第3話 女子高生VS猫耳婦警
《フェーラ女学園 女子寮個室リビング》
俺の前に下着姿の女子高生が立っていた。
「私の名前を葉月夢。フェーラ女学園の1年生よ。瀧君」
「は、はぁ……つうかなんで俺の名前知ってんだ? 君は」
そして、俺はバスローブだけを身体に羽織っている。
どうしてこうなった?
「ん~? 瀧君がお風呂に入っている間に。お財布の検査させてもらってたんだ。それでほら、マイナンバーカード!」
「あー、成る程?」
……この女の子は色々とヤバいな。
見ず知らずの男を自分の部屋にあげるわ。
人の財布の中身を普通に開けて見たりしてる。
地球……いや日本でやったら犯罪行為そのものだが。
そもそも。ここは日本いや地球でもなかったな。
女神イリアスいわく。
ここは男女比1対10の貞操概念崩壊世界。地球の裏世界『エクスタシア』。
最初は転移とか言っていたから異世界に飛ばされると過程していたが違った。
ここは地球と変わらない文明レベルを持った滅び行く現代ファンタジー世界って所か。
「ハァ……ハァ……ハァ……瀧君」
そして、この葉月夢とか言う女子高生が先程からとっている"異常行動"。
これがイリアスが言っていた貞操概念の崩壊の一端なのだろうか。
普通。初対面の相手に下着姿になり発情するだろうか?……いや、しない。
普通は恥じらいながら、俺に侮蔑の表情を向けてくるだろう。
「少し落ち着け。葉月」
「ハァ……ハァ……葉月じゃ嫌よ。夢って呼んで。瀧君」
おいおい。俺達さっき、会ったばっかりなんだぞ。なのになんで下の名前で呼び合う中になってんだか。
(ニャア……この娘ヤバいですね。この世界で《《初めて》》見る男の子に興奮し過ぎて、理性が飛んじゃってます。このままじゃあ、ソウマ様の童貞が奪われてしまいます。いったいどうすれば……)
イリアスがさっきからソワソワしているが、喋ろうとは絶対にしない。
「……呼吸も荒そうだし。今度は君が風呂に入って来たらどうだ? 気持ち良いぞ」
「フゥー……フゥー……そうしたら。私が入浴している間に、自分の服を洗濯機から取り出して逃げるんでしょう? 私、知ってるの過去に施設から逃げた男がそうやって行方を眩ませたのを。ニュースで見たわ」
どんなニュースだよ。
この世界、本当に男に対しての扱いが異常なんだな。
「そうなのか。だが俺はそんな事をしないさ。だってほら。男女密室で夢が下着姿なのに俺は冷静だろう? 普通、夢みたいな可愛い女の子がそんな姿だったら。男は夢を口説いて抱き締めたくなるもんだ!」
30代後半のおっさんがなにテンパってんだ。
俺! しっかりしろ!
相手は下着姿の女子高生だぞ。
「ハァ……ハァ……そんなの聞いたないわ。この世界じゃあ、男の子は女の子に優しくエッチな事を一方的にされるんだから。そんな嘘を言って時間を稼ごうとしても無駄だよ。瀧君。風魔法『布切り』」
「へ? 風魔法?……そんなファンタジーじゃあるまいし。こんな可愛い女子高生が魔法を使えるわけが……」
スパンッ!スパンッ!と。俺が羽織っていたバスローブが切り刻まれ、俺は全裸になった。
「は?」
「キャッ/// それが瀧君のオ●ン●なの?……そ、それが男の子の……しゅ、しゅごい!」
この女子高生。ゼロ距離で俺の身体に近付いて、とある部分を目を輝かせながらまじまじと見てくるな。変態か? いや変態だったな。
「ニャアア!! やっと見つけましたニャア! そこの男の子! 大人しくミルクのお縄に付くのニャア!! 風魔法『風牢』」
突然、窓際から凄まじい風が吹いたと思えば。俺達をさっきまで追いかけていた猫耳警察官が、宙に浮きながら部屋へと入って来た。
「うお! た、助かった……のか?……のわぁ?!」
風が吹いたと思えば。俺は猫耳警察官の方へと一瞬で移動していた。
「瀧君! ちょっと。貴女! ここはフェーラ女学園の中、不可侵領域の筈よ!」
「ニャア……そちらの方こそ国際違反ですニャア。男の子は国で保護する事が決まってますニャア。この世界で希少な10代の男の子を拉致して、自分の物にしようとしておいてよく言えますニャア。幾ら葉月財閥のご令嬢だからって好き勝手できると思うニャヨ。『風殴』」
「ハァ……ハァ……トップの飼い猫が何を言っているのよ。目の前に初めての男の子がいきなり現れて、私にドストライクな可愛い顔してたら自分の物にしたいと思うのが普通でしょうがあぁ! 邪魔しないで! 『風蹴』」
……なんか戦い始めたし。この隙に逃げてえ~!
(駄目ですニャア。ソウマ様)
(! お前は役立……イリアス!)
(……今、役立たずって言おうとしませんでした?)
(いや、言おうとしてないし。思ってもいない。それよりもなんで駄目なんだ?)
(ニャア……あのまま戦い続けられたら。人が集まって来ます。そうしたら、集まって来た人達にソウマ様が発見されて、女の子達に犯されますニャア)
このラグドール。とんでもない事をさらっと言いやがったぞ。
(……ヤバい世界過ぎんだろう。この貞操概念崩壊世界。な、なんとかならないのか?)
(スキルを使いましょう。私が適当にソウマ様に授けた。何か凄いスキルを)
アホラグドール。俺には適当にスキルを授けたらしい。やはり、初めてイリアスと出会った時の不信感は当たっていた様だな。
イリアスという女神は。かなり適当に物事を決める女神なんだな。
(……なにか良いスキルはあるのか?)
(『絶頂』スキルなんてどうですかニャア?)
(『絶頂』スキル? 突っ込んだら幽霊の徐霊でもできるのか?)
(徐霊?……そんなのはできませんが。女の子を気持ちよくして、その場から立てなくする事はできます…ニャア)
(良し! 分かった。効果を直ぐに見たいから直ぐにやろう。スキル発動『絶頂』!!)
俺はなんの躊躇も躊躇いもなく。スキル『絶頂』を夢と猫耳警察官へと発動した。
「へ?……何?この感覚……気持ち良……んあああ!!」
「ニャア?……お腹の当たり前がムニャムニャするニャアア!!」
……凄いぞ。『絶頂』スキル。さっきまで戦っていた2人を床に這いつくばった状態にして、身体をピクピクさせるとは。
俺の右肩に乗るラグドール女神よりも役に立つな。
「ニャア。やりましたね…ニャア。ソウマ様、この隙にここから逃げましょう…ニャア。捕まったら犯されちゃいますから」
「あ、あぁ、分かってる」
俺は自身の財布と荷物をまとめた。そして、乾燥洗濯機の中に入っていた半乾きの自分の服を着ると。
葉月夢の部屋を静かに後にした。
◇
「しかし、どこに隠れるか。さっき、猫耳警察官が起こした暴風のせいで。だんだん人が寮に集まって来てないか?」
近くの茂み隠れて、さっきまで居た寮の様子を見ているが。
ハレンチな格好をした女子高生達やハレンチな格好をした女教師達が集まり初めていた。
「……あんなハレンチな服。聖なる学舎で着て良いもんじゃないだろう」
「ニャア……隠れる場所ですか…ニャア……! ソウマ様。日が暮れるまであそこに隠れて居ましょう。あそこです。あそこです…ニャア」
イリアスがニャアニャア。うるさい……俺の居場所がバレるだろう。
「ん?……教会? なんで学校に教会があるんだ
?」
「ニャア。あそこなら貞操概念崩壊の影響は受けません…ニャア。教会はこの世界で唯一。貞操概念が守られた場所ですからニャア」




