18_増えるらしい④
「大きなものを動かすのは大変だけど手紙やちょっとしたものくらいなら問題ないわ。今あるものをちょっと改良するだけで出来るからすぐに作れそう」
「そっか」
「で、シアはケインに文字にして送らせようとしてるのね?」
「ああ。ケインも出産が近づけばスカイとケインにかけられる時間は減るって分かってるから不安なんだと思う。今は一言のメッセージ程度でも文字にして伝えられるってわかればマシだろうし」
俺がそう言うと母さんが突然笑いだした
「なんだよ?」
「ふふ…シアは本当に頼もしいお兄ちゃんになったわね」
「…」
「あなた達が出発するまでには準備しておくわね」
「それがあればこっちからも連絡が取りやすいな」
「あら、あまり連絡しすぎたらシアに嫌われちゃうわよ?」
「サラサ…」
父さんが目に見えて脱力した
「はは。そういう使い道もあるなら気が楽だよ。ケインには手紙が書けなくても文字を書く練習になるって言ってあるから」
「なるほどね。だから強制じゃないって言ったのね?」
「そうだよ。義務になったら気持ちなんて吐き出せないだろうし、気持ちを伝える手段の一つだとしか言ってない」
「そういうところはサラサにそっくりだな」
「え?」
「何でもない。ケインはこっちで寝かせるよ」
「ん~それはちょっと難しいかも」
「?」
首を傾げる2人にケインの手元を見せる
「そういうことか」
「このままシアの部屋で寝かせてもらった方がよさそうね。この素敵な手紙については明日ケインに伝えるわ」
父さんと母さんはそう言ってケインの頭頂部に口づけ手から出て行った
あとはケインが少しずつ慣れてくれればいいんだけどな
兄妹が増えるのは嬉しいことだと思う
だからこそケインにもそのことで不安を抱えたまま過ごしてほしくはない
俺はその後しばらく本を読んでから休むことにした
翌朝目を覚ましたケインは着替えて来ると言って自分の部屋に戻って行った
そのまま下に降りて母さんにもみくちゃにされるんだろうと思ってたんだけど…
「シア見て!」
ケインは再び俺の部屋に来た
その手には2つに折りたたんだカードのようなものが握られている
「お母さんがありがとうって!」
そう言いながら満面の笑みで俺に抱き付いてくる
「はは…良かったなぁ?」
「シアの言った通りだね」
「ん?」
「文字でもちゃんと伝わる」
「そうだな」
「僕もっと文字の勉強する。それでね、一杯気持ち伝える」
興奮しながら言うあたり母さんにもらったのが本当に嬉しかったんだろう
「そんなケインにいいことを教えてやろう」
「なに?」
「母さんが、俺達が旅に出ても手紙を届けれるようにしてくれるってさ」
「本当?」
「ああ。昨日約束してくれたよ」
「やった…シアありがと」
この日からケインは何かにつけて皆に手紙を書くようになった
殆どが一言で済むようなメッセージだけどそれがやたらと嬉しかったりする
そう思ったのは俺だけじゃなかったらしく家の中でそれが行き来するようになるのに時間はかからなかった




