第530話 天の雷
次話を読んでいただきありがとうございます。
よろしくお願いします。
選択したディオス、そして…
ディオスは、杉田 優志郎へ戻る事を宣言した。
そして、ホーリートライアングルの二柱の最上位、レオニドスとメファノタスが牙の顔をする。
爆発する暴威、それにディオスの後ろにいるセイントセイバー達が
「兄貴ーーーー」
と、叫ぶ信長の声は、レオニドスとメファノタスの暴威にかき消される。
ホーリートライアングルの最上位二柱の、怒りと絶望、拒絶に唖然を含んだ暴威がディオスに突き当たる。
ディオスは、それを正手を向けて両断する。
黄金の獅子レオニドスの黄金に燃える獅子の業火、銀の龍であるメファノタスの白銀に輝く龍の暴威。
その二つがディオスの正手の前で裂けて、全長100キロのメルカバーの天井を裂く。
メファノタスが絶望に嗤い
「これ程までに愚かだったとは、所詮…キサマも! 獣だった。そういう事だな…聖帝ディオス…いいや、ただの人、杉田 優志郎ーーーーー」
レオニドスは赫怒に嗤い
「全く、超越存在に至る者、全ての至高を一身に受ける聖帝が…このような愚策に落ちるとは…末代までの恥であろうーーーー」
ディオスの守りに隠れるアシュリード、ライアーにキャロルの三人。
アシュリードが悲しげ
「ディオスさん。申し訳ありません。自分のせいで…」
ディオスは冷静に
「謝らなくていい。私が選んだ私の結論だ。君に咎はない」
ライアーがデウスマギウスの右腕を伸ばし、インドラの砲口を向けるが
「黙ってろーーーー 超位者の息子がーーーーーー」
レオニドスの黄金の牙の一閃がその砲口を破壊する。
物理究極の存在が糸も簡単に破壊される。
ライアーは忌々しげな顔をする。
レオニドスとメファノタスは、明らかに超越存在と同等の力量を持っているのだ。
メファノタスが右手を上げてボキボキを指を鳴らして
「キサマが…我が御方に手を上げるなら、それを破壊するまで…」
レオニドスが鉤爪のように右手を掲げると、黄金の炎が包んで燃えさかり
「我らに弓を引いた事、冥府の底で後悔せよ」
更に二人から噴出する暴威が加速する。
天災のような獣の雄叫びが広がる。
黄金の獅子と銀の竜、その頂上の神獣達の怒声。
それは、天地が終わる音に似ていた。
だが…
「それが…汝の答えか」
と、メルカバーの上で声が響く。
レオニドスとメファノタスが空いた天蓋から見上げるそこに、御方アルダ・メルキオールの天頂に繋がる時空の穴があった。
アルダ・メルキオールは、ディオスを見下ろして
「聖帝ディオス…いや、杉田 優志郎よ。お前は人に戻るだな」
ディオスが首を横に振り
「私は、元から私だ。君とは違う」
アルダ・メルキオールは右肘を王座に付いて顎を右手に乗せ
「そうか…残念だよ。汝なら…この頂きに至っていると…感じていたのに」
と、左手を挙げ、左手の中に膨大な紫電が集約される。
”エルザタリオン”
アルダ・メルキオールは、天雷を放った。
それは光線だった。
一撃、その一撃で…100キロもあるメルカバーが粉砕された。
落ちた天雷は、メルカバーを突き破り、それが佇む大地を大爆発させる。
それは、かつて、恐竜を絶滅させた巨大隕石の如き天災級の威力だった。
その大爆炎の中を余裕で飛び抜けるレオニドスとメファノタス。
彼らにとって、この程度、ダメージでもない。
業火の大地に、四つに粉砕されたメルカバーの破片が落ちる。
煮えたぎるマグマと熱の大地。
それを下に、主であるアルダ・メルキオールの元へレオニドスとメファノタスが来て、レオニドスが
「破壊しても宜しかったのですか?」
天頂の王座に座るアルダ・メルキオールはフンと呆れた溜息を吐き
「別に、ただ、自身がアヌンナキとなった場だ。何かの記念として残していた程度。だが、なかなかの強固さよ。我が一撃でも割れた程度とは…」
メファノタスが
「追跡しますか?」
アルダ・メルキオールがフッと笑み
「無駄な労力だ。我を人に戻すのだろう。だったら必ず我の前に現れる」
レオニドスが
「では、その無駄な労力を行いたいのですが…」
フッとアルダ・メルキオールは笑い
「分かった。だが…今は、待て…」
と、見下ろした先に逃走するディオス達がいた。
ディオスは、雷御の創り出した翼竜の背にいた。
翼竜の背にはディオス、ライアーにキャロル、アシュリードの四人、その翼竜を動かす雷御。
雷御に連れられて逃走するディオスは、遙か頭上のアルダ・メルキオールを見る。
その視線は、悲しげであった。
アルダ・メルキオールはそれに気付きフフ…と笑い
「かわいそうなヤツ。天道に至れるのに人道に留まるとは…」
レオニドスとメファノタスが前屈みになって追跡しようとしたが、それを手を上げてアルダ・メルキオールは静止させ
「祝ってやれ。あやつの選択を。それに…ここには契約がある」
レオニドスが
「契約は、ディオス達を受け容れた時に反故にされたと…」
アルダ・メルキオールは
「いいや、大いなる父…イブアベルは、説明しただけで、我らに弓を引いていない。契約は守られている。それにこれは…内輪もめだ」
メファノタスが
「では、如何様に…」
アルダ・メルキオールは
「連中は、ここを出て行く。その後から…」
レオニドスとメファノタスはお辞儀して
『全ては御方の意思に…』
ディオスのセイントセイバー達と充人は、破壊の最中に機神型時空要塞戦艦エルディオンに戻り、脱出していく。
燃える大地と、そこに落ちたメルカバーの残骸を下に、空へ昇る機神型時空要塞戦艦エルディオン。
その艦橋の外を映す大画面を、信長は見詰めて
「どうして、兄貴は…」
と、信長は手すりに両手を置いて項垂れている。
艦橋には、同じくセイントセイバー達に充人がいる。
アーヴィングが充人に近づき
「どうして、ディオスさんが…あんな選択をしたか…分かるよな」
アーヴィングはディオスと充人のやりとりを見ていた。
充人は俯き「すまん」と、そこへ信長が充人の襟を掴み
「どうして! アンタは、それを止めなかったーーーーーー」
「止めろ信長」とユリシーグ
「信長」とカイド
「おちついてください」とラハトア
充人から信長を離す。
だが、綾妃が来て
「なあ、どうしてディオスさんは、あんな事を選んだんだよ。アタシ達は、ディオスさんと帰る為に動いていたんじゃあないのかよ!」
充人は無言で俯く。
そこへ悠希が来て
「ねぇ…ディオスさん。杉田 優志郎に戻るって。じゃあ、ディオスさん…帰って来ないの?」
愛が
「じゃあ、ディオスさんの奥さん達やお子さん達は…どうなるんですか?」
充人が無言で俯いている。いや、それしか出来ないのだ。
そこにアーヴィングと阿座がアイコンタクトをして、阿座が
「とにかく、一度…アースガイヤに帰還しよう」
アーヴィングが
「帰還したら…説明してくれるよな。充人…」
充人は頷いた。
雷御の翼竜に乗っているディオスに、雷御が
「全く、お前は…」
ディオスがフッと自嘲じみて笑み
「全く、本当に我ながら…」
と、呟いている間に、マグマ地獄になった大地を抜けると、正面に200メートルの時空戦艦が見える。
その甲板には、アルシュがいた。
ディオスは、その時空戦艦を見て
「アレは?」
雷御が
「ちょっと、イブアベルの施設から拝借してきた」
ディオス達を回収した雷御の翼竜が、その時空戦艦に入ると、時空戦艦は時空転移して何処かへ消えた。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
次話もよろしくお願いします。
ありがとうございます。




