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12話:正体

 オレ達、ラノベ異世界実現部の屋敷に現れた謎の少女。

 いや、お姉さん? とにかくオレにもたれかかっている彼女を、マナさんリン生徒会長に聖歌さんの3人で空いている部家に運び手当をする事になった。


 救急車を呼ぼうとも考えたが、ここは近づくと周囲に異様に濃い霧が発生するエリア。

 何らかの条件を満たしていないとたどり着けない、というのがオレの推測。

 いずれにせよ車が通るにも難儀な道のりなので、少し様子を見てからという事で話がまとまったのだ。


 女性相手の看病ということで、オレは出禁を言い渡されたので、片づけたばかりの自室で作業を再開する事にした。

 

 

 「ダメだ……何回も爆発させているのに原因が分からない」

 

 

 再び組み立てた魔法の杖、ちなみに魔法さえ発動させようとしなければ爆発は起こらない。

 さすがに病人? がいる状態では試さない程度の常識はある。

 

 

 「バリアーだけは上手く行ったんだけどなぁ、いっそ新しく水魔法を試して……いや火と雷と違ってエネルギー的な物質じゃないから生み出すのは厳しいか? それなら風、は見た目で進捗が分かりにくいし、空飛ぶホウキと被るから、試作向きじゃないよなぁ」

 

 

 魔法の杖の改良は、数え切れない程やってきた。

 それで同じ失敗を繰り返しているのだから、オレが気が付いていない何かがあるのだろう。

 爆発してしまえば、どこがどうダメだったのか検証も難しくなるからなぁ。

 

 

 「うーん」

 

 

 完全に行き詰まりイスで反るような体勢で考え混んでいると、ドアをノックする音が聞こえた。

 そのままの体勢で返事をすると、部屋にマナさんと聖歌さんが入って来る。

 

 

 「ネオウさん、さっきの方が目を覚ましまして、酷くお腹を空かせているみたいなんです」


 「でさっきリンさんが持ってきたピザ食べそびれたじゃない? 一緒に食べようってなったの」


 「そっか、とりあえず一安心だね、オレも頂く事にするよ」

 


 いや、聖歌さんはさっき食べてたと思うんだけど……

 この屋敷で1番広いホールのような部屋に行くと、リン生徒会長が手際よくピザと飲み物を並べてくれている。

 規則に厳しすぎるけど、何でも手際は良いんだよなぁ。

 なんて我ながら偉そうだと思いながら席についた。

 

 

 「それでは頂くとしよう」

 

 

 リン生徒会長の声と共に手を合わせピザパーティが始まる。

 先ほど迷い込んできた彼女はというと、一応いただきますの挨拶はしたようだが、それと同時に凄い勢いで食べ出した。

 

 

 「これピザだよね? そこそこ大きいけどポテチみたいに食べてる……」

 

 「堂本ネオウ!! 女性の食事風景を、そう見るな!!」


 「ゴメン、でもこれは見ちゃうでしょ?」


 「元気になられたようで良かったですね!!

 私は、そう勢いよく食べられないので、羨ましいです」


 「あっマナちゃん、こっちのピザ取り分けてあげるね」


 「聖剣ドロボーからの施しは受けません!!」


 「私は、さっき食べちゃったから遠慮しないで」


 「そういう事でしたら」

 

 

 こっちもこっちで普通に食事を初めてしまった。

 というか、ピザ多過ぎじゃない? この人数でバクバク食べてまだあるぞ。

 とか思いながら、オレも既に2枚ほど頂いている。

 あっ8等分した内の1枚って事だよ? 念の為。


 ピザパーティが始まり、約30分、ようやく全員の腹が満たされた。

 白衣の少女は満足したように、腹をパンパンと叩いている。


 

 「ぷへーーー食った食った、いやぁお主らは命の恩人じゃ。

 っと食事に夢中で挨拶が遅れたのぉ、ワシは雑賀スズメじゃ」


 「私はマキシム高校生徒会長の渡リンだ」

 

 

 リン生徒会長を皮切りに、オレたちは挨拶を済ませた。

 聖歌さんの事を不振に思われないか少し不安だったけど、耳以外はコッチの世界の人間と変わらないし、疑われもしてないと思う。

 まぁ普通の反応なんだけど、ミドルネームが無いから、この流れだと自己紹介に違和感はある気もした。

 

 

 「スズメさんはボロボロで何をしてたの?」


 「それも女が1人でとは、関心せんぞ!?」


 「いやぁ話して信じて貰えるとは思えんのだがのぉ。

 ワシは、この小山を100人程のチームで調査しておったんじゃ。

 そしたら辺りが急に濃い霧で包まれてのぉ、まぁ霧は1分もせんうちに晴れたんじゃが、その時にはワシ以外のモノは、いなくなってしまったのじゃ」


 「スズメさんを置いて、みなさん何処かに行ってしまったんでしょうか?」


 「100人も移動して気が付かん程、老いぼれておらんわい」


 

 確かに爺ちゃん婆ちゃんみたいな話し方だけど、見た目で判断するにオレ達とそこまで歳は変わらないのでは?

 実年齢を知ったら、腰抜かすようなパターンは、古ラノベでは定番だけど。

 

 

 「そういえば、我々がこの屋敷に来るとき、毎回濃い霧が発生しているな」


 「その口ぶり、お主らはこの屋敷を使うようになったのは最近か?」

 

 

 何故だろう、この話を深掘りされるのはマズいと、オレの直感が告げている。

 

 

 「あはは、そう、聖歌さんが最近こっちに引っ越してきてねぇ」

 

 

 オレが必死に目配せをすると、聖歌さんは察してくれた様で「そうそう」と言うようにコクコクと頷いた。

 まぁ引っ越してきたのは嘘とも言い切れないからね。

 

 

 「聞き間違いじゃなければスズメさんは、100人くらいで調査って……随分と大がかりだね?」


 「何かのお祭りですか?」


 「マナ……それは絶対にないと思うぞ?」


 「ははは、面白い事を言う娘じゃわい。

 ワシはマキシム社の技術顧問をやっておる」


 

 一瞬の沈黙の後、マナさんとリン生徒会長が、驚きの声をあげる。

 ここ数日で、この世界の情報を得た聖歌さんも、警戒してかオレの後ろに隠れだした。

 

 

 「まぁこんな妙な霧が出る土地を、大人数で調査って地点で関係者だとは思ったけどね」

 

 「ここ数日、今まで何の変哲もなかった土地から急に膨大な魔力が検出されてのぉ、その調査にワシが借り出された訳じゃが、まさか人が住んでおったとわ驚きじゃわい」

 

 

 スズメさんが詮索するような目で、オレ達の顔をジロジロと観察している。

 これに特に怯えているのはリン生徒会長だ。 

 


 「まっ誠にゴメンなさい!! 全てはこの堂本ネオウのせいでしてぇ!!」


 「はっ!?」

 

 

 オレの背中を押し、差し出そうとしている。

 いや、色々とやっているのは認めるけど、この屋敷と霧の魔力に関しては無関係だよ!?

 まぁ発明品とか見られたら言い逃れ出来ないかもだけど。

 

 

 「うぬ? お主、妙なモノを持っておるのぉ」

 

 

 スズメさんの眼光が腰に刺している魔法の杖へ伸びた。

 反応する間もなく、取り上げられてしまい、興味深そうに観察されている。

 

 

 「えぇっとぉ……それは良い感じの木の棒を拾いましてぇ~」


 「なるほどのぉ」

 

 

 恐らくオレの言葉など耳に入っていない。

 しばらくして彼女の動きがピタリと止まり、緊張が走る。

 

 

 「これは、こうやって使うのか?」

 

 

 スズメさんは勢いよく杖を降ってみせた。

 するとバリアの魔法が発動し、彼女の周りを包み込む。

 

 

 「半信半疑でやってみたんじゃが、随分と恐ろしいモノを発明してくれたわい」

 

 

 杖を持ったままズイズイと近寄ってくる姿に、オレは自身の夢、最大の危機を感じたのだ。 

 今回登場した“雑賀スズメ”同じ苗字の子が、作者が同じ『また異世界転生ものが始まりそうです~転生でなく銀髪天使と同居が始まりました~』 に出てた気がするなぁ。


 ここまで読んで下さりありがとうございます。


 ストーリは一生懸命練って執筆しております。


 少しでも続きが気になったらブクマ登録して頂けると励みになります。


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