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第2話 男女比1対10の貞操概念崩壊世界

 再び白い扉を潜る。


 謎の場所から連れてきた女神様と共に。


「嫌です! 誰か私を天界に連れ戻して下さい~!」


 女神様の泣き叫ぶ声がするが関係ない。


 この人は保険だ。


 俺が『エクスタシア』とか言う世界で生き残る為の――――




《エクスタシア世界 新宿駅》


「なんだここは? どこかの公園のトイレの中か? 何でこんな場所に転移なんてするんだ?」


「それは、ここが女の子が入って来れない場所だからです……ニャア」


「ニャア?……おいおい、女神様。こんな状況で語尾にニャアなんて付けてふざけている場合じゃ……」


「ニャン! 私は女神様ではなくて、イリアスですよ。ソウマ様……ニャン」


 白い猫が居た。


 白い猫が喋っていた。


 さっきまで俺と一緒に居た女神様のような喋り方の猫が居たんだ。


「可笑しいな。女神様はいったいどこに行ったんだ?」


「目の前にいますよ……ニャン!」


 ……このモフモフで気品に満ちた猫は確かラグドールとか言う猫種びょうしゅだ。


 白色と茶色の二種の色で毛並みも良い。


 目の色なんてさっきまで一緒に居た女神様同様の綺麗な水色をしている。


「このラグドール。顔付きもどこかのあの女神様に似て……いや、に過ぎてないか?」


「ですから私はイリアス。癒しの女神ですニャン。ソウマ様に地球の裏世界"エクスタシア"に無理矢理連れて来られてしまい、緊急でこんな姿になりましたの……ニャン!」


 語尾にニャンを付けてアザといぞ。


 この喋るラグドール。


「ハハハ……なんだか。いきなり現代ファンタジーだな。凄い凄い。とか言いながらここは地球だったのか。公衆トイレまであって、俺はちゃんと白い扉を潜って地球に帰って来れたんだな」


「いいえ、ここは貞操概念崩壊世界です…ニャン。女性のパラダイス。男性にとってのデストピア。女性が少数にまで減った男性を支配する滅び行く裏世界です…ニャン」


 このラグドール。さらっと、とんでもない事を言わなかったか? 


 いや、そもそもこのラグドールは、やっぱりさっきまで居た駄目な女神だったのか? 


 信じたくない事実だぞ。


「は? 何を言っているんだ…ですか。女神様じゃなかった。イリアス様」


「様はいらないです…ニャン。それと敬語も使わなくて良いです…ニャン!」


 いちいち語尾にニャンを付けるのが変身のルールなのだろうか?


 俺はラグドール《イリアス》を右肩に乗せると。公衆トイレから外に出て周りの様子を確認し始めた。


 外は高層ビルと新宿駅と書かれた駅が見える。


 見えるが。なんか俺が知っている新宿駅と違い。


 駅の規模がかなり小さく見えるのは気のせいだろうか?


「……裏世界と言っても。普通に周りを見たら現代の東京にしか見えないぞ。イリアス」


「ニャア。当たり前ですニャン。この世界は女性が支配する世界。女性が暮らしやすい様に都市部はコンパクトシティー化されて、建造された建物も人口減少により人手が足りない分小さく……」


「う、嘘?! 男の子?! なんでこんな所に若い男の子が居るの?」


「ん?」「ニャン?」


 何だ? 


 俺がイリアスの話を真剣に聞いていたら、さっきまで公園のベンチに座っていた女子高生が俺を指差して驚いているんだが。


「ニャア……不味いですね。ソウマ様」


「ん? 何が不味いんだ? 第一都民発見じゃないか。あの女子高生に早速、色々と話を聞きにこう」


「い、いえ……この世界の女の子は皆さん。肉食系女子なので、そんなにボーッとしてるとですよ…ニャン」


ガシッ!凄い力で女子高生に腕を握られた。痛いな。


「き、君。男の子よね? しかも10代の?! 何でこんな都会に君みたいな《《新鮮》》な男の子が居るの?」


「ん? ここにはさっき着いたばかりなんだが」


 ボーッと女子高生を見てたら、いつの間に距離を詰められていた。そして、左手を掴まれてしまった。


 ……黒髪に整った顔立ちにブレザー姿の女子高生をこんな至近距離からおがめるとは、ありがたや。ありがたや。


「さっき着いた? よく分からないけど。ここに居たら危険よ! きみ、戦える魔法やスキルとか使えるの?」


「いや、君が言っている事がそもそも、意味が分からないんだが。なんだ? 魔法やスキルって、この世界が現代ファンタジーじゃあるましい」


 魔法やスキル?……何を言ってるんだ。この女子高生は。


 ここは現代社会の平和な日本だろう? 何でファンタジー用語の魔法やスキルなんて……


「ニャア? そこの怪しい高校生達。何してるのニャア? 都市部での怪しい行動は控える様にする……てっ! 男の子ニャア?」


 ニャアニャアうるさいが。この声はイリアスではないよな。


 さっきから俺の右肩に乗ったかって居るだけで、一言も喋ろうとしないし。


「……は? 警察官?……よく見たら。あの警察官、猫耳と尻尾があるじゃないか? なんだあの姿? メルヘンのコスプレイヤーか?」


「ちっ! 捕獲隊に見つかった……ちょっと私に付いてきて。君!」

「は? 何で俺が……ちょっ! 手を引っ張るな! 転ぶだろうが!」


「ニャア?! ちょっと待つニャア! 貴方。その女の子に付いて行っちゃ駄目ニャアヨォ!!」


 猫耳警察官が俺を心配そうに追いかけて来る。


 だが俺達の方が足が速いらしく。


 俺達と猫耳警察官の距離は時間を追う事に開いていき。


 数分後には猫耳警察官の姿は確認できなくなっていた。



《新宿エリア フェーラ女学園 女子寮》


タキく~ん! タキ君用の着替えここに置いとくね。お風呂上がったらリビングに来てね~! ウフフ。楽しみ」


「はい…………おい。イリアス。なんで俺達。風呂に入ってるんだ?」

「ニャア……あの光ちゃんって女の子の自宅に連れ込まれたからです…ニャン」

「なんでだ? なんで転移そうそう。こうなってんだ? 俺はあぁ!!」


 ちなみに服は、この家に着いたと同時に強引に脱がされドラム式洗濯機の中で洗濯されている。


 そして、俺のこれからの選択筋は……どうなんだ? これ?



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