最終話
最終話は残しました。みなさまのご想像を聞かせていただけると楽しいかも!
ドニトとビアンの熱烈な告白に慌てるゼッドを目にしたルルーシアが楽しそうに笑う。
「わたくしはどうやら行き遅れにはならなそうで嬉しいですわ」
「まあまあまあまあ! それはいい考えだわっ! ルルーシアと結婚した者を次期当主にしましょう」
現当主不在にも関わらず、次期当主について大切なことが決まった。だが、この家の者たちは執事やメイドに至るまで、それに不満も不安も持つ者はいない。
「ということは、ルルーシアはわたくしの義娘になることは決定ね。
ルルーシア。これからはわたくしを母と呼んでちょうだい」
「お義母様。これからもよろしくお願いいたしますわ」
「まあ! 可愛らしい!」
侯爵夫人はドニトとビアンを吹き飛ばしてルルーシアを抱きしめる。
「「「母上ぇ!!!」」」
三人の男の悲痛な声が小ホールに響いた。
〰️ 〰️ 〰️
学校説明会から一ヶ月、中庭事件から三ヶ月。
それぞれの婚約者との関係が良くなってきたなと感じてきている三人に素敵な素敵な贈り物が届いた。
ゼッドが自室に入るとローチェストの上にその贈り物は飾られていた。
「うっぎゃー!!!」
頭を抱えて裏声で叫んだゼッド。
その飾り物は、どデカいハイヒールがガラスケースに入れられており、まるで家宝と言わんばかりの丁寧な陳列であった。
ゼッドは転がるような勢いで母親の部屋へ赴く。
「母上! あれはっ! あれは何ですかっ!?」
肩で息をしているゼッドは自分の部屋の方向を指差して喚いた。
「もう……。うるさいわね。
あれはっ! 王妃陛下からの贈り物よっ!
素晴らしい飾り物になっているでしょう。大切になさいね」
夫人は優雅にお茶を口に運んだ。
「あぁ。美味しいわ」
落ち着いている夫人に、ゼッドはアワアワと口を動かすが言葉が出ない。
「それから」
夫人が勿体ぶるとゼッドが不安そうな顔をする。
「あれの処分はルルーシアに一任されているの。ルルーシアがこちらに嫁いで来てからどうするかを決めるのよ。
お前の子供が生まれるまでに処分してもらえるといいわねぇ」
侯爵夫人は口元がニヤけるのを隠すこともしなかった。
青い顔をしたゼッドはプルプルと首を左右に振っている。
「もしそれまであれが残っていたら、わたくしが孫にあのハイヒールの経緯を説明してさしあげるわ。
ね? ゼルーシア」
侯爵夫人は優雅な特級淑女の笑顔を作ってみせた。ゼッドは一歩退く。
「あっ! ドニトかビアンがルルーシアと婚姻することになったら、それもまたこの話題が活きるわね!
女裝してもフラれたゼッド。あっはっは!! 楽しみだわぁ」
侯爵夫人は自分の想像がツボにハマり淑女を投げ捨てていた。
「赦してくださーい!!」
天を仰いだゼッドの絶叫が響く。
ピタリと笑いを止めた侯爵夫人がチロリと睨んだ。
「フンッ! ルルーシアが赦してもわたくしが赦さないわっ! わたくしはいつでも貴方よりルルーシアを選びますから。
よぉく覚えておきなさいね」
侯爵夫人の後ろでは使用人たちがコクコクと同意していた。
〰️
「どわぁ!」
イードルが膝をついた。
「ひぇぇぇ」
サバラルが卒倒した。
イードルとサバラルも自室で自分用のどデカいハイヒールが飾り物と化しているのを確認し、一人騒ぎとなっていた。
もちろん、各々の母親からきっつーい嫌味も付いている。
彼らが敵に回したのは、婚約者ではなく母親であったのだ。
まあ、なんとなく、わかってはいたが。
三人の過ちが本当に赦される日はまだまだ遠い。
〜 fin 〜
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