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最後の挑戦  作者: 石井桃太郎
戦力外通告
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他球団の動き

 10月1日。

トライアウトまで、あと1ヶ月になった。

この頃になると、他球団も戦力外通告を行なっていた。


「巨人も何で大崎さんをクビにしたのかしら?」

 雪子は新聞を見て言った。

「えっ、大崎がクビ?嘘だろ?あいつは、去年3割だぜ!」

「今年は故障も重なって出場機会が少なかったみたいよ」

「おいおい、クビになる選手じゃないだろ」


 まだ28歳と若くて守備もいい選手がクビになった。本当に身の保障がない世界だ。

今年は実績のある選手が何人もクビになっている。

トライアウトに注目という記事の特集が早くも始まっていた。


「何言ってるの?大崎さんを抑えたら、あなたは絶対合格よ。むしろチャンスじゃない!」

 それを聞いて、俺ははっとした。そうだ、向こうだって自分と同じ身分なんだ。

 とはいえ、自分より年下で実力もあって知名度もある。しかし、来季は無職なんだ。

「大丈夫よ、力さえ発揮すれば、あなたは受かるから」

 雪子の励ましにより、俺は頑張る気力が湧いた。



 靴ヒモを結んで、家を出ようとした。

「じゃあ、行ってくるね」

「はーい、行ってらっしゃい」

 手をふる雪子。子どもたちは、すでに学校に行っていた。

 俺は球場に向かった。そして、球場に着くといつもどおり着替えた。



「巨人の大崎が戦力外だってな。マジでびっくりだよな!」

 ロッカーにいた島本が話してきた。

「本当に怖い話だよな。巨人はもったいないことしてると思ったよ」

「でも、俺らと同じ立場だもんな。抑えるしかないな」

「そうだよな。今日の朝、奥さんに言われて思ったよ」

 そんな会話をし、練習場に向かっていった。


 他のチームの情報も入ってきていた。

何人かの選手が獲得か?という記事がスポーツ紙に載っていた。

しかし、実際は憶測が多い。チームの編成を見て、スポーツ記者が予測している。


 ただし、最近は当たることも多い。

もしかすると、球団によっては密約があって新聞記者に記事を売っているのかもしれない。

自分のチームではそんなトラブルはないが、そんな話を聞くと少し腹が立つ。

そんな感じで2週間が過ぎていった。

残念ながら、自分に関するニュースは全くなかった。少しくやしかった。

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