96.配信休止=彼女は束の間の平穏を思い返す。
お休みに入り、お昼前に目を覚ました私は自堕落に時間を過ごしながらも、準備を進め、夕方には実家に着くように家を出る。
普段はたまにしか外出しない……というより、私の根っこの部分はインドアだから基本的にお家大好きだし、そもそも一人で出かけてもそこまで楽しめない。
だから私が出掛けるの必要な買い物か、誰かとのコラボか、友達と遊ぶ時くらいだった。
今回は一人でのお出かけだったけれど、それでも久しぶりに実家に帰ってお母さんに会えるという嬉しい気持ちでいっぱいになり、うきうき気分で退屈はしなかった。
「ふんふーん~せっかくだから何か買っていこうかな~」
鼻歌交じりでご機嫌な私は道すがらに立ち並ぶお店を物色しつつ、お母さんへのお土産を探す。
私がVtuberとしてデビューして今に至るまでにもらったお給料の中から毎月仕送りはしているけれど、それだけじゃ今まで育ててもらった恩は返しきれない。
最初はその仕送りすらいらないと突っ撥ねられかけていたものの、どうにか受け取ってもらう事ができるようになったし、いつか立派なお家を建ててあげたいと思っている。
「……っと、あんまり迷ってても遅くなっちゃうし、お土産はケーキに決めちゃおっと」
少し高級そうなケーキ屋さんで数種類のケーキを購入した私は駆け足気味で電車に乗り込み、実家へと向かう。
今、住んでいる家から実家はそこまで離れておらず、日が暮れる前には帰省する事ができた。
「――――ただいま~って、あ、まだお母さんは帰ってないか」
合鍵を使って中に入ったものの、中に人の気配はない。事前に帰るとは伝えていたけれど、今日は平日だし、お母さんも仕事に出ているから仕方ないだろう。
「んー……ひとまずケーキは冷蔵庫に入れて……あ、飲み物が入ってないや……まだ時間もあるし、コンビニに買いにいこっと」
別にお茶や水があれば問題はないが、せっかくのお休みで帰省したのだから好きな飲み物を買ってこようと思い立ち、荷物を下ろして玄関へと向かった。
そして財布とスマホだけをポケットに入れて靴を履き替え、鍵をかけて実家を後にした私は近くのコンビニを目指して歩き出す。
せっかくだから久しぶりにこの辺りを散歩がてら歩いて回ろうなんて柄にもない事を考えていたけど、このすぐ後にそれを後悔する事になるのをこの時の私はまだ知らない。
――――たとえ知っていたとしても、私を襲う結末は変わらなかったかもしれないけれど。
96.配信休止をご覧くださり、誠にありがとうございます。
お休みに入ったばかりの束の間の平穏……彼女を待ち受ける運命とは……?
今後が気になる、彼女達を推せるという方はチャンネル登録とグッドボタン……もとい、ブックマークと評価の方をよろしくお願いいたします……それでは彼女達から一言!
「実家……そういえば私もしばらく帰ってませんわね……今度、電話してみようかな」
「いいんじゃない?そういうのはできる時にしておくべきだと私は思うよ」
「……そういうノーみりんお母様はどうなんですの?あんまりそういうお話を聞きませんけど」
「私?私はたまに連絡を取ってるよ。元々、私がイラストレーターになるのを快諾してくれた訳じゃないけど、きちんと結果を残したから最近は何も言われないし……」
「……私、何かこっぴどく怒られそうな気がしてきましたわ」
「大丈夫、オリィちゃんは立派に頑張ってるから自信を持って!」
「……そういう問題ではないような……まあ、また連絡してみますわ」




