表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/16

16話 死刑宣告

お、お久しぶりです(土下座)


3ヶ月ぶりの更新です…お待たせしして、ごめんなさい。

そして待っていていただいた方、ありがとうございます!

 どれくらいそうして泣いていただろうが。気がつくと、バッグに入れられたまま地面に投げ出されてから大分時間がたっているように感じたカナデは、徐々に思考能力を取り戻してゆく。


(……これからどうなるんだろう)


 どこかに放置されているのだろうか? そもそも私はどれくらい気絶していたのだろうか? そんな自分の今おかれている状況がわからないカナデの不安は、止まることなく加速していく。


 恐らく誘拐されたのだろう、それもアリアちゃんによって……その事を思い出してまた心が落ち込んでゆく。確かにちょっとしか話してないのに信用もなにもないけれど、それでもあんなに笑顔で楽しそうに話していた女の子が、裏ではこんな事を考えていたなんて……きっとあの村長たちもグルだったのだろう。そして、シズネさんも…………そこまで考えが進むとまた涙が出てきた。さっきの恐怖とはまた違った、胸が痛くなるせつない気持ちに襲われた。いくら短時間とは言っても、その間はお互い笑顔で話していたのだから。それを裏切られたような、虚しいような、苦しいような、悲しいような……そんなぐちゃぐちゃな感情に襲われる。

 

(何でこんな事になったのかな……)


 そもそも私を誘拐してどうしようというのだろうか。この世界の事はよくわからないけれど、身元がわからない自分を誘拐して身代金を要求するといった事は考えにくいと思う。

となると考えられるのは何だろう? 私に何か利用価値があるとか……異世界から来たのがばれた? けど異世界から来たなんて理由だけで人一人さらうのだろうか。異世界に来たからといって特別に私に力なんてないように思える。それとも私が気づいていないだけで、何か特別な能力でもあるのだろうか?


(ねぇ、ナイちゃん)


 そこまで考えて、脳内にいるはずの精霊の事を思い出し声をかける。今の自分がこっちの世界に来た事で、明らかに変化したといえばやはりナイちゃんの事だろう。


(あれ? ナイちゃん?)


 けれどナイちゃんからは何の返事も無かった。


(ナイちゃん! ナイちゃん!!)


 そして何度も何度も呼びかけても、精霊から返事が帰ってくることは無かった。


(ナイちゃんもいなくなっちゃったのかな……)


 そういえばナイちゃんはレンファさんの事を助けてあげてって言ってたっけ……思わず自嘲するような笑みが浮かぶ。レンファさんの事を傷つけた私に怒って、どこかへ行ってしまったのだろうか。


(罰……なのかな)


 会ったばかりの他人でしかない私に優しくしてくれた、そんな人を傷つけた。差し伸べてくれた手を自ら振り払い、泥をかけるような真似をしたんだ……私は。そんな落ち込んでいる私の耳に、自分のお腹が鳴く音が聞こえてくる。


(……は、ははは)


 思わず乾いた笑いをしてしまう。こっちの世界に来て何も食べていない。最低でも丸一日以上何も口にしていないのだからお腹もすいて当然だろうけど、それでもこんな時に鳴らなくてもいいのに……自分の間抜けさに嫌気がさす。けれど身体は正直で、一度意識していまった事はなかなか忘れられない。吐き気さえ及ぼすような強烈な空腹に襲われ、さらにはこれまでの疲れも重なった事で、徐々に意識さえ薄れていく。


(……起きたら……もとの世界に……)


 そんな淡い希望を思いながら、意識が薄れていく。そして完全に落ちようとした、その瞬間。


(ひゃ!)


 急に身体が90度回転した。今まで横向きだった身体が無理やり起こされ、その急激な変化に意識が覚醒する。


(何! 今度は何なの!!)


 パニックになったカナデに、今度は強烈な光が浴びせられる。今まで真っ暗なバッグの中に閉じられていたカナデは、突然の光で視界がぼやけて見える。けれどなんとなくは見える視界の中で、誰かがこちらを向いて立っていた。そして恐らくその人が発したであろう声が聞こえてくる。


「なんだぁ? ガキか?」

 

 徐々に明るさに慣れてきたカナデの視線の先には……強面の男性が立っていた。そしてその男性はとてもただの一般人をは思えない容貌だった。顔には無数の傷があり、服装は汚らしく、その一部にはまだ新しいと思える血がついていた。そして男性は頭をがしがしとかきながら、面倒そうな口調で、


「ちっ。どこに売り飛ばすかな」


 カナデにとって死刑宣告ともいえる言葉を発したのだった。

タイトルを近々変更しようと思っています……あまりにも話の展開と違ってきたので……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ