第194話:王冠の従魔具
楓の声を受けて、セリシャたちも彼女のもとへ集まってくる。
「完成したのね、カエデさん」
「あの魔石で作る従魔具を、こんな短時間で作るなんてね!」
「さすがはカエデさんだな」
セリシャ、ティアナ、ヴィオンと声をかけていく。
「えへへ。さあ、ピース! これがあなたの新しい従魔具だよ!」
嬉しそうに笑ったあと、楓はピースを見ながら完成したばかりの従魔具を差し出す。
「……キケキュキャアアアアッ!(……きれいだああああっ!)」
半透明な青白い王冠の従魔具を見て、ピースは目を輝かせながら感想を口にした。
そして、ゆっくりと王冠を手に取り、まじまじと見つめていく。
「……キキュ~!(……はぁぁ~!)」
あまりの美しさに、ピースは声が出ない状態だ。
「本当に美しい従魔具ね」
「これはピースじゃなくても、こんな反応になっちゃうわね」
セリシャとティアナも同意見なのか、王冠とピースを見ながら微笑んでいる。
「早速かぶってみたらどうだ、ピース?」
続けてヴィオンがピースへそんな声をかけた。
「キュン!(うん!)」
ピースも嬉しそうに返事をすると、部屋の中にある鏡の前へ移動すると、そこでゆっくりと頭の上に王冠をかぶせていく。
王冠はピースの頭にピッタリと合い、その姿に彼は満面の笑みを浮かべる。
「……キキュ~(……はぁぁ~)」
そのまま感嘆の声を漏らすと、そのまま自分の姿を見つめ続けていた。
「うふふ。満足してもらえたようで、よかったな」
楓が安堵の声を漏らすと、そこはセリシャが声をかける。
「お疲れ様、カエデさん」
「お疲れ様です、セリシャ様」
「それで、あの従魔具にはどのような効果があるのかしら?」
セリシャの従魔、ラッシュに作ってもらった従魔具では速度強化があったように、高価な材料を使った従魔具には、レクシアやライゴウの従魔具もそうであるように、特別な効果が付与される。
氷竜の魔石という国宝級の材料を使った従魔具なのだから、それ相応の効果が付与されていることは想像に難くない。
「水を氷に変えるのはそうですけど、空気中にある水分から直接氷を作り出すことができたり、氷魔法が最初から使えるみたいですね」
「……うん。もう驚かないわ! だって、カエデさんだものね!」
楓の解説を聞いたセリシャの発言までに一拍の間があったものの、楓はその間に気づかなかった。
一方でセリシャの間に気づいたティアナとヴィオンは顔を見合わせて苦笑する。
二人も楓の解説を聞いて内心で唖然としていたのだが、セリシャの反応を見たことで我に返っていた。
「さすがはカエデってことよね!」
「そう言うしかあるまい」
「えへへ~。そ、そうですか~?」
褒められていると思った楓は、恥ずかしそうに頬を掻く。
その姿に今回はセリシャも苦笑し、そしてピースに視線を向ける。
「とっても似合っているわね、ピース」
「その服とも合っているじゃないのよ」
「よかったな、ピース」
「キュン!(うん!)」
セリシャ、ティアナ、ヴィオンからお褒めの言葉をかけられ、ピースは飛び上がりながら頷いた。
その姿がとても可愛らしく、全員の表情が緩んでいく。
「……ココンコン」
しかしレクシアだけは、ピースをライバル視しているのか、負けられないといった感じで小さく鳴いた。
「どうしたの、レクシア?」
レクシアの声を聞いたティアナが問い掛けるが、レクシアは首を横に振る。
そして、心の中だけで闘志を燃やしていたのだった。




