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幼女趣味で少年趣味で性豪王!?王子、怒りの反論



「だぁーれが、幼女趣味の、少年趣味の将来は性豪王だぁああっ!!」


 木霊こだまする方向は、王子の執務室。


 ガラスの靴を持参し、日々、家々を尋ね回っている家来の恒例報告中である。


 成果の他にも、街の様子なども聞いていたら、世間では、王子である自分が、とんでもない人物に変わり果てていた。


「申し上げます、殿下。⋯おそらく、御触書おふれがきの内容と、家々をしらみ潰しに巡っているのが、原因かと」


「⋯⋯」家来の言葉に、なにも言えない王子様。


 眉根を寄せて、ギュッと目をつむり、なにかに耐えるような、そんな表情だ。


(そんなの分かってる。あまりにも皆を巻き込みすぎた。人の噂話が、こうも脚色されるものとは思わなかったが。しかし、ここで歩みを止めたら、僕は、彼女をまた、見失ってしまう⋯っ!)


(あの日、あの女が、あの女が、あの女が!!彼女を好き勝手に扱っていると想像したら、いてもたってもいられなかったんだ⋯っ!)


「でも、まさかこんな⋯。幼女趣味で、少年趣味の将来が性豪王なんて、僕はただ彼女を見つけ出したいだけなのに⋯、でも、その前に噂話が彼女の耳に入ってしまったら⋯っ!」


 心の声が自然と漏れていた。


 稀有なまでの美貌の王子様の、今にも泣き出しそうな表情に、家来は、憐憫れんびんの情を覚える。


「あの、殿下。差し出がましい事は重々承知なのですが、一旦、街での捜索は後回しにし、先に郊外の捜索から着手させていただいてもよろしゅうございますか?郊外の家々なら、一軒一軒が離れていますし、そのような荒唐無稽こうとうむけいな噂は、広がりにくいかと存じます」


 移動時間が増え、疲労も蓄積されるというのに、家来自ら、そう、提案してきたのである。


其方そなたには、苦労をかける。頼まれてやってくれるか?」


 王子様が家来を見据え、そう口にすると、不安で今にも消え入りそうな王子様を安心させるかのように、家来は、にっこりと微笑んだ。


「お任せください」


「すまない。ありがとう」

家来の、王子様を思っての計らいに、感謝しつつ、気を取り直した王子様が口を開く。


「では、私は⋯⋯」


「街中に蔓延る、妙なうわさ話を消し去るため、劇場を抑え、貴族には観劇を促す。庶民に向けては、有名吟遊詩人を買収し、私と彼女の、あの日の舞踏会の様子を歌わせる」


「もちろん、脚本は、この私だ!!!!」


「⋯だいたい、なんだその妙な遊びを私に教えたのが、彼女とは。彼女の清廉さを侮辱するな!!そして、私は、至って清い身体のままだ!!!」


 吠える王子様に一礼して、家来は、そそくさと退出した。



 その頃、城から一番近い街では、『王子様と妙ちきりんな靴』という紙芝居で、日銭を稼ぐものが現れたりと、まだまだ王子様の苦悩は、終わりそうにもない。



「なーんか、獅子王の息子に、“性豪なる妖精王子”とかいうあだ名が付いちゃってるんだが」


 王様である。


「まぁ、勇ましいこと」


 口元を扇で隠し、ホホッと笑うは、王妃様。



 王子である息子を溺愛している妃なら、激昂しそうな話題なのに?と思い、不思議そうに王様は、お妃様を見、「怒んないのね?」と尋ねた。


「愛息子に不本意なあだ名は、付いてはおりますけども、それもまた、国民が関心を寄せている証。きっと、成婚の際は、国中の民が、あの子達を祝福し、生まれる子供も、きっと愛されることでしょう。楽しみですわね」


 静観を決め込んだ王妃様は、そうおっしゃるのだった。



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