第百五十六話 大精霊
長々とお休みしてしまいすみませんでした。
怪我は回復してきたので、更新を再開したいと思います。
『総員戦闘準備』
「敵の大軍を確認したぞ!水棲の魔物だ!」
「偵察隊から報告!船は見えず!感知によれば海面下に多数の魔物が居るとのこと!」
ポートキャスの港を出て、暫くして……偵察に出ていたセイカーからの報告により進路上に不自然に魔物が集まっている海域があることが判明した。
種類などは不明だが、避けて通るにしても遠回りになる上に魔物を操るという話があるので、敵の水中戦力と判断してこれを叩く事にした。
殆どが水中行動を行う魔物らしいということで、大砲のみしか装備されていないホーマ帝国の船は後方で待機してもらうこととして、ルーベルの巨大なシールドが付いた船が前方に展開してその船体に付いているシールドを開いていった。
「……あれはそういう風に出来ているのか」
「大きい盾ですわね。魔法的な結界としても働いているみたいですよ」
「ならば魔法がこちらまで飛んで来ることもないか……」
サイモンとエイダが艦橋に上がって状況を見ていた。
船の左右に大きく羽を広げるかのように、船と同じ長さの壁が広がる。
それ自体も頑丈にできているが、それだけでなく魔法での攻撃を防げるように結界も表面に這わせているらしい。
以前のように一斉砲撃を食らっても真正面から受け止めることが可能だろう。
「先頭が会敵。交戦開始しました!」
「よし、では当艦はこれより支援砲撃を開始する」
装備されていた武器が次々とロックを解除されていき、格納されていたガトリング砲などがせり上がってくる。
「わー……こんな風になるのですね!」
「……しかし……一応これらの武器の性能は知っているつもりだ、水中の敵にはあまり効果がないと思ったのだが……」
エイダが面白がっている横でサイモンが疑問を呈する。
今展開されているのは全て水上の敵に向けるもので、水中に対する攻撃手段ではなかったはずだ。
「流石です、侯爵様。仰る通りですが……水中の敵に対してはきちんと対処するための別な武装が用意されております」
「ほう……それは楽しみだな」
「……雷撃用意!!」
艦長の号令に忙しく動き始める船員たち。
通常魚雷の発射が命じられ、発射の合図とともに4本の白い筋が水中に伸びていった。
「あれが?」
「ええ、魚雷と言います。目標に当たると大爆発して周りも巻き込みます。これが船に当たると真っ二つになります」
「そうなの……ちょっと良く分からないわね」
などと話をしていると、遠く前方で何やらチカチカと光が見え始める。
敵の攻撃が始まったようだ。
水中の魔物ではあるが、船を沈めようとしている為に魔法を放っている。
雷や水が多いようだが全て巨大な盾によって阻まれていた。
「……そろそろです」
何が?という問いを言うまでもなく、結果は遠くで巨大な水柱が上がったことで分かった。
魚雷が爆発したのだ。
「凄まじいな」
「固まっている所に撃ち込みましたので、大分減らせたことでしょう」
「ルーベルの船も何かしているわ!」
盾を展開していたルーベルだが、その船の後ろから空に向かって何かを打ち上げていた。
それらは大砲などと違って大分弾速は遅く、弾は大きい。
当然ながらさほど距離を飛ばずして着水する。……と、少しの間をおいて水しぶきのカーテンが立ち上がったのだった。
「……水中に対する備えが彼らには無い、というわけがないか」
「協力関係にあるとはいえ、軍事的な物は基本的にあまりもらしません。当然ですね」
先程の二回の攻撃によって水中を彷徨いていた魔物達はかなりの数が減っていた。
ばらばらに逃げ出す影もあり、深追いするよりもこのまま進んだほうが良いだろう。
拍子抜けするほどにあっさりと戦闘終了してしまったことでエイダが残念そうにしていたが、楽に終わることに越したことはない。
「そもそもあれが本隊というわけではないだろう。以前はそれなりの艦隊と遭遇したといっているのだから、魔物が無防備に集まっているということ自体が不自然だ」
「なるほど……。もう少し近づいてくれれば、私も精霊術でお手伝いできますよ?」
「それも魔力を使うのですから、もっと後でその力は発揮していただきましょう」
精霊術とはいえ、魔力を対価にして精霊の力を行使するのだからここで消耗していても仕方ない。
どれくらいの威力や範囲を攻撃できるのか……ということが良く分からないということもあり、もとからエイダの攻撃はあまり考えては居なかった。
それでも当然ながら数が多かった場合には手伝ってもらうこともあるだろう。
「……もしかしたら、その時は早く来るかもしれませんな……」
「敵、多数捕捉しました!こちらへ突っ込んできます!」
「艦隊確認!空にも魔物の姿を確認!」
「ルーベル、コーブルク両軍、ハイランド護衛艦攻撃開始」
敵が逃げ始めて少し気が抜けたところで突然本格的な敵襲となった。
囮だったのだろうかと思う暇もなく、敵の翼竜らしき影が間合いに入ってくる。
「対空攻撃用意!ガトリング砲、攻撃開始!」
「あ、動いた!」
「エイダ様、あまりはしゃがないで下さい……。何かに掴まっていないと危険です」
低い唸りを上げて25mmガトリング砲が近づいてくる翼竜を追尾しながら攻撃している。
ハイランドの護衛艦も空の脅威に優先的に攻撃を加えているようで、次々と海の上へと墜ちてゆく。
「セイカー、出撃、敵の航空戦力と艦隊を叩け」
『待ってました!ウォーロック隊出撃!』
「コンラッド、味方の弾に当たらないようにしてくれよ」
『狙わんで下さいよ?!』
どちらかと言うと攻撃している所に突っ込まれる方が怖いのだが。
まあ流石にそんなヘマをするタイプではないだろう。
喜々として空へとセイカーが上がっていくと、見事な編隊を組んで近づいてきた空飛ぶ魔物達を次々と落としていく。
「空はもう任せても問題無さそうだな」
「では我々は艦隊を攻撃しましょう。先程から高速でこちらに突っ込んでくるつもりのようです」
レーダーに映る艦隊だが、例の推進装置を使っているのだろうか、かなりの速度でこちらへと接近しているのが分かる。
「レールガン、射撃用意!……撃て!」
「きゃっ!?」
ズン、と船に衝撃が響きレールガンが発射される。
突然の衝撃と音にびっくりしたエイダだった。
かなり遠くはなれており、肉眼ではまだ見えていないのだがそれでもほぼ正確な位置へと放たれた飛翔体は、先陣を切っていたエフェオデルの船に直撃し……その後ろの船をも餌食にしていく。
それを皮切りにリヴァイアサンや他の船も砲撃を始め、コーブルクは水中専用の魔導騎兵を投入する。
「あれ……私また出番がない?」
「エイダ様の出番は無い方が良いかと思いますが……。そうですね、コーブルクの魔導騎兵を巻き添えにしないように魔物を攻撃することは出来ますか?」
「ええ、それならば問題ありません。……もうちょっと近づいてくれますか?」
船を進め、激しい戦闘が目視出来る位置まで来ると、エイダは背丈ほどもある杖を取り出して神子服を正す。
深呼吸をして精神を落ち着けながら、詠唱を紡いだ。
『水の精霊達よ、我が願い聞き届け給え。この世に破壊と混沌を齎す我らが敵を断罪せしめ給え』
カツン、と杖の石突が艦橋の床を叩く。
「……これは……」
「どうやら聞き届けてもらえるようです。大精霊も手伝ってくれるそうですよ」
バハムートの周りの海が淡く光り輝く。
それは精霊が人の目の前に顕現したという事。光のまとまりは不定形だがどんどんその光が強く輝きを増していき……巨大な水の人型がバハムートの前に現れた。
「精霊術は……魔法と違って精霊たちが納得しなければ発動することはありません。しかし今は異変という大きな危機に対して立ち向かう私達の為に、こうして力を貸してくれるそうです。……こんなに協力してくれたのは初めてですけど……」
「精霊術が限られた者しか使えないのも、これを見れば納得だな……。これは人の扱える物ではなく授かり物であるというのがよく分かる」
目の前に顕現する光り輝く水の人型。
裸の女性を模したその形は徐々にはっきりていき、腕をゆっくりと広げてゆく。
その動きに呼応して周りの海面から光り輝く小さな粒のようなものがつぎつぎと出現した。
「この小さなもの達は全て水の精霊たちです。大精霊の呼びかけに対して集まってきたんですね」
「今、私達の眼の前にいるのが……大精霊なのか?」
「ええ、正確に言えば大精霊が作った仮の姿ですわね。ちなみに今、私は何もしてません。これからどうなるのか、それは全て大精霊である彼女の意思によります。……これが精霊術の難しいところです……私達の思い通りにはそうそうなりません」
怪我を直してほしいなどであれば、こちらの要求をかなり叶えてくれるが、攻撃となると自分達が納得しない限りはその求めに答えてくれることはない。
それだけでなく今この時のように、上位の存在が指揮権を奪って勝手に動く事があるのだ。
もちろん顕現した以上はこちらの求めに応じているため、敵を討つという目的に関しては問題なく履行されるだろう。ただし、味方を巻き込まないという条件は大精霊という存在の前にはほぼどうでもいいことなのだ。
昔、精霊術師同士の戦いにおいてこういうことがあった。
双方の求めに応じて現れた火の精霊。その存在に願われたのは「敵の殲滅」であり、どちらの願いを聞き入れたものなのかは分からなかった。
そして、火の精霊が取ったのは……その場に居た者達全てを焼き尽くすこと。
自分勝手な願いで私利私欲に溢れた使役を良しとしなかったのだ。
強力ではあるが、精霊たちもまた自分達の意思を持った存在であり、人の好きには出来ない者達なのだ。
だからこそ、ハイランドの精霊術師は明確な理由がなければこの力を行使しない。
すでに海域を埋め尽くすかの勢いで光の粒が広がっていき、大精霊が片手を空に向けて高々と掲げる。
その腕が振り下ろされると同時に、光が一斉に動き出した。
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「何だよ……あれ」
『エイダ様が精霊術を行使なされた。ウォーロック隊はそのまま上空待機。絶対にあの水の巨人に攻撃するな』
「ウォーロックリーダー、了解。全機聞いたな?空も静かになった事だ、このまま見物だ。絶対に手を出すな」
了解の返答がそれぞれから返ってくる。
大半が今下で起きていることに驚き、まともに声が出ていないようだったが。
それはコンラッドも同じだ。
精霊術と言うのは聞いてはいたがあんなものだとは知らなかった。
「召喚術みたいだなあれ……」
ゲームなどではおなじみの存在、召喚獣。
術者の求めに応じてその力を振るう巨大な獣だったり、それぞれの属性の精霊だったり。
違うのはこちらの言うことではなく、その存在が自分で判断しているということなのだが、コンラッドにはそこまではわからない。
徐々に光が広がってゆく様を眺めていると、突然その光が前方……つまり敵のいる方向に向かって凄まじい勢いで飛んでいった。
敵が向かってくるその前で止まったと思えば、そこに巨大な渦がゆっくりと発生していくのが見える。
「……なんて大きさだよ……。……っ!マズい!こちらウォーロックリーダー!巨大な渦が発生しつつある!あの場に展開しているコーブルクの魔導騎兵を逃がせ!」
『こちらバハムート、了解した。直ちに連絡する』
『大丈夫です、精霊がそう言っています』
「エイダ様か!?しかし……見たこともない大きさの渦だ。バハムートの船体が米粒に見える程だぞ!」
それほどの広範囲に渡って超巨大な渦が巻いている。
その勢いはどんどん強くなり、ついに敵の艦隊が潮の流れに逆らえなくなった。
中心部が下へ下へと下がっていき漏斗型の渦がはっきりと見える。
中心に向かうに連れてその速さは急速に早くなり、その周りで巻き込まれた魔物達が暴れているのが見える。
しかし強大な渦の力はその場にいる魔物を逃すことはなく、逆に渦の外へと魔導騎兵を移動させていた。
「すげぇ……こんな力、勝てるわけがないだろ……」
改めて精霊の力というものの強大さを見せつけられる。
規模の大きさ、そしてその破壊力。
サイラスでも通常兵器だけでここまでの物を作り出すことは出来ないだろう。
空から見ているからこそ、その恐ろしさがよく分かる。
次々と為す術無く敵が海の藻屑と化しているのだ。
船は渦の激しさに揉まれて徐々に壊れていき、魔物達は中心に行く間に体中が引き裂かれてミンチとなっている。
あれはただの渦ではなく、攻撃の為の魔法なのだ。
敵を逃さずに殺すことに特化したもの。
そんなとんでもない物が半径数キロ単位で発生している。
もし精霊が人をいらないものと切り捨てた場合、自らの意志であの力を行使されるということになるのだろう。
地球では居るか居ないかでしょっちゅう揉める神とも呼べる存在がこの世界には確実にいる。
神ではないのだろうが、自分達を遥かに超えた存在は目に見えずともこうして回りにいるのだ。
「まさしく次元が違うな……。あれだけいた敵がもう殆ど残っていないか」
気がつけば前方を塞いでいた敵はほぼ消え、後に残ったのはばらばらになった船の残骸と、魔物と恐らく人の血だろう。
すでに渦は元の海面へと戻り光の塊はゆっくりと薄くなってゆく。
『……こちらバハムート。ウォーロック全機へ、大精霊による魔法攻撃は終了した。残敵を狩れ』
「ウォーロックリーダー、了解だ。掃討を開始する」
ここからは自由戦闘だ。散らばった敵を空から一方的に攻撃するだけの簡単な仕事。
大砲はこちらを捉えることが出来ず、逆にセイカーは高速で接近して弾丸を叩き込んでは船を沈めていける。
これがミサイルや同じような対空装備などを装備した現代艦であればこんな事は出来なかっただろうが。
『ウォーロック3からウォーロックリーダー。敵艦の乗員はアンデッドのようです』
「くそ、めんどくせぇ奴らだ!向こうには殆どダメージが無いじゃないか」
『弾を消費させられた……ということでしょうか?』
「そう考えてもいいだろうな。だが……精霊が出てきたのは向こうにとっても計算外だったはずだ。お陰で殆どこっちも消耗していない。まだまだ行けるさ。着艦したら補給を忘れるなよ」
『ウォーロック3、了解』
相手はアンデッドだという。
わざわざ低空で攻撃しつつ様子を見ていたそうだから間違いないだろう。
遠目には生きている者にしか見えない上に、向こうもこちらを攻撃してくるわけだから結局倒さなければならないのだが……その分余計に弾を消費してしまう。
幸い補給に関しては全く問題ない為、いくらやられようとも本国が壊滅していなければ撃ち込み放題だ。
とは言え消耗しないに越したことはない。
着艦して戻ってきたコンラッドは報告を済ませて戻る途中でエイダ達に会った。
「これはハーヴィン候!」
「大分慣れてきたようだな。それで……どうだった?敵の方は」
「翼竜と……虫、の様な変な魔物でした。しかし特に脅威と感じる攻撃はなかったため問題ありませんね。……それよりも……」
「アレか。流石にあれは私も驚いていてね……まさか、大精霊まで出てくるとは思っていなかった」
そう言ってエイダに目を向けるサイモン。
まさかの状況に今後何かあった時にまた助力を請うことが出来るのか、少し不安なところがあるのだ。
一度手を貸したから後は自分達で……となる可能性だってある。
「私だって驚いているのですよ?呼びかけに応えてくれるなんて、大精霊では普通ありえませんから。むしろ下手をすると怒らせて逆に私達があの攻撃をくらうことになるなんてこともありえました。まあ……怒らせるようなことなんてしませんけど……。でも、まだ力を貸してくれそうな雰囲気でしたよ?」
「そうなのか?」
「言葉では言い表しにくいのですが、少なからず精霊と精霊使いは繋がりを持つのです。その時に環状がこちらへ流れてくるのですが……感じたのは『喜び』です」
「……それは……久しぶりに思いっきり力を奮って嬉しかったとかそういうものでは……」
気まぐれな精霊としては有り得そうだった。
あんなものを気軽に使われては色々と困る。
とりあえずはエイダには暫くの間は声を聴くことに専念してもらうことにして、攻撃は危険度次第でやってもらうことになった。
当然エイダの出番が来たときには相当危険な状況といえるわけだが。
少しばかり不満そうな顔をしていたものの、少しやりすぎた感じはあったので素直に従う。
「さて……陸の方はどうなっていることやら。海に戦力を集中しているというわけでもないだろう」
「向こうにはテンペストが居る。負けはない」
「凄い自信だな。私も同意見だが」
「テンピーだけじゃなくて、サイラスも皆強いですからね。安心して任せられます」
むしろあの2人だけでも厄介なのに、ギアズもいる。
どうやって突破したら良いのか分からないくらいだ。
気がつくとどうやってテンペスト達を倒せるかを少し考えていた3人は、ふと我に返って笑いあった。
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「今日はここで野営だってさ」
「魔導車が主ですから仕方がないとはいえ、ここまで見晴らしが良いと少々不安ですね」
「偽装網使いますか?とっさに動きにくくなりますが」
「仕方ありません。上からの目線は気にしていたほうが良いですから」
一戦交えた後のテンペスト達は、ホーマ帝国の案内に従って野営地に来ていた。
だだっ広い場所で起伏はあまり無い見晴らしのいい原っぱだ。
何故こんなところを選んだのかと言いたいところだが、周りにこういうところしか無いということに尽きる。
隠れられる場所が無いのだ。
その代わり敵の接近に気づきやすいという話だが、遠距離攻撃手段を持っているこちらとしては、見晴らしのいい場所と言うのは航空戦力からの攻撃と、大砲などの長距離射程を持つ兵器の的になる事を考えると避けたい所。
仕方なしに偽装網……つまり周りの草と同じような見た目のカバーを掛けて、せめて上からの視認位はなんとか誤魔化そうという魂胆だ。
影でバレそうだが。
「とりあえず……ご飯にしようか」
「では簡易キッチンを出しておきます。コリー、テントの準備を」
「おう。いつでも寝れるようにしといてやるぜ。ニールはギアズとサイラスを手伝って偽装網を取り付けてくれ」
ほぼ自動で展開していく大型テントに、簡易というがこの場には似つかわしくない設備の整ったキッチン。
そして他の国が見たことのない偽装網を装着していくハイランドの面々を、不思議そうに見る視線を感じた。
ホーマ帝国に関してはコリーと同じものを用意しているようだったが。
それなりに美味しい食事を取り、少し眠気も出てくる。
「周辺に敵は今のところ居ないようです」
「とりあえず警戒するのは空かな?」
「ええ、しかしアンデッドを使って昼夜関係なく襲ってくると言います。警戒はしておいたほうが良いかと」
事前にアンデッドによる昼夜を問わない攻撃によって、ホーマ帝国兵達は相当苦しめられたということは聞いている。
であれば、こうして野営する時が一番危険だろう。
『なに、儂が見張っておこう。アンデッドの気配ならば儂は感知しやすいしな』
「ギアズ、便利だ……眠らなくていいし」
『ニール、お前もアンデッドになってみるか?何、辛いのは最初の数百年だ』
「全力でお断りします!ごめんなさい!」
寝ずの番はギアズにまかせて、他のメンバーは眠りにつくことにした。
戦闘が始まってから初めての夜が訪れる。
エイダのキャラがぶれてるような……。うぐぐ。




