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異世界従魔具店へようこそ!〜私の外れスキルはモフモフと共にあり〜  作者: 渡琉兎


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176/195

第176話:匂いを追うための従魔具

昨日(第176話)と今日(第175話)の更新が入れ替わっておりました、申し訳ございません。

更新後の入れ替え方法が分からず、昨日アップした第176話を改めてアップし、昨日更新分は非公開にいたします。

大変失礼いたしました。

 宝物庫に到着した楓たちだったが、その膨大な量の貴重な品々を見て目を丸くしてしまう。


「……すご」

「……これは、壮観ね」


 楓とティアナが感想を口にしていると、宝物庫の中にある一つの部屋をレイスが示した。


「あちらが、様々な材料が保管されている宝物庫になります」


 宝物庫は貴重な品々が保管されている場所で、目的の従魔具を作るための材料はもちろん、骨董品や武具など、ありとあらゆるものが保管されている。

 そのため、分類ごとに保管する部屋を分けており、それだけ多くの宝物が保管されているということでもあった。


「わ、分かりました!」

「気をつけてね、カエデ?」

「は、はい……」


 レイスの声に返事をした楓。

 そこへティアナから注意があり、楓も慎重な足取りで進んでいく。

 何か一つでも壊してしまえば、きっと労働奴隷になっても返すことができないものばかりな気がしたからだ。


「……つ、着いたぁ」

「……なんだか、緊張しちゃったわね」


 一息ついた楓とティアナ。


「コンコ~ン」

「……レクシアは、軽々と歩いてきたわね」


 ピースは楓の肩に乗っているから難儀をしていないが、レクシアは自らの足で宝物庫を進んできた。

 そのレクシアは鼻歌交じりで鳴きながら、優雅な足取りで進んでいた。


「あは、あはは~」


 苦笑いを浮かべた楓ではあったが、彼女にとってはここからが本番だ。


「どうでしょうか、カエデ様? より良い従魔具を作れそうですか?」

「確認してみます」


 レイスの言葉を受けて、楓はすぐに〈従魔具職人EX〉を発動させる。

 しかし、先ほどとは違い作り方が表示されるまでに時間が掛かっている。

 材料が膨大過ぎて、〈従魔具職人EX〉でも情報を処理するのに時間が掛かっていた。


「……出ました!」


 三分ほどが経ち、楓がようやく声を上げた。


「どうでしょうか、カエデ様?」

「いけます! 今から言う材料を持ってきていただけますか?」

「お任せください!」


 王族をこき使うのはどうかと思ったが、楓が探すよりもレイスが探した方が早いと判断した。

 レイスも特に文句を言うことはなく、素直に動いてくれる。

 こうして楓が用意させた材料は――無臭袋、大食漢ホエールの強胃(きょうい)百筋花(ひゃくすじか)の茎、この三つだ。


「意外と少ないのね」


 材料が三つだけということもあり、ティアナは思わず感想を口にした。


「レクシアさんの鼻を覆う形の従魔具ですからね。それに、今回は性能が第一ですから、これだけでいいんです」

「なるほどね」


 楓の説明に納得したティアナは何度も頷く。


「すぐに作ります。少しだけ待っていてください」


 そう口にした楓はすぐに作業を開始する。

 今回の肝になる材料は、大食漢ホエールの強胃だ。

 大食漢ホエールの強胃は取り込んだ匂いを半日以上で追い掛けることができる代物だ。

 これは海の中でも有効で、大食漢ホエールも海の魔獣である。

 しかし問題なのは、大食漢ホエールの強胃は猛烈に臭く、そのままで使用することは難しい。

 その使用を可能とする材料が、無臭袋だ。

 これは名前の通り、全く臭いがしない袋なのだが、これと大食漢ホエールの強胃を融合させることで、強胃の性能はそのままに、悪臭を消すことが可能となる。

 最後に百筋花の茎だが、これは周囲に漂うありとあらゆる匂いを一つひとつ選り分けてくれる材料だ。

 追い掛ける相手が近づけば臭いも濃くなるため、終盤ではあまり役に立たない高価だが、相手が遠くにいるだろう追跡序盤では役に立ってくれる。

 アッシュを見つけ出すために、〈従魔具職人EX〉は最善の材料を選んでくれていたのだ。


「それでは……いきます!」


 今回の従魔具は使う用途が限定的なものだ。

 故に、作業を細かく分ける必要はなく、三つの材料を一気に融合させていく。

 もちろん、材料同士が多くなればなるほど、材料を融合させることが難しくなり、膨大な魔力が必要となってくる。

 それでも楓は全く苦も無く作業を進めていき、あっという間にレクシア専用の、匂いを追うための従魔具が完成した。


「「はやっ!?」」

「え? そ、そうですか?」


 ティアナとレイスが驚きの声を上げると、楓は首をコテンと横に倒しながら答えた。


「どうでしょうか、レクシアさん? もしも臭いとか、不快な部分があれば教えていただけますか?」


 今回は楓がレクシアに声を掛け、そのまま鼻の方へ従魔具を装着する。

 レクシアが何度か鼻で呼吸を繰り返したあと、楓の足に身体を寄せながら答える。


「コココンコン。コンココン、コロロン(大丈夫よ。ありがとう、カエデ)」

「よかったです」


 レクシアから大丈夫だと返事をもらった楓は、ホッと胸を撫で下ろす。


「レイス様。何かアッシュ様の匂いが残っているだろう品物はありませんか?」

「そう言われると思いまして、兄上の私物を準備させていました」


 匂いを追って捜索すると聞いていたレイスは、事前にアッシュの私物を準備させていた。


「よーし! それじゃあ、本格的な捜索を開始するわよ、レクシア!」

「コオオオオンッ!」


 匂いを追うための従魔具が完成し、ティアナとレクシアが気合いのこもった声を上げた。


「私たちも頑張ろうね、ピース!」

「キュッキュキュー!」


 楓も負けじとピースに声を掛けた。


「皆様、何卒よろしくお願いいたします!」


 最後にレイスが感謝の言葉を告げて、アッシュの捜索が開始された。

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