっと一口いいかい?」

「ああ、どうぞ。」

 石釜を使わせてもらったからな、ロールパンを一個渡してやった。

 親方は、匂いを嗅いだりぱふぱふ押したりしてたが、おもむろにぱくりと食いついた。

「うまい!」


「そりゃあ、天然の酵母使ってるからな、しっとりしてるはずだが。」

「こ!こんなもの喰ったことがねえです!ぜひ作り方を!」

「あ?さっきからチラチラ見てたじゃん。この秘蔵の薬を分けてやるよ。」

「これは?」

「パンを膨らます、魔法の薬だ。この薬は、エサがないと死んでしまう。五日に一度、リンゴを皮ごとくれてやる必要がある。」

「へえ、エサですかい?」

「それと、温度が高いとダメだ。地下の倉庫で、ひんやりしたところがいい。」

「ワイン蔵ならありますが。」

「そこでいい、陽が当たらないようにして、そっとしてやるんだ。」

「へえ!わかりやした!」


「使う量は、だいたいわかったと思うが、あとは自分で工夫するんだな。」

「あ、ありがとうごぜえやす!こいつは、レジオのパンと名付けて、代々受け継ぎやす!」

「大げさだな。」

「今までのパンなんざ、石みてえなもんです、すぐ捨てて、これで作ります。」

「そりゃあいいけど、このレシピは簡単に外に出すなよ。まだ、だれも知らないんだからな。」

「かしこまりました。けして誰にも教えません。」

「たのむよ。おれがいいと言うまでは、誰にも教えないでくれよ。」

「かしこまりました、男爵さまの許可が出るまで、弟子にも教えません。」


 俺がこのパンで儲けるまでは、門外不出で行ってほしい。

「ま、最初からこれだけで儲かるとは思ってないけどな。」

「カズマ!もっと焼いて!もうないよ!」

「ティリス!お前喰いすぎ!」

 おじゃる伯爵にもお情けでパンを食わせてやったら、泣いて喜んでた。

「よし、これで一儲けできるな。」

「カズマさま、どうやって儲けるんですか?」

「まだ考えてないけど、レジオに客を呼び込むことを考える。」

「そうですか。私もなにか考えますね。」

「頼むよ、アリス。」


 俺が考えているのは、農業による振興と商業基地としての振興なんだ。

 レジオが寡婦と孤児だらけになっている状態では、力仕事はむずかしい。

 だから、ウシと鶏を捕まえてくるところから始める。

 柵作りくらいなら、女子供でも作業できるし、小さい石なら拾い集められる。

 それで、柵の補強をするんだ。

 自分の道は自分で切り開くのが重要だ。

 そのうちやってくる陣借り者たちも、そういう作業に従事させる。

 どうせ、いくさが起こる訳じゃないからな。


 仕事の住み分けも、大事なことだよ。


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