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今日は練習試合だった。
パパっと食べるのがいいかなと思い、ケバブ風のサンドイッチにした。
牛肉を甘辛く炒めたものと軽く蒸した千切りキャベツと人参を風吹の好きな和風ドレッシングとマヨネーズ、少量のマスタードを混ぜたもので合える。
丸い、中が空洞に、なったトルティーヤを半分に切り、バターを少量塗り、周りに野菜を入れてから中央にお肉を入れる。
風吹は結構いっぱい食べる方なのでもう1つの半分には野菜は同じものとローストチキンを入れてからチリソースをかけた。持ちやすい様にクッキングシートを包んで切りやすい様に切れ込みもいれておく。
風吹お気に入りのはちみつレモンと冷製スープも入れておく。
外に出たら風吹が待っていた。
「風吹……待たせてごめん。」
「待ってないよ!いつも美味しい、お弁当ありがとう。」
抱きしめてキスをしてきた。
「はぁ。羽留の匂い好き♡これで今日頑張れそう!!!応援宜しくね」
私もキスをする。
「うん。後で応援に行くね」
ぎゅーと抱きしめ合う。
笑顔で手を振って風吹が自転車に乗って行った。
今日は風吹パパとママも行けないそうだ。
風吹の学校の体育館で練習試合がある。
練習試合といっても市大会のチーム全部が揃うので公式試合と変わらないそうだ。
抱きしめた時に少し風吹が震えていた。
緊張していたのだ。
風吹の高校のチームの席に腰掛けた。
風吹を見つけたので「風吹~頑張ってね」と言って手を振った。
風吹も笑顔で振り返してくれた。
席に戻って座ろうとしたら視線を感じて見ると昨日のマネージャーとその友人達だった。
「あなた、風吹くんが優しいからって迷惑かけないでくれない?試合前で乱されたらあなたのせいよ。」
「そうよ。本当に迷惑な追っかけね」
「次、風吹くんに迷惑かけたら出禁にするわよ。」
さすがにイラッとして言い返す。
「私は風吹の応援してるだけなのに何で出禁になるの?しかもあなた達にそんな権限ないでしょ?」
「はぁ?何?この女、風吹くんを呼びすてにしてるわよ。」
「彼女のつもり?いい加減にしないとストーカーで被害届けだすわよ。」
話すのも疲れたので無視をした。
「羽留ちゃんも応援に来てたんだな?」
振り返ると純一くんだった。
「純一くん!久しぶり。」
小学校からの同級生に会うと少し落ち着く自分がいた。
私と風吹の親友の純一くんが喋っているのを見てマネージャー達は目を丸くしていた。
純一くんも風吹と同様に背も高く顔も整っているからだ。
「なんであの女と純一くんが喋ってるの?」
「もしかして風吹くんとも知り合い?」
「え?でもストーカーって言ってなかった?、」
周りが色々言ってても純一くんは動じてなかった。
自分には関係ないって態度だ。
「純一くんは今でもサッカーしてるの?」
「サッカー部に入ってる。羽留ちゃんは学校楽しい?」
「凄い楽しいよ!補習も課題も多いけど……でもやりがいあるよ。」
「羽留ちゃんが卒業式前に怪我した事あったじゃん?あの時、風吹凄く気しててさ…すごい自分を責めてたんだ。羽留ちゃんはおばあちゃんの家に行ってたから会えなくて、でも高校一緒だし入学式に桜の木の下で告白するんだって言ってたんだよ。まさか、羽留ちゃんが他校でしかも遠距離になるって知って。ずっと荒れてたから今幸せそうで俺も嬉しいよ。幸せになってな。」
胸の奥がじーんとなった。
こんなに風吹との交際を喜んでくれてる人がいるって分かって嬉しかった。
「中学の時は色々あって大変だったよね。でも、羽留ちゃんが可愛いいのを妬んでたんだと思う。2人は傍から見てもお似合いだったしな。小学生の同級生は皆、羽留ちゃんと風吹が付き合って喜んでたよ。だから自信持ってな」
「うん。ありがとう!純一くん。」
笑顔で答えた。
まさかその笑顔を見て風吹が激しく嫉妬をしてたなんてこの時の私は知る由もなかった。
この後、かなりのねちっこいお仕置される事も……。
試合が始まった。
風吹達のチームは順調に勝っていた。
練習試合だが、本番の試合の様だった。
応援にも熱が入っていた。
昼休憩の時間になり選手皆が応援席の方に上がってきた。
私は隅の方に移動してお昼ご飯を食べる事にした。
風吹のに作ったおかずの残りでサンドイッチを作っていた。
「風吹の今日の弁当うまそうだな」
声が聞こえてきた。
「何そのオシャレな弁当!ケバブみたいだな。」
「彼女が作ってくれたんです。」
「彼女ってらあのプリクラの子だろ?優しいなぁ。今日なんて早起きして作ったんだろ?」
「羽留ちゃんの手作りなんだ?美味そうだね。」
少し多めに作っていたので純一くんにもあげることにした。
「多めに持ってきたから食べる?」
「まじ?助かるWWめっちゃ。うま!」
純一くんはお腹がすいてたので凄く喜んでいた。
上げた。2枚分のサンドイッチをぺろっと食べていた。
まだ空いてそうだったので持ってきてきたスープもあげた。
「うま!ありがとう!羽留ちゃん」
こんなに喜んでくれると思ってなかったので私も嬉しくなっていた。風吹が今にも目だけで抹殺しそうな顔をしていた事に気が付かなかった。
せっかくなのでポンデリングもどきのドーナツもあげたら喜んでくれた。
私の前に影が出来た。
風吹が立っていた。
「応援ありがとう。羽留」
「風吹いっぱい、シュート決めてかっこよかったよ」
「そっか。純もわざわざありがとうな。お昼は食べたのか?」
「あぁ。羽留ちゃんが分けてくれたんだ。」
「へぇ?良かったな。羽留もありがとう。」
なんだろう?
笑顔なんだけど、なんか違う。
風吹の目笑ってない。
「風吹!よかったらこれ私が作ったの。後で食べてね。」
お菓子を渡すの嬉しそうに笑っていた。
さっきのは疲れてただけかな?
風吹も私の横に座ってご飯を食べ始めた。
「おいしいよ。このケバブ。」
「良かった。喜んでくれて。」
お腹がすいてたのかペロッと食べてデザートも食べていた。
美味しそうに食べる風吹を見ていたら私も嬉しくなった。
「午後からもがんばってね。」
「あぁ。ありがとう、それじゃあ」
風吹はチームメイトの所に戻って行った。
「あれって彼女?可愛い子だな」
「純一と仲良いんだな?」
風吹……。やっぱり元気ない?
チームメイト達の話に相槌をうつだけだった。
私は疲れているだけだと思っていたが嫉妬で狂っていたのを我慢しているだけだった。
午後からの試合も風吹は収支活躍していたら。
私は一旦家に帰り、晩御飯を作っていた。
パパは出張で、ママは急遽おばあちゃんの家に泊まることになったので家には私だけだった。
風吹とご飯を食べようと思って急いでご飯の準備に戻っていた。
純一くんも、予定ができて帰っていた。
風吹が気づいたときには私達はいやかった。
嫉妬と激しい独占欲で拳を握りしめていた。
羽留はその頃、晩御飯の準備で忙しくしていた。
後、1時間もしたら風吹が帰ってくる。
【今日は私の家で晩御飯一緒に食べよ♡】
【わかった】
嬉しいというスタンプを押していたが風吹の顔は一切笑ってなかった。
チャイムがなった。
風吹が着替えてやってきた。
お風呂に入った風吹の体から良い匂いがしていた。
笑顔で「おかえり」といった。
風吹も笑顔で「ただいま」とかえしてくれた。
風吹は食事中終始笑顔で優しい口調だった。
羽留は全く気づかなかった。
これから自分が、独占欲の塊の様な嫉妬で狂った男に「だめ」と言っても辞めてくれず、お仕置をされる、事を羽留は知る由もなかった。
この笑顔が30分後は涙いっぱいになる。




