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ツンデレな友達(?)ができました  作者: 黒輪サン
第二章:先輩と後輩
12/22

episode5(12) 夏が来た

 私が自室でボーっとしていると、実莉ちゃんから電話がかかってきた。ちょうど実莉ちゃんについて考えていたところだったのでタイミングのよさに驚きつつ電話に出る。


「華先輩! 昨日はごめんなさい!」


「へ?」


 いきなり泣きそうな声で謝ってきたので混乱した。


「私、わかってました。華先輩が本当に好きなのは橘先輩なんだって」


「……どうして?」


「華先輩が橘先輩に向ける笑顔、私の見たことのない笑顔でした。他の人に見せるのとはどこか違うその笑顔を見たとき、私は橘先輩を妬みました。華先輩が私以外の人に恋したのが信じられなくて、無理やり二人を引き裂こうと思ったんです」


「そうだったんだね」


 実莉ちゃんの声から電話越しに涙しているのが伝わってくる。実莉ちゃんがこんなに苦しんでいたなんて。本当に私は何もわかっていない。大切な友達のことすらも。


「ただ、それだけだったんです。それなのに華先輩を私は汚しました。本当にすみません。許してもらうつもりもありません」


「実莉ちゃんは悪くないよ。私のせい。しっかりと気持ちに気づいてあげられなかった私の。昨日のことだって私が抵抗しなかったんじゃない」


 そう言ってなんとか実莉ちゃんをなだめると、実莉ちゃんは最後にもう一度だけと謝罪して電話を切った。そう、実莉ちゃんに罪はない、全て私のせいだ。私の無神経さが、鈍感さが、意志の弱さが招いたこと。




 橘さんが許したところで、実莉ちゃんが許したところで、こんな私が人を愛していいのかな? 友達を悲しませて、謝らせて……私ってこんなにダメな奴だったんだな。




 翌日。教室で上の空だった私を気にしてか橘さんが話しかけてきてくれた。


「ねえ、委員長。大丈夫?」


「ん? ああ、橘さん。なんでもないよ」


 ただそう言っただけなのに橘さんは驚いた様子だった。


「やっぱりおかしい。いつもなら私が話しかけるだけで喜ぶのに」


 橘さんは不満げに言う。私、喜んでないように見えたかな?


「いや、うれしいよ今も」


「なにかあったら私に相談してね。友達……でしょ」


「うんありがとう」


 友達。橘さんがそう言ってくれただけで最高にうれしかった。やっぱり優しいな。でも、私がこんなにやさしくしてもらっちゃっていいの? 私は橘さんを泣かせた。好きになってくれた、大好きな人をあんなに悲しませてしまったのに。これじゃあ好きって言えないよ。橘さんに話して迷惑かけたくないよ。




 私は悩みを抱えたまま、一学期も最後の一日を迎えた。あたりからは夏休みの計画について話す声が聞こえてくる。今年は一体どんな夏になるのかな。いつもみたいにみんなと笑いあえるかな? 


「何しけた面してんの華。笑って笑って」


 歌恋はそういって私の口角を上げて笑顔を作った。


「も~なにすんの」


「いやいや、最近華のプリティーなスマイル見てないなーって思ったから」


 歌恋はおちゃらけているようだが私のことを心配してくれているようだった。歌恋が私に元気を出させようとするときはいつもこうして自分は明るくいようとする。歌恋曰く、「励ましてる方も暗い顔してちゃテンション上がんないでしょ?」とのこと。


「ありがとう歌恋。元気出た」


「今度会うまでにいつもの華に戻ること! これ宿題ね」


「わかった」


 今は私を気遣ってくれるみんなの優しさが苦しく思える。結局橘さんに「またね」の挨拶もしないまま家に帰った。




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