1話 お兄さま
俺はいつものように古本屋で立ち読みをしていた。
100均セールコーナーにエロい表紙の小説があった。
よく聞くタイトルなのに内容は知らない。
すこしエロい話かもしれない。
こういうのを読むと俺の人生も変わるかなと思った。
はじめてこの本屋で本を買った。
これで俺も客として認知されるはず。
しかもインテリジェンス。
デュフフ。
これで他の客との差別化は完璧だな。
店員とは顔を合わせないように会計をすませた。
本の表紙には「ドグラマグラ」と書いてあった。
■
自宅に帰って荷物を下ろした。
とりあえずポテチを食べる。
うまい。
ポテチは神。
今日も俺をいやしてくれる。
俺を2袋目のポテチを開ける。
食べる前に甘いものが食べたくなった。
甘いもののストックは尽きていた。
仕方ない。
コーラを飲むか。
冷蔵庫まで動くのは面倒だな。
何かこういうリモコンがあればいいのに。
俺はドグラマグラのエロ挿し絵をチェックすることにした。
文字ばっかりだ。
がっかりだ。
表紙を見て惰性でおちんちんをさわる。
無理だな。
こんな本ではおかずにはならない。
俺はポテチ3袋目の途中でトイレに行った。
変な音が聞こえる。
なんだろう。
しばらくしてトイレのドアを開けたら、全裸の女がポテチを見つめていた。
全裸の女が俺に気づきこっちを向いた。
俺と目が合った。
そして全裸の女は言った。
「私はドグラマグラモヨコです。お兄さま」