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クラン 魔を狩りし者へようこそ ~深淵を目指す英雄見習いコンビ~  作者: 鎖月 弥生
第2章 巻き込まれる英雄見習い

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第34層目

「そこまで!筆記用具を置いて解答用紙を提出してください」


 試験官の声が室内に響く。


 俺は大きく身体を伸ばして凝った体を解した後、解答用紙を提出して試験会場を後にする。


 あー、疲れた。

 なんでこんな試験って疲れるのかね。


 スキルの発動を阻害する魔道具によって切れていた、水と氷の混成魔法であるエアコンモドキを発動して涼を取る。


 あらかじめ相棒(サズキ)と決めておいた合流場所に向かえば、複数の女性同業者の人垣が視界に入る。


 えっ、俺帰っていいかな。

 E()()()()()()()()の筆記試験のためにソウルと並列思考をフル活用して一夜漬けしたから、まだ微妙に反動で頭痛いし眠いんだけど。


 一応、天の眼(スカイアイ)を発動して人垣の上から中心を覗いてみると、案の定黒髪ロングの美青年が居た。


 8月の第1週ということもあり、真夏にも関わらず、ワイシャツにベストを羽織り、スラックスを履いたフォーマルな格好をしていて暑くないのかと思わなくもないが、相棒は毎年そんな感じなので気にしないことにしてる。


 とりあえずDascoのDMに試験終わった報告送るか。

 …秒でヘルプメッセージ来たわ。


 はぁ、ひと仕事しますか。


「タイプ:スペース、モード:ジャンプ」


 瞬きする間に視界が切り替わり、相棒と人垣の間に身体をねじ込む。


「帰るぞ、お馬鹿」


 相棒の腕を掴む。


「タイプ:スペース、モード:ジャンプ」


 次の瞬間、DEA愛知支部の入口の前に俺らは立っていた。


「ごめんね、カルマ」

「ササッと試験会場出たんだけど、出待ち勢と追跡勢に挟まれちゃった」


「構わんさ。試験会場が俺と別の部屋だった時点である程度想定してたしな」

「でも試験終わりに無駄に疲れたので、帰りにオレンジのネルエナ奢ってくれ」


「別にいいけど、今日は早く寝るって言ってた割にはエナドリなんだね」


「シンプルにネルエナのオレンジが好きなんだから良いだろ」

「それよか手応えはどうだ?」


「僕はバッチリだよ。カルマは?」


「俺も大丈夫だ。危惧していた法律関係はそんなに出題されなかったしな」

「ソウルと並列思考に任せて、過去5年分の過去問を同時に解いたかいがあったぜ」


 昇格試験は四半期に1度、各県の支部で行われる。

 試験内容は毎回異なるため、シンプルに20回分を同時に解いたわけで…


 そら嫌でも問題を覚えるし、解答も覚えるわな。


「僕と一緒にコツコツ勉強してたら、そんな無茶しなくて済んだのに」


「俺が学生時代一度でもそれが出来てたら、試験の度に相棒に泣きついてねぇよ」


「それもそうだね」


 苦笑いを浮かべる相棒を横目に、夕暮れ時にも関わらず茹だるような暑さの外へ、覚悟を決めて一歩踏み出す。


「合否発表は日付が変わる頃にネットで一斉に送信されるし、とっとと帰ってエアコンの効いた部屋でゴロゴロしようぜ」


「そうだね。ついでだから秋音先輩に通話繋いで、次はどこのダンジョンに行くか決めようよ」


「だなぁ、姉御も夏休み入ったって言ってたし、お盆なる前に候補だけでも決めるか」


 俺たち冒険者は自由業だからお盆だろうがなんだろうがダンジョンに潜るが、お役所であるDEAは職員の方々が交代で休みに入る関係で業務が縮小してしまう。


 その中に資料室の閉鎖も含まれてるため、その前に姉御と相談してお盆期間中もダンジョンに潜れるようにする所存だ。


 ……ただまぁ、相棒の墓参りの間くらいは休むけどな。


 相棒の家でお経をあげて、お墓の清掃をして供え物を置き、現状報告するだけなんだが、物心着いた頃から欠かさず毎年行っているから、今年も行く予定だ。


「秋音先輩、22時くらいからなら大丈夫だって」


「りょーかい。なら早めに夕飯食べてそれまでゴロゴロしようぜ」

「とりあえず俺は眠い」


「今日2時間くらいしか寝てないもんね」


「一夜漬けと言うか1日漬けだったからなぁ…」

「ぶっちゃけ2時間の睡眠も寝たと言うより、ソウルの反動で気絶してたが正解だしな」


「これに懲りたらDランクの昇格試験はちゃんと事前にコツコツやるんだよ」


「ほーい」


「これは絶対やらないやつだね…」


 さっすが相棒、よく分かってる。

 というかこれでやるならとうの昔に事前コツコツ派閥に属してる。


「それはそうと相棒、夕飯はピザでいいか?」

「今から注文しとけば、最寄り着く頃にちょうど受け取れると思うんだよな」


「もー、すぐ話をそらすんだから」

「僕はいつも通りお餅が乗ってるやつね」


「ほいよ、じゃあ俺は生ハムのやつと…今日はエビとツナの海鮮にしようかな」


「おじさん達の分は?」


「んー、父上はお盆前まで帰ってきそうにないんだよな」

「母上も俺が卒業したから父上に着いてっていいでしょって、派遣先に着いてったからなぁ」


「あら、そうなんだ」


 うちの両親は元々役所の人間なんだが、DEAが発足した10年前に移籍して職員になったらしい。

 三河支部で中間管理職をしているのだが、父上が災害対策部署でそれなりに偉いため、東海圏内でダンジョンから溢れたモンパニによる被害地域に度々出張している。


 今は確か、こないだ岐阜の土岐の方でモンパニが発生したからその事後対応に行ってるはずだ。

 ということで相棒とピザパとお泊り会をしても問題ないわけだ。


 まぁ相棒とのお泊り会なんて半月に一度、どっちかの家でよくやってたから、もはやなんも言われないけどな。


 それよりも、Mサイズ3枚にするか悩むな。

 お腹空いたし、いっその事Lサイズ3枚頼むか!どうせ俺の金だし!


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