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第一王子は出番がほしい!  作者: いとなつきみ
20/21

物語は

 「あのねブレント、私、というかこの『守護人形様』は、大精霊様のお使い様で間違いないわよね?」

 

 「そうだな」

 

 小さい子供に言うような人形の口調にカチンときたが、それよりも話の先行きが気になったので、僕は簡潔に返事した。

 

 「だったら私の意識を引っ張っているのは、大精霊様って事になるんじゃない?」


 「え、えーっとそう、なのか・・・な?」


 人形は自信たっぷりに言っているが、それ以外の可能性も有るような・・・。


 「そうに決まってるじゃない!だいたい勝手に異世界に転移させられたり、人形にさせられたり、今からって時に意識引っ張られたり、私、大精霊様に対して、結構不満が溜まっているのよね!一言文句言っても許されると思うんだけど!」


 人形は息巻いているが、ちょっと心配になってきた。


 「おい!そんなんじゃ大精霊様にお会いできても、ご機嫌そこねて、君の大っ嫌いな黒いアレみたいに、バシッと一瞬で潰されてしまうかもだぞ!」


 「えーそれは嫌だー。しょうがない!諦めるか」

 

 良かった。・・ってなんで人形の妄想を真剣に考えてるんだ僕・・。


 「でも、これ以上変なのに転移させられるのも嫌だから、どうにかしてブレントの所に、人間として戻してもらえるように、かわいく頼んでみるよ!」


 また妄想か!


 しかしこの非常識な状況では、呆れた妄想とも言い切れない。それに人形は誰にでも平気でズケズケ言う所があるから心配だ・・・。


 僕がうろんげに人形を見ていると、


 「大丈夫、大丈夫、気合と根性だよ!」

 

 「また出た、キアイトコンジョ」 ハァ―と僕が脱力していると、


 「ブレント」


 人形が僕を呼んだ。さっきとは違い、真剣な口調にドキッとした。


 悪い予感が僕を押しつぶす。


 「ブレント!」

  

 「・・・・」


 答えたら予感が現実になりそうで・・


 「ブレント‼」


 焦ったように人形が僕の名を呼ぶ。もう逃げられない・・

 

 「な・・に?」


 一言絞り出す。すると人形は早口で宣言した。

 

 「私、絶対この世界に、ブレントの所に戻ってくるから!カテリーナかヒロインか、もしかしたら残念なモブになってかもだけど」


 残念なモブ??とか考えている暇もなく、


 「戻ってきたら約束通り笑顔の練習ね!」


 「うっ」やっぱりいやかも!


 「返事は?」人形が畳み掛けてきた。しょうがない、


 「わかった約束だ」すると人形の元気な声が返ってきた。


 「約束ね!じゃあまた!」


 その瞬間、フッと人形の中から意識が消えたのが分かった。


 


 こうして、僕と自称『異世界転移人形』との短い物語は、あっけなく終わってしまった。








読んで頂き有難うございます


次話は最終話になります。 一時間後に投稿予定です

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