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異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜  作者: 渡琉兎


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第179話:ケイルの証言

 場所を移した楓たちは、会議室の個室へ移動する。

 ケイルの横にはティアナとアリスが立ち、万が一に備えている。


「すまないね、ケイル。スキルか何かだろうとは分かっていても、僕も立場上仕方がないんだ」

「分かっております、レイス様」


 長テーブルを挟み、逆側にはレイスが座る。

 その後ろにはミリアが立っており、楓と鈴音はレイス側の壁際に立っていた。


「まずは、単刀直入に伺うよ。兄上、皇太子殿下がどこにいるか分かるかい?」

「申し訳ありませんが、分かりません」


 レイスの質問に、ケイルは即答した。

 アッシュの居場所についての質問がされることを予測していたのだ。


「皇太子殿下の行方について、こちらへ移動している間にも必死になって考えていたのですが、どうにもここ数日間の記憶が曖昧になっているのです」

「そうか……なら、質問を変えよう」


 するとレイスはあっさりとアッシュの居場所についての質問を諦め、別の質問を口にする。


「ケイルをあのような、自我のない状態にしたのは誰だい?」

「おそらく、という形にはなってしまうのですが……ラカーシャ王国の第三王女、エレーナ・ラカーシャ様ではないかと考えております」

「そうか。やっぱりね」

「お気づきだったのですか?」


 レイスの反応を見たケイルは、驚きの声を上げた。


「気づいてはいなかったんだけど、エレーナがミチナガ様と一緒に姿を消したらしいんだ」

「なんですって!?」


 ケイルは道長まで行方をくらましていたことを知らなかった。


「あ! し、失礼いたしました!」

「構わないよ。だけど、今の反応を見るに、ケイルもミチナガ様のことは知らなかったんだね?」

「……はい」

「そうか……」


 そこまで話をしたレイスは、腕組みをしながら思案顔を浮かべる。

 現状、ケイルから得られた情報は少ない。

 特に欲していたアッシュの居場所については全く情報を得られなかったのだから、レイスが考え込むのは当然だろう。


「……あの、一つよろしいでしょうか?」


 ここで手を上げながら口を開いたのは、楓だった。


「なんですか、カエデ様?」

「ケイル様はいつ頃までの記憶ならはっきりなさっているんですか?」


 楓の質問に、今まではあまり好意的ではないかったケイルだが、今回は素直に答えていく。


「五日ほど前でしょうか?」

「それなら、アッシュ様が姿を消したのもその頃と仮定して、皇太子殿下という有名なお方が、誰にも気づかれることなく、王都から外に出られるものでしょうか?」


 楓の言葉に、レイスたちはハッとした表情を浮かべる。


「……まさか、ケイルと同じように、どこかの隠し部屋に幽閉されている?」

「も、もしもそうであれば、一刻も早く見つけなければ!」

「だけど、闇雲に探しても意味はない。今回ケイルを見つけることができたのは、カエデ様の従魔、ピースのおかげなんだからね」


 慌てたように声を上げたケイルに対して、落ち着くようにレイスが伝えた。


「なんと、そうだったのですか。……ありがとうございます、カエデ様」

「え? いや、その、私ではなくて、ピースが見つけたんですよ?」


 突然ケイルが自分に対して丁寧な言葉遣いになったため、楓はどこかぎこちなくなってしまう。

 すると今度はティアナが手を上げて口を開く。


「レクシアは今、カエデが作ってくれた匂いを追うことができる従魔具をつけています。五日前ということなら、なるべく急いで匂いを探した方がいいかと」

「確かにその通りだ。いくらカエデ様の従魔具でも、匂いそのものが消えてしまえば、追うことは難しいかもしれないからね」


 ティアナの言葉にレイスが頷きながら答えた。


「ケイル、情報をありがとう。僕たちは改めて、兄上の捜索を始めるよ」

「……レイス様! その捜索隊に、私も加えてはいただけないでしょうか!」


 レイスがケイルを労うと、彼はすぐにそう声を上げた。


「ちょっと、ケイル様! あんた、自分が何をしたか分かって言ってんの!」

「ア、アリスちゃん!?」


 ケイルの声に文句を口にしたのは、彼の横に立っていたアリスだった。

 アリスはケイルが楓に対してどのような態度を取ってきたのか、実際に見てきている。

 そして今は、情報を与えてくれたものの、彼はいまだ容疑者の一人である。

 そんなケイルを捜索隊に加えるのに、アリスは反対だった。


「いいと思いますよ、レイス様」

「ちょっと、犬っち!」


 すると今度は楓が納得しながら口を開いたことで、アリスは驚きの声を上げた。


「いいんだよ、アリスちゃん。それに今は、一人でも手が多い方がいいんだから」

「でも……こいつ、犬っちにひっどい態度を取ってたんだよ?」

「そのことについては、謝罪させてほしい。本当にすまなかった」


 アリスが怒り冷めやらないといった感じで捲し立てると、ケイルは椅子から立ち上がり、楓へ頭を下げて謝罪を口にした。


「気にしないでください、ケイル様。あなたはアッシュ様……この国の王太子殿下の護衛騎士なのですから、異世界の人間を警戒するのは当然でしょう?」

「……恩に着ます」

「…………もう! わーったよ! 許せばいいんでしょーっだ!」


 楓が微笑みながらケイルを許すと、最後にアリスが頬を膨らませながらそう口にした。


「よし! それじゃあ改めて力を貸してくれるかな? みんな!」

「「「「「「はい!」」」」」」


 この場に集まった全員が返事をすると、再びアッシュの捜索が再開された。

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