7.初依頼から危険な香り
「では、顔合わせが終わったところで、今日からの依頼の話をする」
「まず、亮には後藤チームに入ってもらう。そして、別れ話をする女性の護衛だ」
「「「はい!」」」
「わ、別れ……話……ですか?」
首を傾げる。
護さんが大きく頷く。
「民間の受ける依頼はほとんどが一般人から受けることが多い。こう言った場合もあるんだ。そして、今回はゴロツキのような彼らしくてな。キッパリ別れたいとのことで、新たな恋人が出来たテイで話をするらしい。そこに亮にも同行してもらう」
「は、はい」
「フォローとして、咲月がつく」
咲月さんがフォローに指名される。
それにいきり立ったのはさっきの男。
「なんでコイツのフォローに咲月さんなんすか!?」
蓮さんが護さんに食ってかかっている。
「説明が必要か? ゴロツキ相手なら魔法が使える可能性は低い。丸腰での戦いなら亮が一番だと、先ほど証明されたと思うが? それに、年齢的に若いから丁度いい。咲月なら女性のフォローができるだろ? わかったか?」
矢次早に白石さんが蓮さんを論破してる。
「ぐぐぅぅ。わ、わかりました」
なんでこの人そんなに俺を敵視してるんだろう?
やりづらいなぁ。
そんなこと言っていてもしょうがないけど。
ゴロツキ相手っていっても、実戦は初めてだからなぁ。
大丈夫かなぁ。
素人相手でも敵対する人と対峙する何て経験ないからね。
心配だ。
「蓮くん。君は少し咲月くんから離れなよ。金魚の糞じゃあるまいし。私と蓮君は遠くから他に襲いかかる人がいないか監視だよ?」
「えぇー!? 一番いらない役じゃないですかぁー!」
後藤さんが注意するが、納得いかないようだ。
そんな事ないと思うけどな。
重要な役割だと思うけど。
「いや、他から敵が来たらすぐに知らせてくれないと僕がやられます。重要な役割だと思います。蓮さんにしかまかせられないのでは?」
僕は人をその気にさせるという技術を経験から学んでいる。
弱者として生きて来た経験だよ。
「あぁ? お前わかってんな! そうだ! 敵がいないのを確認するのはお前より広い目を持ってないと出来ないからな! 任せろ!」
胸を叩いてノリ気だ。
なんとかやる気になってくれたみたい。
後藤さんが目を見開いてこちらに顔を近づける。
「君、のせるの上手いね。今度から蓮くんを任せようかな……」
「いやー。勘弁してください」
「そうかい? まぁ、考えておいてよ」
スッと離れると澄ました顔をしている後藤さん。
この人もくえない人だ。
癖のある人達を束ねてるだけある。
「いいかぁ? それでな、別れを告げる場所だが、人気がない廃工場らしい」
なんで、わざわざ廃工場に?
なんかおかしくないか?
手を挙げる。
「亮。どうした?」
「なぜ、わざわざ廃工場なんですか?」
「それがな……話があるって連絡したら場所を指定されたらしいんだ」
話がわかってきた。
だから、警護を依頼したんだな。
身の危険を感じたということだ。
「なるほど……懸命な判断でしたね」
「ほう。流石だな。察したか」
僕はわかったが、わかっていない人がここにはいた。
「なんで⁉ なんでわざわざ依頼する必要があるんですか? 人がいないんですよね?」
「蓮くん。本当に分からないのぉ?」
「分からないのかい?」
咲月さんと後藤さんに問い掛けられる。
腕を組んで首を傾げている。
分からない様子だ。
「はぁ⁉ みんな分かるんすか⁉」
みんなが頷く。
不思議そうに周りを見ている。
いや、これ分かんなくて大丈夫なの?
見張り任せて大丈夫かなぁ。
危機察知能力がないんじゃなかろうか。
「お前ホントにわかんのか?」
蓮さんが睨みつけてくる。
ヤバい。
僕がわかったことに対しての文句か。
「自分は、元々喧嘩もしたことないビビりなんですよ。だから、そいつの気持ちが分かるんですよ。蓮さんは強いから弱い人の気持ちわからないじゃないですか?」
苦しい言い訳をする。
反応を見ると。
「おぉ! お前そうなのか? 見た目じゃわかんなかったぜぇ! そりゃ硬派な俺にはわかんねぇ訳だな! で? なんで依頼来たの?」
「それは、廃工場っていったら、ゴロツキが集まる定番じゃないですか。ビビりの間で言ったら、恐い所ナンバーワンといっても過言ではありません。人がいないのをいい事に好き放題できちゃうんで……」
「おぉ。なるほどな! そいつぁ危険だわな!」
この人、実はめっちゃ真面目なんじゃないか?
なんか虚勢張るタイプかな?
ピンと来ないってそういう事だよな?
「まぁ、わかったらいい! 話進めるぞ! よしくんの言った通りの配置で進めてくれ! いいな?」
「「「「はい!」」」」
次のチームの説明を始める護さん。
流さんのチームとララさんのチームも厄介そうだ。
この会社、民間の割に仕事来るんだな。
凄いことだ。
色んな人に信用されているっていう事だからな。
「ご……よしさん。とお呼びしてもいいですか?」
後藤さんに話し掛ける。
距離を縮めるには気軽な感じで呼んだ方が良いと美麗さんから学んだのだ。
美麗さんも最後はみーさんだった。
「うん。全然いいよ。その方が親しみあるしね」
「あの、民間の企業ってこんなに仕事が来るものなんですか?」
よしさんに聞くと、ふふぅん。と言って得意げに腕を組んだ。
何か秘訣があるのか?
「護さんってね、元SPなのよ」
「えっ⁉ あの、要人警護するやつですか? あれって警察官ですよね?」
「そう。でもね、警察官っていう縛りで色々と思うところがあったみたいだよ? だから、それ繋がりでも仕事が来るんだ。今はこんな魔法もあるご時世だろう? 仕事は山ほどあるみたい」
「そうなんですね」
それはいい事だろうけど。
同時に危険じゃないか?
この会社。ヤバいかも。




