まわりの反応
プルルルー、プルルルー。
「はい、もしもし、俺だけど・・・久しぶり!
あー、そうだよ。どこで知ったんだ?テレビか・・・まだやめるつもりじゃないんだ。
今度、合同トライアウトっていう入団テストを受験することにしたよ。
いや、それは分からない。そっちは、最近はどうなんだ?あっ、そうなのか。
わざわざ電話ありがとう。じゃあ、またな」
ピッ。俺は携帯電話の受話器を切るボタンを押した。
いったい、今日で何人目なんだろうか?同級生や知り合いから、たくさんの電話や励ましメールが来ていた。
中には教えてなかった人からも来た。いったい誰かから聞いたんだろう?
うれしいけど、ちょっと困るくらい。他人事だと思って連絡をするやつもいるから、少し腹が立ったりもした。
雪子もいろいろ困惑していたようだ。
毎日、近所の人や夏実や大輔の同級生のお母さんたちに「これからどうするの?」とか聞かれるらしい。
中にはヒソヒソと会話したり、余計なお世話だと言わせたいようなことも言われたり。
ちょっと前までは、人のこと褒めたり、うらやましがったりしていたのに・・・
夏実もクラスメイトや塾の友達に言われるらしい。
「これから、どうするの?」とか「大変だね」とか。励ましの言葉もあって、俺は嬉しかった。
大輔は何か様子がおかしい。俺は気になっていた。
俺はようやく実家に連絡した。
母親には「やっと連絡をくれたのか」と言われてしまった。
父親には「俺の会社は中途の採用枠がない」と。
おいおい、そんなこと頼んでないのに。でも、その気持ちはうれしかった。
今日も球場に来て練習をした。
クビになった選手のバッティングピッチャーもやった。
もちろん、真剣勝負だ!だけど、バッターのために球種を予告して投げたりもした。
ヒット性の当たりは、ほとんど許さなかった。調子はいい!
こんな感じで、あっという間に2週間が過ぎていった。
シーズンを終えて、いよいよクライマックスシリーズが始まる。
結果、巨人がリーグ優勝した。我がチームは最下位でコーチの人事も始まっていた。