19話 シスター
喫茶店に帰ってきた私とサン、サンはポストを見たが中は何もなかったようだ。
「よしっ、今日はこの件について集中できるな」
サンはそう言って教会の地図をヒラヒラと上下させた。
(確かに茶封筒が届いていたらそっち優先だよな。来なくてよかった)
「さてと、シリウスを連れて教会に行くか」
こうして私たちは二階に上がっていきシリウスを呼びに行った。
「シリウス~ちょっと出かけるよ~」
「出かけるなんて珍しいなぁ~どこに行くんだ?」
「教会に行く、ちょっと調べたいことがあるんだ」
「つまり探偵業ってことか?」
「そう言う事」
シリウスの歩みが少し遅くなったが私たちは教会に向かっていった。
「教会って街はずれの?」
「そうだけど?」
「……そうなのね……わかったわ」
何故かシリウスが悲壮感全開の空気を纏い始めた。
「何か嫌な思い出でもあるの?」
「いやぁ……元々は政府の殺し屋だったでしょ?その敵対者と今から会うんだよ……?そりゃ体が震えるよ」
「確かに政府の犬だったな、そりゃ恐ろしいな」
そんな事を話しながら徒歩で境界に向かっていった。そして街はずれに来ると十字架の墓が並び始めた。
(十字架の墓が綺麗に並んでいる、もうここは教会の敷地内なのか?にしても敷地広いな)
私たちは敷地の広さに声が詰まり、風の音さえ聞こえない静かな時間が流れた。そしてランタンが照らす場所、そこには大きな協会が威風堂々と建っていたのだ。
(これが……教会。私たちがちっぽけに見えるほどに大きい)
「ここがその教会か、中に入るぞ」
サンが教会のドアをゆっくりと開けた、ドアがきしむ音しか聞こえず、人の気配が無かったのだ。
「誰かいますか~?いるなら返事してください~」
「血の臭いはしない、つまりここで人を食べてないって事ね」
「私には血の匂いが分からないから血の匂いで探索するのは任せる」
サンはフランベルジュを抜き、何かを警戒し始めた。
(サンの目が変わった、もしかしてこの近くに敵が居るのか?)
サンは静かに教会の奥に入っていった。
「血の臭いが臭ってきた、こっち」
(血の匂いがさっきまで匂ってないって言ってたのに急に言い出した……一体なんだ?)
すると廊下には悲鳴と鞭の音が聞こえ始めた。
「ここから臭いが来てる、入るぞ」
サンは匂いの根源の部屋に突撃した。するとそこに居たのはシスター服の人が3人、縄で腕をくくられ、最低限の服しか着ておらず、三角木馬に乗せられている女性が一人いた。
(なるほど、教会を偽って拷問をしてるのか)
するとシスター服の人が私たちにこう言ってきた。
「あなたたち一体何なの!?」
「その人に一体何をしてるんだ!?」
話よりも早くシリウスは透明のナイフで拘束されている女性を解放し、それが開戦の合図だった。
「政府の奴らだ!拘束しろ!」
「いや私たちは政府と組んでいない!お前たちは一体何なんだ!?」
「シリウス!透明のナイフを!」
「分かったけど扱えるの?」
私はシリウスから受け取った透明ナイフで手の甲を傷つけた。
「ちょっと大丈夫なの!?」
「ああ、これでいい!」
私の手の甲から血が流れ始め、それが体の表皮を伝って剣と盾を作り出したのだ。
「それって何なの!?」
「シリウス、私の能力でね、血を自由に操作できるんだ。だから棘にも盾にもなるんだ」
「へぇ、便利だね」
「ドゥーロ!その能力で奴らを拘束してくれ!」
「分かった!」
私は剣と盾を血に戻し、部屋中にいるシスターに私の血を付着させた。
「血……?」
「一旦は固まってて」
私はシスターの服に血をつけた理由、それはシスターを拘束するためだ。
「なにこれ!?」
シスターの周りに私の血でできたリングができて拘束したのだった。
「さてと、どうしてこの人を拘束してたんだ?」
「こいつは人をぬいぐるみで襲って血を吸うヴァンパイアだ……だから仕置きを加えてた!あっ!」
拷問されていた人はその言葉を聞いて逃げ始めた。
「そんな事を聞いたんだったら逃がさないよ」
私はシスターを拘束している血を手のひらに集め、血の塊を拷問されていた人に投げつけた。
「きゃっ!?」
拷問されていた人の手や足に血の球が出来て身動きができない状態にした。
「凄いわねその血、もしかしてレガリアなの?」
「そうとも言えるかも。それであなたたちの事を聞かせて。サンとの関りも聞きたい」
その場の混乱が収まり、一人のシスターが再び拷問されていた人を部屋に連れ込み、他のシスターは私たちを連れてとある一室に連れて行ったのだった。そしてシスターがどうしてヴァンパイアを拷問するのか分かっていくのだった。
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