第7話 仲間と出会う
初めてランキングに載った夜、私はひとりで何度も画面を見返した。
小さな文字で自分の作品タイトルが並んでいるだけなのに、胸は高鳴り続けていた。
「この一瞬を忘れるな」
そう自分に言い聞かせながら、布団の中で眠れぬ夜を過ごした。
だが同時に、不安も広がっていた。
「一度ランキングに載っただけで終わったらどうしよう」
「またゼロに逆戻りしたら……」
その恐怖は、甘い喜びと同じくらい私の心を支配していた。
そんなとき――私は「仲間」という存在に出会うことになる。
■ SNSの扉を開く
ランキングに載った翌日、私はX(旧Twitter)を開いた。
正直なところ、最初は宣伝のために作ったアカウントだった。
だが、フォロワーは数人。いいねもほとんどつかず、独り言のような更新しかしていなかった。
「今日も更新しました」
「PVが少し増えました」
そんな呟きに反応する人はほとんどいない。
だが、ランキング入りを報告した投稿だけは違った。
「おめでとうございます!」とリプライがつき、フォローが増えたのだ。
驚きと同時に、胸がじんわり温かくなった。
「……こんな自分でも、声をかけてくれる人がいるんだ」
■ 同じ立場の人たち
その日を境に、私は「同じように戦っている作家たち」と繋がるようになった。
「自分も昨日ランキングに載りました!」
「ブクマがなかなか増えないですよね」
「どの時間帯に更新してます?」
互いに数字を報告し合い、悩みを共有し、励まし合う。
それは、孤独な執筆の日々にはなかった温もりだった。
ランキング上位の人たちは、もはや遠い存在に感じる。
だが、同じ中堅や底辺を歩む者同士なら、共感できることが山ほどあった。
「仲間」という言葉が、ようやく実感を伴って胸に響いた。
■ 励ましの力
ある夜、私はスランプに陥った。
PVが伸び悩み、ブックマークも一向に増えない。
「やっぱり才能がないのかな……」
そんな弱音をSNSに漏らした。
するとすぐに、仲間から返信が来た。
「私も同じです。でも一緒に頑張りましょう!」
「読者は必ず増えます。諦めないで!」
その言葉にどれほど救われたことか。
感想欄の一行と同じくらい、仲間の励ましは力になった。
孤独に耐えながら書き続けるのは難しい。
だが、誰かと繋がり、励まし合えば、不思議と筆は止まらなくなる。
■ 初めての相互支援
仲間と繋がるようになると、「相互支援」という文化も知った。
お互いに感想を送り合ったり、SNSで作品を紹介し合ったりするのだ。
中には「一話読んだら感想を書く」という取り決めをしている人もいた。
正直、最初は抵抗があった。
「そんな義務的に支援し合って意味があるのだろうか?」
だが、実際にやってみると考えは変わった。
相互支援は、ただの数字合わせではなかった。
他の作家の作品を読むことで学びがあり、感想を書くことで自分の文章力も磨かれる。
そして何より、「一人じゃない」という実感を強めてくれるのだ。
■ 仲間がいるから
その後もPVは上がったり下がったりを繰り返した。
ランキングに載る日もあれば、完全に消える日もあった。
以前の私なら、そのたびに心を折られていただろう。
だが、今は違う。
「また落ちました……」と呟けば、「次は載りますよ!」と返してくれる仲間がいる。
「今日はブクマが増えました!」と報告すれば、一緒に喜んでくれる仲間がいる。
数字は残酷で冷たい。
だが、仲間の言葉は温かく、確かに心を支えてくれる。
私はこのとき初めて思った。
「一人で戦う必要なんてないんだ」。
■ 今日のまとめ
SNSを通じて「同じ立場の仲間」と出会える
励まし合うことで、孤独な執筆に温もりが生まれる
相互支援は単なる数字合わせではなく、学びと繋がりの場でもある
数字に一喜一憂しても、仲間がいれば折れない
私は気づいた。
ランキングの数字だけがすべてではない。
読者の声と同じくらい、仲間の存在が大切なのだ。
そして、仲間と支え合いながら続けた執筆は、やがて新しい壁にぶつかることになる。
それは――伸び悩みという名の停滞。