248.始動キー
リビングのソファで、ゴロゴロと寝転がっていたフェリが、むくりと顔を上げた。
俺の相棒、フェンリルのフェリが、どうやら魔法を暴発させない方法を知ってるらしい。
「お前、そういうの知らないかと思っていた……」
『我を何だと思ってるのだ……?』
フェリが心外だと言わんばかりに、マズルをヒクつかせる。
「ただの食客かと」
『ふふ、まあな』
否定しないのかよ。
なぜか誇らしげに、ふさふさの胸毛を張っている。
『いつも、主に与えてもらってばかりでは、よくない。いずれ手に負えなくなって、捨てられ、保健所のお世話になるなんて嫌だからのぅ』
どこでそういう知識身につけてくるんスカね……保健所とか……。
ああ、つけっぱなしのテレビのニュースか。
フェリはテレビ好きだもんな。
暇さえあれば、ソファを占領してテレビを見てるし。
まあそれは今はどうでもよくって。
俺はテーブル越しに身を乗り出した。
「ぜひやり方を教えてくれ」
『うむ』
フェリはお座りの姿勢になり、ピンと耳を立てる。
『【始動キー】を決めておくのじゃ』
「始動キー?」
『うむ。キーワードだな。このキーワードを言うことで、精霊達に【キーワードの後の発言を、魔法として発動させろ】と命令するのだ』
うーん?
俺が首をひねると、フェリは前足でトントンとテーブルを叩いて説明を続ける。
「どういうこと?」
『今の主は、自分の発言を、精霊達によって勝手に、『精霊への命令』だと解釈されているのじゃ』
「そうだな」
別に殺したくないのに、相手を殺しちゃったり、蘇生させたりしてる。
現状、火が欲しいと思うと精霊がそれを聞きつけ、精霊達に俺が『火が欲しい』と命令した=魔法として発動してくれ、と勘違いしてしまうのだ。
その状態だといつか火事になって、大事になりかねない。
そこで始動キーで、しっかりこれが命令ではないと、精霊達にわからせるべきといいたいらしい。
『精霊らに、始動キーを渡しておく。そして、自分がその始動キーを言った時だけ、魔法を発動するようにしておけばいいのだ』
「なるほど……そうすれば、始動キーがでてないときの発言を、勝手に魔法にされなくてすむわけだな」
『そういうことだ』
フェリが得意げに尻尾をパタパタと振った。
「なるほど……」
「始動キーの重要性には気付いたようだな」
「ああ。教えてくれ、どうやれば始動キーって作れるんだ?」
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※1/9(金)
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