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第44話 青ヶ島奪還



「隊長! 北方の海域で複数の爆発を確認!」


 青ヶ島村岡部にある役場には、亜連軍占領部隊の指揮所があった。

 部隊指揮官兼青ヶ島村占領司令官の陸軍少佐は、会議室に無線機等をおいて、司令部としての機能をもたせていた。


「どっちだ? 味方か、敵か?」


「わかりません……」


 だろうな、と少佐は思う。


 距離と、まだ闇夜が残るこの時間に艦艇を識別するのは無理だろう。


 いずれにせよ、こちらにも攻撃が及ぶだろう。


 そして、島の地形上、敵が着上陸するとは思えない。


 ということは、やはり空からやってくるだろう。


「警戒だ。対空見張りを厳と……」


 爆発。


 ガラスが震える。


 一人の兵士が外を見て叫ぶ。


「対空陣地がやられました!」





 海上自衛隊第3水上戦群旗艦『はりま』より発艦した第103航空群所属のF35戦闘機数機が、青ヶ島にいる敵に対して空爆を開始した。


 敵は対空攻撃を行う前に、対空兵器や装甲車両を攻撃されていく。


 空爆を完了すると、F35数機は帰還する。その途中で航空宇宙自衛隊所属のC2輸送機の編隊とすれ違う。




 C2輸送機のカーゴドアが開く。


 まだ暗闇が残る空。眼下には青ヶ島と、海が見える。


 その前に陸上自衛隊特殊作戦団の隊員たちが、パラシュートを装着して、カーゴドアから島へと降下する。


 降下途中にパラシュートを開き、両手に握ったライザーを操作しながら、島へ向かって降り立つ。


 隊員たちは島中央部の池之沢噴気孔群のあたりで動力部を焼かれて動けなくなっている弾道弾発射装置を横に、島の4,5か所に降り立つと、20式小銃やMP5サブマシンガンなどを構え、集結ポイントへと向かう。




 降下部隊指揮官吉田二佐は無線越しに、あるいは直接口頭で命令を出す。


 最終的な目標は、敵の司令部があるとされる青ヶ島村役場だった。


 島北部の牧場に降下した吉田二佐は20名の隊員を率いて、村役場に向かう。


 隊員たちは道なき場所を、木や草をかき分け、村役場に向かった。




 村役場は混乱していた。


 亜連軍兵士たちがひっきりなしに出入りし、周囲を増派された兵士たちが警戒しはじめる。


「少佐、敵の空挺部隊が降下しました」


 役場の会議室で曹長が占領部隊指揮官の少佐に報告をする。


「部隊はどこかに集結しているはずだ」と少佐。


 その時、電源が落ちる。村役場の電気が消え、あたりが真っ暗になる。


「何事だ!」


 誰かが叫んだ。


 それと同時に、銃声が響く。


 少佐は近くにあった小銃をひったくって、撃鉄を起こす。


 曹長もサブマシンガンを構えた。


 会議室に自衛隊員たちが突入していく。


 亜連軍将兵たちが発砲する前に、隊員たちが銃口を構え、引き金を引く。


 将兵たちが次々と倒れていく。


「クリア」


 自衛官らが部屋を調べ、両手をあげた兵士と倒された兵士しかいなくなった部屋に「クリア」の声が響いた。





 吉田二佐は村役場の制圧を確認した後、村役場正門に掲げられた亜連国旗を降ろし、代わりに日章旗を掲げた。


 その頃には青ヶ島の全部は奪還されていた。


 青ヶ島はこうして数日ぶりに、日本へと帰った。

 


 


次回更新は7月4日(土)を予定しています。

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